以前、無料テストについての記事で、こんな言葉を紹介しました。
TANSTAAFL
"There ain't no such things as a free lunch"
子供の情報流出リスクと無料テストの関係 - 中学受験のプロ peterの日記
その後、何人かの方に質問されたので、ここで少し紹介します。
※アメリカ文化・英語に詳しい方にとっては「当たり前」の内容ですので、読む必要はなさそうです
アクロニム
英文の頭文字をつないで1単語のようにするのがアクロニムですが、欧米人は好きですね。
NATO・・・North Atlantic Treaty Organization
UNCTAD・・・United Nations Conference on Trade and Development
小学生は英語を(ほぼ)未修ですので、受験生泣かせです。
おそらくSNS文化のせいだと思うのですが、日常会話でもいろいろな「アクロニム」が飛び交います。
◆IYKYK・・・If you know, you know
「わかる人にはわかる」
そういえば、アメリカ人って、会話に「 you know」を多発する人がとても多いですね。「ね、わかるよね」「知ってるだろ?」「だよね」という意味なのでしょうが、奥ゆかしい日本人としては、何とも言えない押し付けがましさを感じて私は嫌いです。
もっともアメリカ人に聞くと、とくに深い意味や目的があって使うのではなく、言葉を途切れさせないように使う、「えっとね」「それでね」程度の軽い使い方だそうです。
◆TLDR・・・Too long; didn’t read
メールの文章が長すぎる場合の返信に使うようですね。
◆FYI・・・For your information
「参考まで」という意味でしょうか。「ちなみに」「ところで」くらいのニュアンスだと思っています。
◆ASAP・・・as soon as possible
これなど、「なるはや」と日本語でも使われるものと一緒です。
しかし、「なるはや」なんて今でも使うのかな? こうした略語は、流行があるので使用注意ですね。
◆RSVP・・・Répondez s'il vous plaît
私はパーティーの招待状などもらったことがないのですが、アメリカの小説で見かけました。出欠連絡をください、というフランス語の決まり文句のアナクロニムです。
◆FAQs・・・Frequently Asked Questions
これも考えてみればアナクロニムでした。よくHPの質問コーナーで見かけます。
◆TGIF・・・Thank goodness(God)it’s Friday!
これはよくわかりませんでした。
商売柄、週末=仕事の稼ぎ時、なもので、金曜日に「やったぜ、ありがたい週末だぜ!」という気分になったことがないのです。
日本語でいえば「花金」です。「花金」って、たぶん死語ですね。
◆BYOB ・・・Bring your own beer
これはわかりやすい。ビール持参でね、という招待状ですね。
Potluck Party、つまり参加者の持ち寄りパーティーもよく開かれます。私はアメリカで一度そうしたパーティーに日本酒を持参して失敗しました。
主催者がフランス人で、アメリカ人・韓国人・日本人・メキシコ人など多国籍の人が集まったのですが、アメリカのスーパーで買った日本酒が、「甘すぎ」て「美味しくない」お酒だったのです。テキーラをがんがん飲んでいるメキシカンが、「ジャパニーズ・サケは強すぎるぜ!」と言って飲もうとしませんでした。自分が飲んでも不味いお酒は持参してはいけません。
◆BOGO・・・Buy one, get one
これはアメリカのお店で本当によく見かけますね。
「一つ買ったら一つタダ!」というわけで、まるでテレビ通販のようです。
Buy 3 Get 1 Free というのもよく見かけます。
◆YOLO・・・You only live once
これは「今を楽しめ!」ということでしょうか。
◆IMO・・・In my opinion
◆IMHO・・・In my humble opinion
これなら、謙虚な感じがして使いやすそうです。しかし全ての会話・文章にこれが書かれていたら嫌ですね。
◆ ICYMI・・・In case you missed it
◆AMA・・・Ask me anything
この程度なら、あえてアナクロニムにする必要ってあるのかな?
フリーランチ
どうも発祥はシカゴあたりらしいですね。
在シカゴ日本国総領事館のHPにはこうありました。
◆摩天楼発祥の地・・・近代建築の宝庫と呼ばれ、世界最古の鉄筋高層ビルや超高層ビル、奇抜なデザインのビルなどが存在。
◆コンベンション・シティー・・・アメリカのほぼ中央に位置するという地の利から、コンベンションや産業見本市が開催されることで有名。大規模なものでは5万人を超え、市内のホテルの確保は困難になる。
◆交通の要所・・・アメリカのほぼ中央に位置することから、かつては水路・陸路、現在は空路の要所として繁栄。
◆シカゴの産業・・・1871年のシカゴの大火を境に大きく変貌。以前は、穀倉地帯と家畜置場があったことから農畜産業が盛ん。大火後は、農業から工業へと変わり、家具市場・冷凍食品・家電・工業機械・通信販売等が全米トップ。
◆シカゴ発祥の産業・・・マクドナルド、リグリー(チューイングガム)、ユナイテッド航空など。
大火直後のシカゴを訪れた岩倉具視が、復興資金を5000ドル提供したとありました。
どうやら19世紀あたりに、集まった労働者たちが昼にビールを飲みに店に集まった際、1杯5セントのビールを頼むとフリーランチが提供されたとのこと。
これがやがて全米に広がったということのようですね。
ランチといっても、酢漬キャベツにソーセージ、ライムギパンに豆のスープくらいだったようですが、塩辛いランチを食べれば、ビールも進みます。ちゃっかり店の利益になっていたと思われます。また、夜にまた飲みにきてくれれば儲かりますので。これは現代の日本でも、夜は高い店が格安でランチを提供しているのと同じでしょうか。
むしろ、喫茶店のモーニングサービスのほうが近いのかな?
こうしたフリー・ランチを提供したのが、「ウエスタン・サルーン」という飲み屋です。バーですね。
名前の通り、西部開拓にともなって勃興した飲み屋でした。
映画の西部劇に出てくる、カウボーイが集うあのバーなのでしょう。ちょっと憧れます。
もっとも、最近の子どもたちは「西部劇」も「時代劇」も知りません。見たことがないそうです。アメリカ人の旺盛な自立心や、銃の所持を保証したアメリカ合衆国憲法修正第2条、さらに先住民との関係などをわかりやすく説明しようとするときに、よく引き合いに出すのですが、見たことがないのならどうしようもありません。これだって立派な教養だと思います。
このあたりについては、サントリーのHP連載のエッセイが面白いです。
酒好き、とくにバーボン好きにはたまらない蘊蓄の宝庫です。
子どもには読ませるわけにはいきません。
TANSTAAFL
"There ain't no such things as a free lunch"
フリーランチなんてものは無い
→タダのものなんてない
→タダほど高いものはない
こんなかんじでしょうか。
どうやらこの表現が広がったのは、 R.A.ハインラインの書いたSF,「月は無慈悲な夜の女王 (The Moon is a Harsh Mistress)」(1966)がきっかけだと思われます。
SFというと、日本ではもう一つステイタスが低い文芸ジャンルのようですが、アメリカでは違います。
私も中学生のころに読んだはずですが、もちろん覚えていません。