みなさんは、普段のPCへの入力は早い方ですか?それとも苦手でしょうか?
今回は、中学生のうちにタッチタイピングを必ず身につけなければならない理由とその方法について書いてみます。
いちおう中学生対象ですが、実は小学生のうちにマスターすべきだと思っています。
必要なタイピングスピード
ある調査によると、ここ数年で小中学生のタイピングスピードは劇的に向上し、一分間の入力速度は、小5で49文字、中2で60文字だそうです。
おそらくこれはひらがなの入力速度だと思われます。
派遣会社パソナによると、事務の仕事をスムーズにできる目安は、ひらがなで一分間100~120字だそうです。
この事務の仕事をスムーズにできる基準というのがよくわかりませんが、たぶん、文書作成やメール作成がストレスなくスムーズにできるレベルなのでしょう。
ということは、とりあえず1分間100文字を目指すと良いと思います。
このレベルになると、頭で考えた文章がストレスなく入力でき、レポートや作文を書く(打つ)のが苦にならなくなると思います。
おそらく、ブログなど日常的に書いている人はこの倍のスピードはあると思います。私も日本国憲法の前文など入力すれば爆速の自信はあります。
フリック入力の罠
「罠」などと大げさな書き方をしましたが、フリック入力には大きな落とし穴があるのです。
最近は、スマホでレポートを書く生徒も増えました。スマホで小説を書く作家もいるということで、今やフリック入力は普通の入力方法です。キーボード入力とフリック入力で競争すると、フリック入力のほうが早かった、そんな話も聞いたことがあります。
しかし、中学生ともなれば、今後は英文を入力する機会も増えてきます。もし海外の高校・大学に行けば、もちろん全て英語入力です。
フリック入力だと、新たに英文フリック入力に頭・指を切り替えなくてはならなくなるのです。
しかも、プログラミングはキーボードを使います。
例え日本語の文章だとしても、キーボードではローマ字入力をしています。ほんの少しの調整で、すぐに英文入力に対応できるようになります。
また、欧米には根強いタイプライター文化があります。入力デバイスとしてはキーボードを使うのが当たり前なのです。その点、家庭用に「ワードプロセッサー(ワープロ)」が普及したのは1980年代になってから、という日本とは歴史に雲泥の差があるのですね。
用意するもの・・・Bluetoothキーボード
Bluetoothキーボードを1個用意するだけです。
無線接続のキーボードには、無線2.4GHzワイヤレスキーボードというものもあり、専用のレシーバーをPCのUSBに挿して接続します。自宅のデスクトップPCで使うならこちらがお勧めです。Bluetoothキーボードは、接続し直さなければならないことが多いからです。
しかし、中学生のタッチタイピング取得の目的なら、Bluetoothキーボードをお勧めします。
これなら、自宅のデスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、スマホ、あらゆる機器の入力デバイスとなりますので。
打鍵感にこだわった高価なキーボードもありますが、別に安いものでも問題ないと思います。キーの種類にも、メンブレン・パンタグラフ・メカニカルと3種あり、価格もフィーリングもまるで異なるのですが、まあそんなにこだわらなくてもよいでしょう。お店で触ってみて問題なければ良いと思います。私も安いものを愛用しています。
アマゾンでちょっとみてみると、エレコムで2399円、バッファローで2280円で購入できるようです。
※注意!
上の写真に写っているシルバーのキーボード、同様のものが様々なブランドから売られています。ANKERでは「ウルトラスリムキーボード」という名前で2000円です。
しかし、このタイプは買ってはいけません。
ものすごく入力がしにくく、かつ、癖が強いのです。
キーボード配列の切り替えをPCの設定からし直すことに抵抗が無い方向けですね。かっこよくて軽くて、出張・旅行に最適だ! と買った私は後悔しました。
そんなに大量に早く文書を入力せず、手の小さな人なら良いのかもしれません。
というわけで、出張・旅行用にはこちらを買いました。
折り畳みキーボードです。隣のマウスと比べるとコンパクトさがわかります。
開くとこんなかんじです。
ちょっと真ん中の隙間が気になりますが、打ってみるとそんなに問題はありませんでした。そもそもタッチタイピングでは左右の手の分担がわかれていますからね。
3つのキーボードを較べてみます。
QとPの間隔は、実は上の2つはかわりません。折り畳みキーボードは、真ん中のヒンジがある分だけ一番広くなっています。
もう一つ肝心なことがありました。
10キーは必須です。
10キーがないものには、いろいろ可愛い色・デザインのものも多いのですが、そんなものを買ってはいけません。
エクセルの表作業をすることを考えましょう。10キーが無いと話になりません。
練習
さて、専用のキーボードを買いました。あとは、スマホでもタブレットでも、適当なデバイスに接続して練習するだけです。
ネットにはたくさんの練習アプリや練習サイトがありますからね。それを使えばよいでしょう。
※注意!
このとき、決して手元を見てはいけません。
何があっても見てはいけません!
慣れないうちは、キーのポジションを確認したくなって、手元をつい見てしまいますが、これをやるといつまでたっても上達しません。
私は、生徒には、タオルで手元を隠すようにアドバイスしています。
手探りで入力する癖をつけてほしいからです。
最初のうちは、ローマ字英文入力モードにして、aaaaiiiiuuuueeeeooooaiueoaiueoといったように母音の練習。次にakasatanahamayarawa さらにaiueokakikkekosasisusesoの練習。最後に簡単な単語の入力。この段階で、はっぴょうかい・いんねんのたいけつのような語句の練習。
毎日5分~10分。1週間もすれば一通りのブラインドタッチはできてくるでしょう。
ぜひとも、読書感想文や作文・レポートを書くことが「まったく苦にならない」世界まで到達してほしいと思います。
教え子に聞きました。その学校では、多くの教科のレポートや作文が「手書き」での提出だそうです。
「時代に逆行してる!」と憤慨していましたが、もしかして手書き文化の灯を消さない意図なのかもしれません。ちゃんと一人1台のPCとロイロノート・Google-classroom等は使っているそうですので。
仕方がないのでその生徒は、まずはPCで作成し、プリントアウトしたものを書き直しているそうです。確かに二度手間で嫌でしょうね。でも、最初の入力が抵抗がない(つまりタッチタイピングが早い)ということなので、この技量は重要です。
記述力・文章力を向上させるためには「たくさんの文字数」を書かなくてはなりません。いくらインプットに努め、頭であれこれ考えても、実際に書いてみないことには記述力など身に着くはずもないのです。
しかし、小中学生(高校生や大学生も)は文章を書くのが嫌いです。大人でもそういう人はいます。大人でも嫌いなくらいですから、小学生に「書きなさい!」と怒ったところで効果はゼロですね。
そしてなぜ嫌いなのか。最大の理由は「どう書き始めてよいのかわからない」からです。
生徒たちに記述問題に取り組ませると、完全に二つに分かれるのです。すぐにペンを走らせはじめる生徒と、いつまでたってもうなっている生徒。なんでもいいので、まちがっていてもいので、とにかく何か書き出さない限り、永久に前には進めません。
その点、PCはいいですね。消去するのも入れ替えるのも自由自在ですので。
とにかく書き出す、という行為には最適なツールです。
だからこそ、思考の速さで入力できるようになる必要があるのです。
中学生で用意するPCについてはこちらの記事をごらんください。