前回、ビジネスのプレゼンにおけるパワポの使用の是非について考察しました。
実は本題はこっちです。
パワポ授業が本当に効果的なのでしょうか?
じっくり考えてみましょう。
結論から言うと効果的ではない
前回の記事の最後にこう書きました。
プレゼンで私が行きついた境地は、A4ペーパー1枚だけを配布するプレゼンである
考えてみると、今の私の講義スタイルと似ています。
板書は1枚しか書きません。
そこに書いた内容というのは、生徒へ見せ続けたい重要やワードだけであり、また教師のメモの役割も果たします。
それが1枚だけ書かれていれば、あとは1時間でも2時間でも講義ができます。
生徒の反応を取り込みながら、アドリブで。
板書のやり方についてはこちらでも考察しました。
黒板のスペースというのも限られています。
縦のサイズはだいたい共通していて、せいぜい10~16行程度しか書けません。
書く内容を吟味・精査してから板書します。
これ以上の視覚情報は授業には不要です。生徒の集中の妨げにしかならないからです。
資料の写真や動画を見せたいと思うときもありますが、これらを活用するのは低学年だけですね。彼らは本当に集中力が続きませんので、時折わざと集中しなくても良い瞬間を用意しないともたないからです。
つまり、写真や動画は、生徒の集中力を途切れさせる(切り替える)手段として使うのです。
受験学年ともなるとそうした時間の余裕はありません。
したがって動画・映像は不要である。
だとしたら、パワポを使う意味はありません。
授業はライブである
これが私の持論です。
計算され尽くした楽曲を予定通りに並べているCDアルバム(やがてCDも死語になるのでしょう)とは異なり、ライブは客の反応が全てです。反応によって楽曲の順番も変わるでしょうし、予定していた曲の替わりに別の曲を持ってくることもあるでしょう。場合によっては、アドリブでその場で曲を作ることすらあるかもしれません。(私はライブ経験はありません)
生徒の反応や疑問を即座に取り上げて教室で共有しながら考えていくような授業では、パワポは使えません。
黒板(ホワイトボード)への殴り書きが最適です。
私の殴り書きでは読みづらくて生徒へ不親切な気もしますね。
その場でキーボードで入力してモニターに映し出す、というのも悪くはないです。
何より読みやすい。
ただし、そのスタイルの場合、どうしても入力デバイスであるキーボードを置いた机の前から動けません。
私は、そのためのスタンディングデスクも使いました。(気に入ったサイズ・高さのものが手に入らなかったので自作しました)
しかし、どうしてもデスク前に居場所が固定される気がして、ライブ感を損なう気がしますね。
いっそのことショルダーストラップでキーボードを首から下げますか? そんな格好悪いのは嫌です。
そういえば、昔ライブでショルダーキーボード(ショルキーといった)を使うミュージシャンっていましたね。あれはもしかして私と同じ感覚(キーボード違いですが)だったのかもしれません。でも、あれ、ものすごく格好悪かったですね。
音声認識技術が実用的なレベルになっています。
これをうまく活用すれば、ライブ感のある授業ができそうな予感はあります。今試行錯誤中です。
準備に無駄な時間がかかる
本当に効果的(と思える)パワポを準備しようとすると、ものすごく手間と時間がかかります。
まず、著作権のクリアが大変です。
古刹の写真1枚表示するだけで、時間とお金がかかるのです。
授業の内容・流れをシミュレーションしながらスライドを作成します。
もちろん実際に授業で使うと、予想とは異なる反応・展開になることは多いですね。
そこで授業後に修正を加え、次に活かします。
そんなことに時間を費やすくらいなら、生徒に話す内容を膨らませる調査のほうに時間を費やしたいと思います。
国語の文書を映し出すのはありかも
入試問題を扱うときがそれですね。
テキスト(問題)の文章を大きなモニター(スクリーン)に映し出しながら授業をするとなかなか快適です。
しかし、これも著作権上からは問題です。文字起こしはむろんのこと、スキャンした画像を使用してもアウトです。
きちんと許諾をとる必要があります。
実のところ、書画カメラで手元の問題文を映し出すのですら、営利目的の場合は許諾が必要なのです。
パワポは教師の授業スキルを下げる
たしかにパワポは便利です。
きちんと構築されたスライドを使えば、「誰でも」「それなりのクオリティの」授業が成立します。スライドを次々と切り替えながら、予定された原稿を読み上げればいいのですから。(パワポには原稿メモ機能すらありますしね)
しかし、そんな授業を続けていれば、確実に教師のスキルは下がります。
生徒のほうよりPCに向き合った授業となるからです。
とくに新人の先生には絶対に薦めたくないですね。