中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

サンデーショック考察

中学受験をお考えのみなさんなら、「サンデーショック」という言葉はご存じですね。

東京・神奈川の中学入試解禁日は2/1ですが、この日が日曜日にぶつかると、ミッション系の学校が日曜日を避けて入試日を移動するため、例年から大きく受験パターンが変わってくる、まさに「ショックだ!」というところから言われるようになった言葉です。

今回は、過去のサンデーショックの事例をみながら、今後について考察してみたいと思います。

1.2/1が日曜になった年・なる年

1987/1998/2004/2009/2015/2026/2032

こうなっています。

2024年4月現在小5の方が受験する2026年の2月1日が日曜日となります。

次に来るのは、2032年ですから、現在幼稚園の年中でしょうか。

ところで、前回は2015年でした。現在大学4年生だった方が中学受験をした年ですね。

 

2.1日校(女子校)

71 桜蔭      
70        
69 女子学院 渋谷渋谷①    
68 早稲田実業      
67 雙葉 洗足①    
66        
65        
64 フェリス 広尾①    
63 吉祥①      
62 鴎友①      
61 頌栄① 東洋英和A    
60 立教女学院 中央大附①    
59 学習院女子A 中大横浜    
58 香蘭① 三田国際① 広尾小石川①  
57 青学横浜英和A 法政①    
56 成蹊① 都市大等々力①    
55        
54 大妻① 成城学園    
53 山脇A 品川女① 日本女子①  
52 共立女子① 横浜共立A 横浜雙葉 田園調布①
51        
50 普連土① 東京女学館    


四谷大塚の偏差値表から、偏差値50以上の女子校をまとめてみました。ところで、日能研の偏差値表も見ていたのですが、偏差値の数値はほぼ同じか、少しだけ四谷大塚のほうが高い数値となっているのですね。ということは、現在では日能研の生徒層は、四谷大塚の生徒層と同じか、少しだけレベルが高いということになりますね。まあこの偏差値の1~2ポイント程度は誤差の範囲内ですのでそこまで気にする必要はありませんが、昭和の四谷大塚の勢いを知る者としては隔世の感があります。

手元にはSAPIXの偏差値表もあったのですが、使いませんでした。立教女学院が偏差値50程となっていて、一般的ではないと考えたからです。やはりSAPIXの生徒層は高いレベルなのですね。

1日校のうち、色をつけた学校がカトリックプロテスタント校です。つまり、これらの学校が入試日を1日から2日に移動する可能性がある学校です。

 

3.前回(2015)はどうだったのか

 

2015年の入試では、女子学院、東洋英和、立教女学院横浜雙葉、フェリス、横浜共立あたりが試験日を1日から2日に移動したと記憶しています。そのため、1日校が減り、2日に受験日が密集しました。例年では考えられない受験パターンが可能となったのです。桜蔭と女子学院のW合格が端的な例ですね。そうした影響は、このように現れます。

①1日校が難化する・・・従来桜蔭と女子学院に分散していた受験生が集中するためです。

②1日校が易化する・・・2日に本命の学校の受験日が移動すると、1日にチャレンジがしやすくなります。そのため、優秀な受験生が上へシフトすれば、それ以外の学校は易化します。

③2日校が難化する・・・例えば、立教女学院学習院女子の併願が可能になれば、2日に移動したために難易度が上がる可能性があります。

④2日校が易化する・・・2日受験校が集中すれば、それだけ受験生が分散しますので。

さて、矛盾した状況をあげました。もうおわかりでしょうか?

サンデーショックの影響は一般化できないのです。

つまり、学校によっては難化するが、学校によっては易化するとしかいえないのです。

 

4.そもそもサンデーショックは業界目線の言葉

 我々受験業界の人間は、「サンデーショックだ!」と大騒ぎする傾向にあります。それは例年の受験パターンが乱れるため、生徒の受験校の組み立てに苦慮するからですね。難易度の予測がしづらくなるのは確かです。そのため、「来年はサンデーショックの年ですから!」と保護者相手に力説しがちなのです。

しかし、冷静に考えてみてください。受験生にとっては、ショックでもなんでもありません。生涯に1度の中学受験の機会なのですから、その時の受験校の日程をみながら受験戦略を組み立てるだけの話です。

以前から、私は「サンデーショック」を連呼する塾が好きではありませんでした。受験生数の増減で合否が左右されるようでは、そもそもその学校を受験させてはいけないレベルだったということなのです。プロならば、きちんと安全策を確保したうえで、志望校へチャレンジできるようにアドバイスすればよいのですから。

 

5.複数回入試が状況を変えた

今や、2月1日、あるいは2日に1回だけの受験を実施する学校は少数派です。多くの学校では、複数回入試が当たり前となりました。そのため、いくつかの学校の受験日変更の影響は吸収されてしまいます。以前ほどは「ショック」ではなくなりつつあります。

 

6.フェリスの発表

フェリスが、早くも2026年の入試日を移動しないことを公表しました。普通は受験日の確定はもっと後になるものですので、このタイミングでの公表は珍しいですね。しかし、受験生にとっては実にありがたい公表でした。現在小5の受験生にとっては、学校選びはすでに始まっていますので、「受けられる」のか「受けられない」のかが早い段階でわかることはメリットでしかないからです。

このフェリスの発表の後、横浜雙葉も受験日を変更しないことを公表しました。

この両校の発表を受けて、他の学校でも公表が前倒しされるかもしれません。また、受験日を移動しない学校が増える可能性もあります。

もしそうなれば、受験生にとっても歓迎すべき事態といえるでしょう。

 

7.結論

結論を申し上げます。

サンデーショック」という語句に惑わされるな!

これです。

仮に姉妹で受験されるような場合、「姉のときと妹のときでは受験校の組み立てが違う!」となるかもしれません。しかし、学力も性格も異なる二人の受験を、同じように考えることがそもそも間違っているといえます。

現在小5で受験がサンデーショックとなるとしても、別にショックでもなんでもありません。得もしなければ損もしません。

確定した試験日を見ながら受験校を組み立てていけばよいのです。