中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

中学生になって使うPCは何を用意すればよいのか

前回の記事が長くなり過ぎたので、続きをこちらに書きます。
今回は、具体的なPCの選び方についてです。
 

1.子どもが使うPCはいつ何を用意すればよいのか

これも、中学に進学したタイミングで用意しなくてはいけません。
もちろん、家族共有のPCでも十分です。
学校によっては、iPadを授業で活用するために、一人一台用意させるところもありますね。
宿題や提出物のやり取りもオンラインで行うため、家で購入することを求められたりもします。
もちろん学校の指示に従いましょう。
でも、とくに指定が無い場合はどうしましょう。
 
私のおすすめは、デスクトップPCです。
 

2.ノートPCとタブレットPCがお勧めできない理由

 (1)ノートPCの弱点

 ノートPCはたしかに便利ですし、使い勝手が良いと思われるかもしれません。zoomをする場合でも別途webカメラを用意しなくてもすみますし。部屋から部屋へ移動も簡単です。しかし、ノートPCには以下の弱点があるのです。
◆モニターとキーボードの位置が不自然
 仕事でPCを使う時間が長い方は同意いただけると思います。椅子・机の高さとキーボード・モニターの位置関係は重要です。長時間不自然な姿勢でPCを操作すると、肩や首に問題が発生します。
◆モニターサイズが小さすぎる
◆キーボードが使いづらい
◆子供が親の目の届かぬところで使うことができる
自分の部屋にノートPCを持ち込む。もちろんそれで何の問題もない子が大半でしょう。しかし、私は子供性善説にたっていません。長年多くの子供たちを見て来た結論です。子供にそこまでの自制心を求めるのは無理だと思っています。

 (2)タブレットPCの弱点

同様の理由で、タブレットPCもおすすめできません。
iPadはたしかに便利です。性能も優れています。iPhoneとの連携も素敵です。寝そべっての映画鑑賞などに最高ですね。
ただ、ノートPC同様、持ち歩きしやす過ぎるという欠点があります。
今、子供たちの睡眠不足の3大原因は、SNSとゲームとYoutubeです。
勉強に必要だから、そんな名目で自室にiPadを持ち込む。不安しかありません。

 

3.デスクトップPCをお勧めする理由

 

わたしがノートPCよりもデスクトップPCを推奨するのは、以下の理由からです。

 (1)ディスプレイが大きい

ノートPCは、どうしてもモニターサイズが小さいです。今、ネットでノートPCを画面の大きい順に検索してみたら、18インチが最大でした。MacBookだと、13インチ~16インチです。
小さな画面を覗きこみながら背中を丸めてキーボードに向かう。
どう考えても子供の成長に悪影響しか感じられないです。
デスクトップPCだと、売れ線の画面サイズは22~24インチだそうです。

私もPCの使用時間が長いので、27インチのモニターを2台マルチディスプレイ構成で使っています。一度これに慣れてしまうと、もうノートPCのチマチマしたモニターには戻れないですね。
一度、「パソコン 姿勢」のワードで画像検索してみてください。
「PC作業の正しい姿勢」のイラストがたくさん見つかると思います。
 

 (2)ブラインドタッチに適する

PCを使うためには、ブラインドタッチの取得が必須です。
今や、学校のレポートや作文等も、データでやり取りする時代です。
ブラインドタッチができないと致命的です。
そして、ブラインドタッチの取得は、最初が肝心です。
一度おかしな癖がつくと、矯正不可能です。
ノートPCのキーボードは、サイズ上の制約から、ブラインドタッチがしづらいですね。
もしノートPCしか与えられないのなら、せめて外付けキーボードを用意しましょう。5000円も出せば、10キー付きのBluetooth接続のキーボードとマウスが買えてしまいます。

 (3)タッチパッドよりマウスのほうが使いやすい

 こればかりは個人差があるかもしれません。私はマウス派です。ノートPCのタッチパッドで作業はできません。
 

 (4)オンライン授業用のカメラは外付けで間に合う

ノートPCにはカメラが内臓されていますので、この点をノートPCを選ぶ理由とする方も多いですね。
でも、外付けwebカメラを使えばいい話です。
しかも、安いものは3000円程度で買えますが、それでもノートPCのものより性能は上です。
 

4.必要なスペック・機能・アプリケーションソフト

 PCについては、少しでも高いスペックのものが欲しくなりますね。凝り出せば青天井です。でも、子供が使う用途は限定的です。
◆学校との連絡・・・Googleclassroom、ロイロノート、メール等
◆調べもの・・・・・ブラウザ
◆文章作成・・・・・ワード等
表計算・・・・・・エクセル等
 
上記に加え、パワポ等のプレゼン資料を作る場合があるかもしれません。
一般に、PCでハイスペックが要求されるのは、映像の加工やイラストレーター、ゲーム等に使う場合です。
子どものPCでそうした使い方はしません。
したがって、最低限のスペックで何ら問題はありません。
また、大量のデータをPCに保存する必要もありません。基本的にはクラウド上へ保存し、PCには使用するときのみ一時的にデータを置く、そうした使い方になるでしょう。
 

 (1)小型PCがおすすめ

子どもが勉強でつかっているデスクを見てください。
机上に本やノート類が山のように積まれていませんか?
最近、自分の部屋でなくてリビングのテーブルで勉強したがるなあ、と思われたなら、子供の机が使用不可になっている可能性を疑いましょう。
新たにPCを設置するなら、少しでも省スペースがのぞましいですね。
 

 (2)お勧めの機種

  ◆NEC  LAVIE Direct DT Slim
NECのWEB直販限定モデルです。NECの公式通販サイトから購入できます。
スペックにより価格が異なります。
中庸と思われる機種を見てみると、
メモリ:8GB (8GB×1)
SSD:約256GB SSD
ディスプレイ:24型ワイド VA液晶(スピーカ内蔵)
オフィスアプリ:Microsoft Office Home & Business 2021
と、もう必要十分というか、過剰な性能です。オフィスも入っています。
これで、212080円となっています。
これが、「安い!」と思われる方は、この先を読む必要はありません
 
HPを見てみると、
「パソコンの開発・生産を行っている自社の国内工場で一貫した品質管理を実施し、優れた商品と高い信頼性を誇るパソコンを国内工場からお届けしています。」
「国産」であることを重視される方には良いでしょう。
ただし文面を良く読むとわかるように、この工場で生産とはうたっていません。「国内工場からお届け」となっています。
これはどういうことなのか、説明します。
  ※国産PCという幻想
そもそも、国内の主要メーカーはもはや海外資本となっています。
 
NEC・・・・Lenovo中国企業)の傘下
富士通・・・Lenovo中国企業)の傘下
シャープ・・鴻海精密工業(台湾企業)の傘下
東芝・・・・PCブランドをシャープに売却、つまり鴻海精密工業(台湾企業)の傘下
 
その他のブランドにしても、中身は日本製ではありません。
PCに詳しい方ならよくごぞんじだと思いますが、今や日本のみならず、アメリカのブランドであっても、中身のほとんどが中国・台湾・ベトナム等海外製品です。それを国内工場で組み立てているものが「国産」というだけなのです。
 
PCの主要構成要素は以下のとおりです。
CPU・・・アメリカ(国産のものはありません)
マザーボード・・・台湾・中国
モリー・・・台湾・中国
SSD・・・台湾・中国
モニター・・・台湾・中国・韓国
 
「国産」にこだわる必要はどこにもありませんね。
 
  ◆EPSON ST210E【OL5】
エプソンも、通販専用モデルを展開しています。
上記NECとスペック的に同じくらいのものを見ると、163900円でした。ただし、オフィスソフトは入っていません。
これに、オフィスソフトを入れると、やはり20万はしそうです。
 

  ◆DELL Inspiron 24 オールインワン

アメリカのDELL(ただし中国製)で最も安い物を探すと、こんなものがありました。
HPで性能を確認すると以下のとおりです。
モリー:8GB
ストレージ:SSD(256GB )
ディスプレイ:23.8インチ 
 
いわゆるデイスプレー一体型ですので、拡張性やもっと大きなモニターを求めない方には良いかもしれません。
 
性能的には最低限ですが、価格は89542円となっています。
 

 (3)BTOパソコンという選択

BTOパソコンとは、Build To Order、つまり受注生産のパソコンです。
広義には、上にあげたEPSONやDELLも含まれます。
スペックをカスタマイズして注文するPCです。
さらに、いわゆる秋葉原系のPCショップも、BTOパソコンを扱っています。
パソコンの自作を行った経験があればわかるのですが、今やパソコンは、CPUやマザーボード等をバラバラに買い集めて好きなように組み立てることは難しくはありません。
とはいっても、そこまで行くとPCの泥沼にはまりますし、価格的にも昔ほど格安ではなくなり、かえって高くつく場合が多いです。
しかも、ある程度の知識も必要です。
 
そこで、いっそのこと専門ショップに頼んでしまえば、もっと楽にお好きなスペックのPCが手に入ることになります。
 
私が自宅で使用しているデスクトップPCは、「パソコン工房」というショップで頼んだBTOパソコンです。以前は自作もしたものですが、最近は面倒くさいので、ショップに頼んだほうが楽ですね。
 
調べてみると、最安のもので、5万円を切る価格で手に入ります。これにディスプレイを買えばOKですね。
 
デイスプレーの価格は、21インチのものなら、2万円もしません。1万円程度のものでも十分に使えると思います。
 
 

 (4)超小型パソコン

ためしにグーグルで、「超小型パソコン」と検索してみると、見たことも聞いたこともないパソコンがたくさん出てきます。
価格はとても安いです。
おそらくは(ほぼ確実に)中国製です。
普通は怖くてなかなか手を出さない商品だと思います。
 ・サポートはないだろう
 ・すぐ壊れるのでは?
 ・そもそも動くのか?
ネットの評判を見てみると、三日で壊れた! といった恐ろしい評判も目にします。

私も迷ったのですが、ついにこんな商品を買ってしまいました。

  CHUWI LarkBox Pro

超小型パソコン

これで動くのか、不安になるほどのサイズです。
CPUはCeleronで、メモリーは8GB、ストレージは128GBと、ほんとうに最低限スペックです。価格は当時で2万円を切っていました。
 
今調べてみると、廃盤のようですが、とても良く似たものが、他ブランドから同じような価格帯で出ていました。
 
拡張性はほぼありません。つなげるケーブルも、USB-Aが2つ、HDMIが1つ、MicroSDスロットが1つ、イヤホンジャックが1つ、以上です。(写真にあるUSBーCは電源専用でデータ通信はできません)
 
これに21インチモニター、Bluetoothキーボードとマウスを揃えても、2万円しませんので、4万円以下でデスクトップパソコンが使えることになりますね。
 
さて、実際に使ってみた感想です。
全く問題ありません。
このPCで重い作業をするつもりはなく、文書作成やzoom会議、ネット検索程度ならストレスなく使用できます。
恐れていた故障も今のところなく、順調に動いています。
立ち上がった直後は、CPUが100%の稼働率で作業は何もできませんが、少し待てばちゃんと動きます。時折文字入力がおかしいときもありますが、これも一旦アプリを閉じてもう一度立ち上げれば復帰します。要は、マルチタスクさえ捨てればOKというかんじですね。
気に入ったので、もう1台買い足したくらいです。
 
ただし、万人にお勧めできるかというと、そうではありません。
ネット上では、悪評もたくさんありますので、買うなら自己責任で、壊れてもOKくらいの広い心が必要ですね。
 
実は、昨年のアマゾンのセールで、こんなのも買ってしまいました。
  ◆GMKtecミニpc

miniPC

すいません、箱の写真だけです。右下のPCとマウスはサイズの比較のため載せました。箱の中身は職場にあるので写せませんでしたが、箱の大きさから中身のコンパクトさがわかると思います。以前に買った超ミニPCよりは一回り大きいですが、それでも十分小さいです。

GMKtecミニpc 最新第12世代インテルAlder Lake N100 mini pc Windows 11 Pro DDR5 12GB+512G SSD 4コア/4スレッド という、怪しさ満点のPCです。21920円でした。

使い始めてから1か月ほどしかたっていませんが、実に快適です。CHUWI LarkBox Proで感じていた多少のストレスも解消しました。これで3年ほど壊れなければ大成功でしょう。

 

こちらも万人に全くお勧めはできませんが、私は気に入りました。

こちらにはオフィス系ソフトも何も入れていません。セキュリティソフトだけです。

作業はクラウド上と割り切っています。

 

5.アプリケーションソフト

 
 一般には、ワード・エクセル等の一式が入っているマイクロソフトのオフィスを入れると思います。これさえ入れておけば互換性もばっちりですね。
ただし、お高いです。
Microsoft Office Home & Business で約35000円
たいして使いこなせもしない子供のPC用としてはもったいない気もしますね。
もしすでにオンライン版のMicrosoft 365 Personalを他のPCで使用中なら、5台まで使えますのでちょうどいいですね。
ただし、新規に導入すると、12000円/年 が毎年必要ですので、割高です。
私が導入しているのは、Kingsoft社のWPS Officeという製品です。
いわゆる、オフィス互換ソフト の定番です。
ワード・エクセル・パワポの互換ソフトがそろっていて6000円くらいですね。
マイクロソフトのオフィスとの互換にも、不満は全くありません。複雑な関数や微妙なレイアウトを駆使するのでなければ、これで十分でしょう。
 
このほかに、セキュリティソフトを入れれば完璧ですね。