中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

受験とは関係ない旅行の話 ギリシア編 2024.9/29 改訂版

毎回受験関連の疲れる話ばかりが続いていますので、余談をしたくなりました

※こちらの記事の初出は2023.9/29です。細かい情報を加筆修正し、2024.9/29にUPDATEしました。

 

ギリシアには、世界史を学んでから行こう

 

学校にもよりますが、中1~2にかけて、世界史を学びます。

世界史、なかでもヨーロッパの歴史って、なかなかわかりづらいと思いませんか?

日本史のようなほぼ一直線の物差しの上に時系列に出来事が並ぶのとは異なり、異なり地域で並行して進む歴史だからでしょう。

さらに、各地域が侵略・占領を繰り返し、また民族移動による文化の融合を繰り返しながらすすんでいくので厄介です。

そんな世界史を理解する第一歩が、ギリシャ文明の理解です。

ヨーロッパの文化はここがスタートだからです。

そして、こればかりは百聞は一見に如かず、です。

 

パルテノン神殿

アクロポリスの丘にそびえる、パルテノン神殿に行ってみましょう。

その規模・眺め、さらには破壊された跡。

何かが胸に迫ってくること間違いありません。

この感覚ばかりは、足を運ばないと得られないのですよね。

 

アメリカやイギリスに行っても、あまり「歴史の重み」に圧倒されることはありませんでした。

それより日本の法隆寺のほうがはるかに「古い」ですからね。

しかし、さすがにギリシャはけた違いです。

パルテノン神殿だって、紀元前5世紀、日本は縄文時代!です。

頭の中の歴史時間軸が揺さぶられる感覚をぜひ味わってください。

 

1.ドーハ空港は寒い

私は、カタール航空を利用し、ドーハで乗り継いでアテネ入りしました。

残念ながら、日本からギリシャへの直行便はありません。必ずどこかで乗り継ぐ必要があります。

ANAなら、ロンドン・パリ・フランクフルト・デュッセルドルフブリュッセルミュンヘン

JALなら、ロンドン・パリ・フランクフルト・ヘルシンキ

このあたりが、直接運行で行ける都市ですね。たぶん。

ANAのHPではコードシェア便が混ざった情報ばかり発信しているので、間違っていたらすいません。

 

海外に行くときには、基本的に日本の航空会社を愛用しています。

だって、楽ですから。

遅延への対応なども信頼しています。

 

しかし、ギリシャはどうせ直行便はないのですから、別の航空会社を探しました。

どうせなら安くて快適で速いものを。

すると、カタール航空が便利そうじゃないですか。

しかもなんと燃料サーチャージ無し! という太っ腹です。

 

燃料サーチャージ、いったいいつからこんな「悪習」が定着したのでしょう?

JALホノルル便なら往復45000円、ヨーロッパ便なら70000円です。

 

さて、カタール航空は、なかなか快適でした。

しかし、行きの便は、予定していた便の出発時間が1時間後ろにずれたため、ドーハでの乗り継ぎが駆け足に。結果として間に合ったからよいのですが、乗り継ぎ便の怖さを再認識しましたね。最低でも3時間、できればもう少し余裕を見ておいたほうが良いと思います。

そして帰りの便は、ドーハ空港で7時間以上も時間をつぶす必要がありました。

自分でその便を選んだので仕方がありません。一夜を空港で過ごす覚悟です。

幸い空港でラウンジを利用できたのでまだよかったのですが、夜中を過ぎると空港もラウンジも閑散としてきて寒々しい。というか、実際に冷房が効いていて寒い。

そんなこともあろうかと、アテネからドーハに向かう飛行機から、ブランケットを1枚拝借していましたので、それが大活躍となりました。寒そうな顔をして隣に座っていた男性(ギリシア人?)から、そのブランケットはどこで借りられるんだい?と尋ねられましたね。ちょっとだけ謎の優越感を味わいました。

もちろん拝借したブランケットは、ドーハ発の飛行機の中に返しておきました。同じカタール航空だからいいでしょ、と言い訳をしながら。

 

ジャカルタスカルノ・ハッタ空港も寒かったのを思い出しました。

夏の旅行のときは要注意です。

 

2.サントリーニ島のトイレはペーパーが流せない

歴史を感じるだけなら、アテネ市内だけでもよかったのです。

見どころ満載ですから。

でも、せっかくですからね。エーゲ海も堪能したいじゃないですか。

そこで飛行機でサントリーニ島に移動しました。

 

 噂には聞いていたのです。トイレットペーパーを流してはいけないと。でも、それなりのホテルなら大丈夫だろうと高を括っていたのですね。そうしたら、「紙を流すな」の表示が。使ったペーパーはゴミ箱に捨てます。トイレにいくたびに神経を使います。これが実は意外とストレスだったことに、アテネのホテルのトイレで盛大に紙を流せたときに気が付きました。なんでも、サントリーニに限らず築年数の古い建物は下水管が細いのでつまりやすいということのようですね。サントリーニで泊まったホテルは決して古くも小さくもないそれなりにちゃんとしたホテルを選んだのですが、だめでした。

 

3.エーゲ航空は信用ならない

 今回はアテネとローマの往復にエーゲ航空を使いました。アテネ→ローマ便は、2時間ほど遅れ、しかも搭乗ゲートが途中で変更されました。ローマ→アテネ便は、もう何時間遅れたか覚えていないほど遅れます。搭乗ゲートも途中で何度も変更されます。空港の表示板などあてになりません。係員に聞いても肩をすくめて「私もわからないの」といわれるばかりです。待合室で隣に座っていたギリシア人のおば様に、「どうせまたゲートが変わるんだから、ここに座っていたほうがいいわ。」とアドバイスされました。空港の出発便案内ボードをみると、大半の便が大幅に遅延の表示という、羽田や成田ではあまり見かけない光景でしたね。

いちおうエーゲ航空ギリシア最大の航空会社でLCCではないのですが。

私の中では、今エーゲ航空は「信用ならない」航空会社第一位です。

事前情報で覚悟していたLCCのライアンエアのほうがはるかに正確でした。

 

4.アテネ空港から市内のタクシーは信用ならない

私は、海外旅行でも、基本的にバスや地下鉄等を利用し、タクシーはあまり使わないことにしています。そのほうが楽しいからです。しかし、なにせアテネ空港到着が、予定していた時刻を大幅に過ぎてしまったので、やむなくタクシーを使いました。空港から市内へは定額で35ユーロ程度です。しかし、ホテルについて支払うとき、50ユーロを要求されました。23時を過ぎると深夜料金だというのです。ご丁寧に、カラフルな料金表まで見せられました。タクシー協会のようなところが作成したとおぼしきそのボードには、たしかに23時以降は深夜料金となっています。深夜料金の存在は知っていたので、あきらめて支払いましたね。

しかし、どうも釈然としなかったのでホテルの部屋で調べてみると、深夜料金は0時からとなっています。

やられた!

海外では、流しのタクシーは信用ならないのは常識ですので、使う場合はホテルに呼んでもらいます。でも、空港のタクシー乗り場で乗る場合は基本的に大丈夫とされているので、すっかり油断しました。今思い返しても悔しい!

 

5.スリがいない(わけではないだろうが、出会わなかった)

 どこにだってスリはいます。私は被害に会ったことはないですが、パリの蚤の市でロマの子供たちに囲まれてかばんを強引に引っ張られそうになったことはありますし、同行者がパリで数人組の男たちに囲まれて器用に財布の中身だけ抜かれたり、やはり同行者がフランクフルトの駅で財布をすり取られたり。ギリシアも良い噂は聞きませんので、いつも以上に用心はしていました。しかし、拍子抜けするほど、治安の悪さを感じないのですね。もちろん、夜遅い時間には出歩かず、あやしそうな一角には近寄らないようにはしていましたが。こういうのは、確率の問題だと思うのです。気を付けていてもやられるときにはやられますし、やられないときにはやられない。でも、やられた人は声を大にして情報を拡散しますので、そちらが目にはいりやすいのでしょう。

 もしかして海外のSNSでは、「日本は治安がいいなんて嘘だぜ!」なんて情報が拡散しているかもしれませんね。

 

スリのたまり場?として名高い、アテネ中心部の「シンタグマ広場」も問題ありませんでした。

暑すぎて閑散としていたからだと思います。

 いちおうの用心として、バッグは持たずに、短パンのジッパー付きの別々のポケットに紙幣とクレジットカードを1枚だけ入れて手ぶらで歩く、というスタイルで通しました。あとはどこで手に入れたか忘れましたが、網でできたエコバッグにペットボトルの水を入れて持ち歩きましたね。外から中身が丸見えです。これで無精ひげに皺だらけのシャツと黒いサングラスという、もう貧乏を絵にかいたような、いかにも金の無さそうな風体だったのが幸いしたのでしょうか。自撮り写真をたくさん撮る方にはおすすめできないですね。

 

6.やはりパルテノン神殿はすごかった

 言うまでもありませんが、パルテノン神殿は必見です。ただし、混雑します。チケットをあらかじめネットで買っておき、朝一番に行ったので並ばずにすみました。20名ほどの行列はできていたのですが、念のため行列の先頭に行ってみると、だれも並んでいない窓口を発見。おそらくすでにチケットを買ってある人はこちらでよいのでしょう。すんなり入れました。

最近のヨーロッパの、人気の観光施設(寺院・遺跡・博物館・美術館)のほとんどは予約が必要です。いきなり行っても、断られるか、長蛇の行列覚悟です。

事前の予約を強くお薦めします。

 

7.ギリシャのビールは美味しい

 別にギリシャに限らず、ビールはどこで飲んでも美味しいですが、空気の乾燥した土地で飲むビールは格別です。

ギリシャビール

ここはパルテノン神殿を見ながら食事をいただけるご機嫌なレストランです。

ギリシアは海鮮が美味しいです。とくにカラマリフライ(イカのフライ)が柔らかくて美味しい! いくらでもビールがすすみます。

 

カラマリ

8.サントリーニ島のイアの夕日は有名だけど、フィラでも同じ

サントリーニの夕日

 イアの夕日は世界一だそうで、イアの街の先端の城塞跡のようなところが夕日スポットです。しかし、ここがものすごく混むのです。夕方早めに場所取りが必要で、見終わった後にフィラに戻ろうとするとバスが超混雑します。そこで手は二つあります。

①イアの街(の高価なホテル)に泊まる

 サントリーニは、ホテルにお金をかければかけるほど良い眺めのホテルに泊まれます。そのベランダから夕陽をみればよいのです。

②フィラの街(の高価なホテル)に泊まる

 イアとくらべると、フィラのほうがカジュアルな雰囲気の街です。迷路のような道筋にはびっしりとショップが並び、夜に散歩するだけでもわくわくします。私としてはイアよりもフィラのほうが好みです。ホテルも、イアにくらべると少しだけ安いような。そこで、フィラの街の高価なホテル、といっても超高級ではなく、そこそこ高価なホテルに泊まりました。そこのバルコニーから、良く冷えたサントリーニワインをいただきながら優雅に夕日を見るのがよかったですね。夕日はどこから見てもそんなに変わらないと思います。

見下ろすエーゲ海には、エーゲ海クルーズの豪華客船が何隻も。

エーゲ海

いつかそんな余裕のある旅がしてみたいものです。

 

9.アテネの国立考古学博物館は必見だが

 アガメムノンの黄金マスク、見たいじゃないですか。そこで地下鉄で出かけました。

しかし、ここに向かう地下鉄の路線は、明らかに汚いのです。落書きだらけの車体、何か臭い車内、それに似合う(失礼!)乗客。

あっ、これはやばいやつだ。とアンテナが働きます。

そして最寄りの駅から歩いていくのですが、町全体がやつれています。駅前の通り沿いの商店のシャッターや壁にはスプレーペイントで落書きがびっしりと。閉まっている店が大半です。平日の午前中なのに、そこらへんの道端にたむろしている成人男性数名。足早に通りすぎるのが吉ですね。日が暮れてからは絶対に近寄りたくないエリアでした。

 

ギリシャによらず、海外ではこの「危険を察知するアンテナ」を高く立てておくことは重要です。

 

以前アメリカでのんびりバスに乗っていたところ、乗客男性2名が喧嘩を始めました。肘がぶつかっただのなんだのといった理由です。するとバスが急停車し、ドアが開かれて乗客全員が一斉に外に逃げ出したのです。残ったのは例の乗客2名と、そして私だけでした。

やがて喧嘩していた男2名は逞しい運転手によって外につまみ出され、再び客が車内に戻ってバスは走り始めたのです。

いったい何が起こったのか? 最初はわかりませんでしたが、後になって理解できました。

アメリカで喧嘩ということは、ガンが登場するリスクが高いのですね。だから乗客は皆逃げ出したのです。逃げなかった私は平和ボケしていたということです。

 

さて、楽しみにしていた黄金マスクの前にはガイド付きツアーの小学生の団体が占拠しています。

ここに限らず、どの美術館・博物館に行っても、ガイドに引率された集団はいます。ただ、このときのガイドは最悪でした。集団でマスク前に陣取って、いつまでもどこうとしないのですね。それでも英語でガイドしてくれていれば、横で聞き耳を立てて勉強するという作戦が使えるのですが、この時には韓国語だったのでさっぱりわかりません。途中でしびれをきらして、ガイド&集団にどいてもらいました。多少強引でも主張することは大事です。

 

10.新アクロポリス美術館は涼しくてすごしやすい

 アクロポリスの丘のふもとにある美術館です。パルテノン神殿からとりはずした彫刻などが展示されています。有名な少女像の石柱も、神殿にあるのは複製で、実物はこの美術館に展示されています。

少女石柱

美術館内部にはカフェテリアもありますし、窓越しに神殿を仰ぎ見る涼しい広間などもあり、ゆっくりできます。

 

パルテノン神殿の後に立ち寄るのにぴったりだと思います。

ここは予約なしでも少し並べば入れますが、スマホで事前予約・決済しておくとスムーズかつ安く入れるはずです。

 

11.手荷物だけでも結構大丈夫

 今回は、羽田→ドーハ(乗継)→アテネサントリーニ→ローマ→フィレンツェ→ローマ→アテネ→ドーハ(乗継)→羽田 という、なかなか移動の多い旅でした。ローマ・フィレンツエ間は鉄道も使います。そこで、思い切って手荷物だけで旅することにしたのです。しかも、転がすタイプではなく、背負うタイプを使いました。

キャビンゼロ

使用したバッグは「キャビンゼロ」です。旅好きな方はご存じですね。

写真のものは36L(45 x 31 x 20 cm)サイズですが、実際に旅に使ったのはこれより一回り大きい42L(55 x 35 x 20 cm)サイズを持っていきました。

このサイズなら、どんなLCCでも機内持ち込み可能だと思います。

このバッグは最高です。シンプルな箱型なので、内容量が大きくて詰めやすいのです。しかも軽い。気に入ったのでサイズ違いで4個ほど買ってしまいました。

夏の旅行はそもそも服の量が少なくてすみます。そして旅の途中で洗濯する決断さえすれば、旅行の荷物の量はぐっと減ります。

しかし、服・下着類は速乾性のものをチョイスする必要があります。夜ホテルで簡単に洗って絞らずにつるしておくだけで朝になったら乾いているようなものです。

登山系のものにそうしたものはあるのですが、下着類はともかく、シャツ類が「いけてない」のが難点です。どうして登山用シャツってチェック(しかも私の趣味ではない)しかないのでしょう?

 

もともと海外出張でも畿内持ち込みの手荷物1つで2週間でも旅してきましたので、スーツと革靴を持ち歩く必要のないプライベート旅行ならこれ1つで楽勝でした。

 

飛行機から降りて、バゲージクレームのベルトコンベアーの前で待つことなくすぐに外に出られるのは快感ですね。ロストバゲージの心配もありません。

ただし、液体類は持ち込めませんので、最後のアテネ→羽田だけは荷物を預けました。美味しそうなオリーブオイルを買ってしまったので。