中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

小学生から中学生へのスマホの与え方を考える

中学受験をする子供にパソコンやiPadスマホをいつから与えるべきか、何を与えるべきか考えよう

 

親としては一番悩む問題かもしれません。

いったいいつからスマホを持たせるべきか?

タブレットPCは持たせてもいいのか?

各ご家庭なりに方針はあるかと思いますが、多くの保護者の方の話を聞き、子供の様子を見ることで、私なりに出した結論があるので、整理しながら一緒に考えてみることにしましょう。

ちなみに、私は相当保守的な人間ですので、「今時古い!」と言わないでくださいね。

 

1.スマホを与える時期

これは、「私立(国立)中学に進学した時」が正解だと思います。
今は、学校からの連絡はメールが普通です。
また、クラブ活動の連絡もLINEでやり取りしています。
課題の提示や提出もロイロノートを使っているところが多くあります。
さすがに中学生になってスマホを持たないと、完全に情報弱者になってしまいます。
もちろん、私立中といえど、スマホを持っていない生徒もいます。その場合には、部活の連絡などはメールで送っているそうです。考えてみれば、学校にいる間は直接伝えればすみますし、学校を離れた連絡も、自宅PCでメールチェックすればすむ話です。
 
自宅から離れた塾に通うため、緊急連絡用に小学生でスマホを持たせるのはどうでしょうか?
小学生までは、電話機能とGPS機能にしぼられた、いわゆるキッズ携帯で十分です。
たまに、塾にスマホを持ってきている生徒もみかけます。
ただし、塾内では出さない良識があれば問題ありません。帰り際に、家に「今終わった。」と電話し、そそくさと鞄に戻している子は安心です。
問題だなあと感じるのは、教室内で得意そうにスマホを出している生徒です。
何を見てるのかはわかりませんが、そうした生徒の周りに生徒が集まっているのを見かけます。
親はわが子のそんな行動をご存じなのでしょうか。
 

2.スマホを持たせる条件


さて、中学生になってスマホを持たせるとしても、以下の条件は必須でしょう。

 

 (1)学校が定めたルールに従う

多くの学校で、学校でのスマホの使用についてルールが定められていると思います。それに従うことは当たり前です。学校内では電源OFFというのが一般的だと思います。
しかし、中にはルールがなく、完全に自由な学校というものもあります。
だからといって、どう使おうと自由ということではないはずです。
 

 (2)常に親が内容をチェックすることを前提とする

 たぶん、このことを嫌がる子供が大半だと思います。
 嫌がる理由は、2つしかありません。
 〇親子の間に信頼関係が構築されていない
 〇親に見られると困ることに使おうとしている
もし親が監視することを理由なく感情的に嫌がるとしたら、問題はスマホにあるのではなく、そうした親子関係にあるということになります。
親はいつでもチェックできるが、子を信頼しているので実は見ない
子は親にチェックされても特に気にならない
こうした信頼関係があれば、何の問題もないはずですよね。
 
もし、親に見られると困ると考えているのなら、その子はスマホを与えてはいけない子であるということです。
 

 (3)SNSは基本的に禁止

学校生活に必要最低限なLINE等は許可しても、その他のSNSは禁止すべきです。
学校の先生方は皆口を揃えておっしゃっています。
SNSは問題しか起こさない」
日頃中高生に接している先生方の発言は無視できません。
 
学校で学年が変わりクラス替えがあると、さっそく「クラスLINE」を誰かが主導で作るようですが、これだって、イジメの温床になりかねないのです。毎日会っているクラスメートと、SNSで繋がる必要性って、何なんでしょうね?
ところで、塾の卒業生たちが、「〇〇塾卒業生LINE]を作っているというのも良く聞く話です。違う学校に進学しても繋がり合っていて、互いの文化祭を訪問しあっていると聞きました。離れている友人、なかなか普段会うことのできない友人と繋がる手段としてのSNS、こちらが王道でしょう。
 

 (4)寝るときに部屋へ持ち込ませない

非常に大切なルールです。
充電台は、リビングルームなど家族共有のスペースに置きましょう。夜通しLINEの着信があるかもしれません。しかし、そんなに緊急の連絡なんてあるはずもないのです。周囲の友人たちがそうであったとしても、自分は「夜は出ないから」と宣言しておけばすむ話です。
子どもたちの睡眠不足の原因を作る必要はありません。
 

 (5)ゲームはインストールしない

これも「今時古!」と怒られそうな条件ですが、とても重要だと思っています。
スマホゲームをやることで、お子さんに何かメリットはありますか?
「みんなやってる」
これは理由にはなりません。
「話題についていけなくなる」
そんな話題についていく必要はありません。
 
ゲームは、才能のある大人たちが、いかにユーザーを中毒にするか、ということに知恵を絞った結晶です。電車内を見てみてください。いい歳した大人たちが、みなスマホに顔をうずめるようにしています。何を見ているのか知りませんが、どうやらゲームに夢中の人も多いようですね。目の前に高齢者が立ったとしてもお構いなしの大人たち。本当にみっともない光景だと思います。それだけ、スマホゲームの誘惑は強力なのでしょう。そういえば、2年ほど前に、遮断機の下りた踏切の内側でスマホを見ていて電車に轢かれた女性のニュースがありました。彼女がいったい何を夢中になって見ていたのかはわかりませんが、もしゲームだとしたら怖すぎます。
子どもにとって、誘惑が強すぎると思います。
 
私が教えた生徒で、同じ中学に進学した生徒が2名いました。最難関で知られる学校です。
ある日1年ぶりにそのうちの一人、A君が顔を出したので、学校の様子をいろいろ聞き出しました。A君は、どちらかといえば不真面目な生徒で、もう一人のB君は真面目優等生タイプでしたね。
ところで、こうして中高生になってもたまに顔を見せてくれるのは、だいたいがA君のような不真面目キャラの子で、B君のような優等生タイプはまず来ないのはおもしろいですね。
その中学校では、学校内でのスマホの使用は禁止で、校内では電源を切るルールだそうです。
1年もたてば、そのルールが守られぬようになることは容易に想像つきましたが、意外だったのは、まっさきにルールを無視しそうなA君が律儀に守っていることでした。
「だってさ、きまりはきまりじゃん。別に学校でスマホ出す必要もないし。でもさ、先輩とLINEでつながろうとするとき、めんどくさいんだよね。いちいち学校の外に行かないと電源入れられないからさ。」
A君も大人になったもんだ。少しだけ見直しました。クラスメイトの様子を聞くと、もはやスマホルールを守っているのはminorityだそうで、休み時間には皆ゲームに夢中だそうです。
「プロセカとかかな、みんながはまってるの。俺やらないからよくわかんないけど。Bなんか、この前授業中に机の下でゲームやっててスマホ取り上げられてたよ。」
A君によると、赤点追試組の常連が何人かいて、B君もその一人だそうです。赤点追試組は特定の部活の生徒が多いとのことで、たいして忙しくない部なのになんでかな、と首をひねっていました。
なんとなく想像がつきます。
その部では、ゲームが流行ってしまったんでしょうね。
A君自身は部活と勉強とで遊んでいる場合じゃないそうです。
クラスで一番勉強ができる生徒を勝手にライバル認定して、その生徒に勝つために手が抜けないとぼやいていました。
 
みなさんは、自分の子供に、A君、B君、どちらのような中学校生活を送ってほしいですか?
 

 (6)GPSは常にON

おそらく、子供にスマホを持たせる最大のメリットが子供の居場所の確認ができることだと思います。
お子さんを守るためにも、GPSは常にONにして、居場所確認ができるようにしておきましょう。

 (7)歩きスマホ禁止

車を運転される方なら同意していただけると思うのですが、スマホを見ながら歩いている人って、多いですよね。しかも、イヤホンをして。
これでは、車に轢いてくれといっているのも同然だと思います。
「歩きスマホは危ないし、迷惑だし、みっともない」
こういう良識を子供たちには持ってほしいと思います。
 
本当は、こんな細かい注意をしなくても、子供自身が自分で考えて良識ある使い方をするべきです。
ただ、まわりの生徒たちが、必ずしも良識的な使い方をしているとは限りません。
まわりの行動に影響を受けやすい時期です。
スマホを与えるときには、お子さんとじっくりと上にあげたような事を話し合ってほしいと思っています。
 
何年か前になりますが、アメリカの母親が13歳の息子に初めてiPhoneを渡した時に作った契約書というのが話題になりました。ご存じの方も多いかと思います。
 
内容を一部抜粋してご紹介します。
あなたは今日からiPhoneを所有できます。やったね!責任感のある賢い13歳なので、このプレゼントはあなたにふさわしいです。しかし、所有にはルールがあります。以下のルールを守れない場合、あなたの所有権もなくなります。
・パスワードは必ず報告すること
・このテクノロジーを使って、嘘をついたり人を傷つけないこと
・人に面と向かって言えないようなことをメールやSNSで言わないこと
・友達の親の前で言えないようなことをメールやSNSで言わないこと
・上を向いて歩いてください。グーグル検索なしで考えてください
他にもたくさんのルールがありましたが、どれももっともだなあと思うものばかりでした。

3.個人情報とプライバシー

 私の知人の娘さんの話です。
 そのご家庭では、スマホの使用には厳しいルールを定めていました。家で自由に使わせません。
 でも、祖父・祖母の家にいくとそうはいきません。wifiも飛んでいます。
 親の目が届かぬ隙に、TikTok LIVEをこっそり配信していたそうです。
 自分の情報を全世界に発信してしまうことの意味がわかっていないのは恐怖でしかありません。
 

4.ネットリテラシーの大切さ

 スマホにしてもPCにしても、そこで得られる情報の確度は非常に低いものです。
 それらの中から正しい(であろう)情報を拾い出すには、大人でもかなりの修行が必要です。
 トランプ前大統領の支持者を見ればわかります。「俺の選挙は盗まれた」という根拠の全くない主張をいかに多くの人が信じたか。
 最近は学校でもネットリテラシー教育には力を入れているようですが、ご家庭でもじっくりと話合うテーマだと思います。
 

5.親が手本

いろいろ書き連ねましたが、一番良いのは、親が手本を示すことです。
スマホゲームにはまっている
自宅で予備バッテリーが必要なほど長時間使い続けている
スマホで一日中LINEの着信音が鳴っている
Yahooニュースで得た知識を話題にすることが多い
トイレにもスマホを持っていく
食事に行くと、インスタにあげる写真を撮り終えるまで子供は食べさせてもらえない
親がこんな状態では、子供にどんなルールを課したところで説得力ゼロとなってしまいますものね。