中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

中学受験と関係ない旅行の話 ハワイ編

久々に今ハワイに来ています。(実はプールサイドで書いています)

30年以上通っているハワイですが、ここ数年はヨーロッパにいく事が多くて足が遠のいていました。5年振りのハワイは、相変わらずでした、と書きたいところなのですが、やはり大きく変わっています。

今回は受験とは全く関係の無い話で恐縮ですが、現在のハワイの様子について気が付いたことをあれこれ書いてみます。

「受験とは無関係な話には興味がない!」という方は読まないほうがよさそうですね。

でも、もしかして来年の今頃はお子さんの合格ご褒美ハワイ旅行に行かれるかもしれません。その時の参考になると幸いです。

 

1.コロナの影響は大きかったのか?

(1)ハワイの経済状況

ハワイ来島者数推移

ハワイ州の統計データをグラフにしてみました。コロナの影響は甚大ですね。しかし、よくよくグラフを見ると、2022年にはすでに復調したことが見て取れます。さすがです。さらによくグラフを見てください。青で表示しているのがDomestic、つまり国内旅行者ですので、アメリカのメインランドから来た観光客、赤で表示しているのが、international、つまり外国人観光客数です。これを見ると、2022年にはすでにアメリカ国内の観光客は元通り、いや増加していることがわかります。

たしかに、周囲を見まわしても、アメリカ人観光客ばかりが目につきます。

これは、コロナ禍中に旅行自粛していた層が一気に動き出したことと、順調なアメリカ経済を反映していることが原因だと思われます。

それに対して外国人観光客数の増加が遅れているのは、あきらかに日本が原因でしょう。

このグラフから、こうしたことを読み取る問題など作成したら面白そうですね。

ハワイのプールサイドでも問題を考えてしまうのは、もう職業病、それも重症です。

 

ハワイ州の観光産業が州全体のGDPに占める割合は、コロナ前の2019年には16%以上で、1位の不動産・リース・レンタル業の18.8%に次ぐ2位の地位にあります。観光が基幹産業なのは間違いないですが、これはちょっと意外でしたね。勝手な思い込みとしては、半分くらいが観光産業だろうと勝手に思っていました。しかし、ワイキキとアラモアナだけを往復していると見えてこないハワイの姿というものもあります。最盛期には観光収入が1位でしたが、それでも25%だったのです。

ご存じのように、ハワイは基地の島です。有名なパールハーバーは今でも海軍基地ですし、ダイヤモンドヘッドだって軍が管理しています。軍人の人数は10万人以上が常駐しているほか、退役軍人も11万人以上が暮らしています。

ハワイは移住先としても人気です。マーク・ザッカーバーグジェフ・ベゾスが広大な屋敷を建てていたり、ラナイ島の9割以上はラリー・エリソン(オラクル創業者)が所有しているのは有名です。もちろん超富裕層以外にも人気です。そういえば昔は、フィリピンの独裁者だったマルコス大統領がカハラ地区(高級住宅地)に豪華な屋敷を持っていました。

また、農業も重要な産業です。かつてほどの勢いはないとはいうものの、ノースショアに行く途中の道の左右には一面のパイナップル畑が広がっていますし、ハワイ島のコーヒーも有名ですね。

したがって、コロナの影響をものともしなかった、と言いたいところですがそうではないですね。

州政府関係者や観光局の話を真に受ければハワイ経済は堅調に推移しているということになるのでしょうが、どうもそういうわけでもなさそうです。

もともとハワイは全米の中でも経済水準がワースト5に常にいる州です。日本における沖縄のようなかんじでしょうか。そかし、それでもGDPはプラスで推移していますし、一人当たりGDPは日本の1.5倍となっています。ただしこれは日本が酷過ぎると考えるべきでしょう。


 (2)物価が上がった

もともとハワイの物価はメインランドと比べて高いのは知っています.ハワイで生産されるもの以外は基本的に島外からの輸入(移入)品ですから、これはハワイの宿命のようなものです.だいたい3割増しと言われています。日本でいえば沖縄もそうですね。それにしても、予想以上の物価高でした。最近ハワイを訪れた知人たちから聞いてはいたのです。ちょっと🍔食べただけで6000円だったとか、カツ丼一杯5000円だとか。でも、たいして気にしてはいなかったのです。どうせ物価高のワイキキ価格の話だろうと。ワイキキを外れた、地元民御用達の店をいくつも知っていますので、そうした店に行けば問題ないと思っていました。

しかし、甘かったのです。

私が知っていた店はほとんど残っていませんでした。そして他の店を探しても、もう以前のような価格では何も食べられないのです。

これは、明らかにコロナの影響ですね。

私の想像以上にコロナ禍はハワイ経済に打撃を与えたのでしょう。それはそうですよね、海外からの客、特に日中韓の観光客が消滅していた数年は痛かったはずです。そのせいで、良心的な価格設定の店はことごとく潰れ、投資の回収を図るような店ばかりとなったのではないでしょうか。

さらに、円安が拍車をかけました。それに加えて日本の低賃金。

今日本ではインバウンド消費が激増していますが、それも当たり前です。5ドルでまともなランチが食べられる国など欧米のどこにもありません。かつて円高時代に日本人が東南アジアで味わった思いを、今の欧米の観光客が味わっているのですね。

すっかり、先進国を旅する発展途上国の人間気分を味わされました。

しかし、かつての円高&好景気時代の日本の勢いの記憶が完全に抜けていないので、ついついいつもの調子で飲食してしまいそうになる自分を戒めないと危険です。

poki

こちらはワイキキで見かけたスーパーの総菜コーナーの写真です。ポキが10種類以上並んでいて実に美味しそうです。

ポキは魚の切り身に醤油とごま油を和えたものですね。日本と中国の食文化の影響で誕生した地元料理と言われています。日本人の口にも合うのでファンも多いと思います。

さて、よく価格を見てください。1ポンドが28ドルとなっています。1ポンドは454グラムですね。まぐろのサクがだいたい1枚で200グラム、それで切り身が10枚くらいとなりますので、ポキ1ポンドだと2人前くらいでしょうか。成人男性だとちょっと足りないかな? 2種類買って3人でシェアするくらいがちょうどよいと思います。それで60ドル、9000円です。

まあこちらはワイキキの真ん中ですので多少の価格は覚悟するとしても、やはり高い!

ポキなんて地元の材料で作りますので、本来はもっと安価な食べ物なのですが。

 

ところで、このスーパーは私も知りませんでした。昔はワイキキエリアで食品スーパーは「フードパントリー」1軒しかなかったのですが、その跡地に2023年に新たにできたこのスーパーはなかなか美味しいものをそろえていて便利です。

スーパー

ポキはあきらめて、私はこちらのから揚げを買いました。

から揚げ

1パック4ドルです。成人男性でも満足できる量で、味はかなり美味しい日本のから揚げでした。

こちらのスーパーなら車がなくても歩いていけますので、ワイキキ宿泊なら便利だと思います。場所は、クヒオ通りとカイウラニ通りの角、ビーチを背にしてハイアットリージェンシーホテルを右にみながら行くと左手です。

 

 (2)店がなくなった

 ハワイのような観光地の店は、ちょっと見ない間に様変わりする、それは常識です。それでも、昔から地元民に愛され観光客にも人気の店はいくつもありました.でも、もうそれがないのです.

◆Like Like Drive Inn(リケリケドライブイン

 こちらは、keeaumoku st.(ケアモクストリート)沿いにあった典型的なアメリカンダイナーで、1953年創業の老舗です。アラモアナSCの正面から山側に向かって少しいったところ、Wal-Martの向かいといえば、覚えている方もいると思います。20年ちょっと前に建て替えられたと記憶していますが、私も建て替え後は足が遠のきました。アメリカンダイナーといってもハワイのことですから、サイミンやオックステールスープもメニューにあるような店で、味が良いというよりは、安くお腹を満たすのに便利な店だったのです。観光客も少ないお店でした。まあ、もっと美味しいお店は他にたくさんありますから、海外からわざわざハワイに来て食事をするようなお店ではないということでしょう。でも、そこが良かったのです。脂っこいソーセージとベーコンでライスを食べたり、コーヒーのおともというには大きすぎるパンケーキを食べたり。

今回、ふとした気まぐれでそうしたものが食べたくなり、車で向かいましたが、店が記憶通りのところにないのですね。そのあたりのブロックを何周かして、ネットで検索したところ、2020年4月に閉店とありました。

この店は観光客の減少で打撃を受けたのではなく、コロナによる外食の自粛の打撃をかわし切れなかったのですね。客の年齢層も高かったのも良くなかったと思われます。今時の若者が好む店ではありませんでしたから。

◆Shirokiya(白木屋

アラモアナSCの一角に、1959年からあったお店です。家庭雑貨と食材とお惣菜等がまとめて買える老舗のデパート的なお店でした。炊飯器も各種売っていましたね。今のようにダイソードンキホーテまで進出し、そこら辺のスーパーでも日本食品が普通に手に入るようになる前には、地元の日系人の憩いの場所として繁盛していたものです.それが2016年にはアラモアナSC内の別の場所で、日本食フードコートとしてリニューアルした時には、現地の日系人の間に衝撃が走ったそうです.「もうシロキヤ行った?」が挨拶がわりの言葉だったとか.私も何度もお世話になりました。今回も、何か美味しそうなものでも買っていこうと思い足を運びましたが、見事に潰れていました.想像ですが、こちらも日本人観光客ゼロの日々を乗り越えられなかったのでしょう.噂によると、移転した直後にコロナの嵐に合い、アラモアナSCへの賃貸料が滞納されて訴訟となっているそうです。

そういえば、ワイキキの真ん中、ワイキキ・ショッピングプラザの地下に「ワイキキ横丁」という日本食フードコートがありました。今回立ち寄ろうとしたのですが、こちらも2020年に閉店だそうです。今はSTIXというアジアン・フードコートに生まれ変わっています。日本食も各種あるとのこと。ちょっと覗いてみようかなと思いましたが、結局前を素通りしました。客の出入りがほとんどなくて一瞬「また閉店?」と疑うような雰囲気だったからです。客が少ないフードコートって寂しいですよね。行列や混雑が嫌いな私ですが、寂しいのもどうかと思ってしまいます。夏休みやゴールデンウィークなら事情は違うと思いますが、お向かいのロイヤル・ハワイアン・ショッピングセンターの2階のフードコートは普通ににぎわっていましたので、やはり地下というロケーションがよくないのかもしれません。

◆Islands Fine Burgers and Drinks (アラモアナSC)

ここ数年のハワイ旅行では、ここで昼食をとるのが定番でした。日本発のハワイ便は朝到着します。いつも9時過ぎに到着する便を選ぶことが多いです。そこから直接ワイケレ・アウトレットに向かうことも多かったのですが、何せハワイ便は日本を夜発ってホノルルに朝に着くため、飛行機の中で睡眠らしい睡眠がとれないまま徹夜状態で長時間の車の運転となるのは避けたいところです。しかも、ワイケレは食事をできるところがほとんどありません。そこで、空港から車でSafewayスーパーに行き、パパイヤやスイカ、ポキやハムにパンなど美味しそうなものとビールを買い込み、次にアラモアナSCに行くのが定番です。まずオールドネイビーで滞在中に必要なTシャツやビーサンを買い、それからアイランズで巨大なハンバーガーにかぶりつくと、ハワイ気分が盛り上がるのです。しかもこのお店はフライドポテトがいくらでもおかわりできるという太っ腹です。もりもり食べる私のお腹も太っ腹まっしぐらです。ハワイ便の朝食?は、夜の間に配られたパンをジュースで流し込むだけの、食事とはいえないようなものですので、確実にお腹は減っているのです。

肉汁あふれる巨大ハンバーガーを思い浮かべて向かったところ、2021年に閉店されていました。

◆カフクのガーリックシュリンプ

ノースショアを通りこしタートルベイ・ヒルトンを過ぎたあたりがカフクのエビ養殖場です。そのエビを使ったガーリックシュリンプのワゴンがいくつもあります。Giovanni's、ROMY'S、FUMIS、私が食べたことのあるのはこれくらいです。ジョバンニが元祖のようですね。初めて食べたときは衝撃を受け、思わず作っているお姉さんにレシピを尋ねると、「Many many garlic!」と言われたことを覚えています。ただしその後はフミズがお気に入りでした。やっぱりハワイ滞在中は一度は食べに行きたくなりますね。今回ももちろん食べに行ったのですが、嫌な予感がしたので珍しく事前にネットで調べたところ、案の定、フミズもロミーズもなくなっていました。営業していた土地を州政府に返却しなくてはならなかったらしいです。そのかわりフミズ関係者が新たに「Tanaka Kahuku Shrimp」という店を開いたとのことでした。そこで早速行ってはみたのですが、この行列です。

TANAKA SHRIMP

行列に並ぶのがなにより嫌いで、美味しいけれど混んでいるお店よりも〇〇だけど空いているお店を選ぶ私としては見た瞬間にUターンしました。

 

その他にも、細かいお店を数え上げればきりがありません。例えば、ワイキキのキングズビレッジがなくなりました。こちらは特徴的な建物の中に迷路のように数十店舗の土産物屋や飲食などが並び、それなりに楽しいところでした。もっともこちらはもうだいぶ前から寂びれていて、むしろ2019年まで残っていたことのほうが驚きです。今は更地で大規模な建設工事が行われています。ヒルトンのバケーションレンタルコンドミニアムになるそうです。

 (3)ホームレスが増えた

 それはハワイでも昔から見かけます。しかし、明らかに以前よりも増えていましたね。例えばホノルル美術館前のThomas Squareという公園。芝生が広がり大きなバニヤンツリーが木陰をつくっていて、木陰のベンチでお年寄りがくつろいでいたり、芝生でドッグショーが開かれていたり、そうしたのんびりした公園でした。ところが今回車で横を通ると、ホームレスの方の住居? がいくつも建って?いるのです。その他にも、テント村と化した公園も見かけました。アラモアナパークにもそうした方が増えていましたね。もともとあそこはホームレスの方も見かけないわけではありませんでしたが、むしろ地元の方のBBQパーティや、小学生のイベントなどが行われるようなところだったのです。

 原因としては、ハワイ経済の低迷、低賃金、高物価、そしてコロナといわれています。

 (4)日本人が減っている

 全盛期の40%までしか回復していません。ひところは、中国や韓国の経済力を反映して観光における日本の重要性が相対的に減少してきている印象がありました。以前はワイキキではどこでも日本語が通用しましたが、いつのころからか中国語や韓国語のほうが優勢になった印象があったものです。しかしコロナは日本以上に中国・韓国の観光客の減少を招いたのかもしれません。昨年ハワイを訪れた人数比は、日:韓:中=45:13:1となっています。しかし絶対数はまだまだですね。ハワイ州も総力をあげて日本人観光客の増加を目指すとのことですが、現状の日本の経済情勢を考えると、先行きは不透明かもしれません。とにかく、円安が何とかならないかぎり、日本人観光客の増加は見込めないと思います。

 

★ハワイ関連の話はこちらでも書きました。こちらのほうは入試を意識した記事となっています。

 

★旅行編はこちらにも。よろしかったらどうぞ。

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