今回は、いわゆる四大塾とよばれる塾・・・日能研・四谷大塚・早稲田アカデミー・SAPIXの6年生の夏期講習の設定を見てみます。
もう6年生のこの時期になって、他塾の夏期講習を受ける方は少ないと思いますが、隣の芝生って気になりますからね。
※ここに掲載したスケジュール・価格などは、各塾のHPに公表されていたものを掲載しています。教室によって設定の異なる塾もあるので、正確なものではありません。
費用と日程
日程と費用について、わかる範囲でざっとまとめてみました。
これらを見ると、各塾の夏期講習に対する姿勢というものが見えてきます。
費用については、20万円~30万円ですね。
高いです。
6年生の普段の月謝が6万円~8万円くらいだと思いますので、ざっと3~4か月分の授業を夏の間にこなすかんじでしょうか。
また、塾によっては2科目コースを選択できるようになっています。むしろそちらが普通です。ただしSAPIXには2科目コースはありません。
学校の募集要項を見るとわかりますが、いわゆる最難関校・上位校(偏差値)では2科目での受験ができない学校が大半です。2科目での受験設定があるのは、今まさに生徒募集に注力している学校ばかりです。また、午後入試で単科入試の設定がある学校もありますね。そうした生徒の取り込みを狙っての2科目設定でしょう。
さらに海外帰国生の取り込みも考えているのです。帰国生入試は算国英の3科目実施が多いですから、「優秀な」帰国生に夏期講習を受講してもらうための2科目コースという目的もあるのでしょう。
日能研
70分×5コマ×24日
国算各36回・社理各24回/計120回
テスト4回 4科 14:00~20:35 199,650円
標準コースはこうなっていました。
その他応用コースというものもあるようで、こちらは事前の模試の得点が高い生徒だけが対象ということで詳細は不明です。
まずまず標準的な設定ですね。
私の中では、中学受験塾の標準を日能研においています。
生徒数・模試・教材・教室規模・テスト・金額、全てが標準的だと思うからです。
最近難関校の合格実績が寂しいものであるとはいえ、中堅校やそれ以外の学校にまんべんなく合格者を出しています。とくに神奈川エリアではよく見かけますからね。第一候補となる塾だと思います。
HPには掲載されていないのですが、どうやら夏期の5日間、9:40~11:35に特訓講座が設定されているようです。
他塾は夏期の特訓授業は別日程で実施するのですが、日能研は縦積みで組んでいるのですね。
おそらくその日の後半の授業は、生徒の集中力は期待できないでしょうね。さすがに9:40から20:35まで集中し続けるのは無理でしょう。
早稲田アカデミー
こちらは、前期16日間、後期16日間、その間に特訓授業というわかりやすい設定です。
さらに名物?の5日間夏期合宿がありますが、こちらは「公立中学進学」の生徒のみ対象ということです。あれ? 昔は全員鉢巻で気勢をあげる光景が有名だったはずですが。私の記憶違いでしょうね。
そういえば、9年前の合宿では、塾が預かった生徒の財布・スマホの大量窃盗事件がニュースとなっていました。数百万円の被害だったと記憶しています。確かホテル従業員が逮捕されたんじゃなかったかな? 塾も大変ですね。
こちらも日能研同様、授業は午後設定で、理社のみ午前。基本は2科目という考えなのでしょうか。
ほとんどの塾では、夏期講習に全学年の授業を設定する都合上、午前・午後のどちらかに学年を振り分けます。そのため、午後に授業を設定する塾が多いですね。
四谷大塚
こちらは、めずらしく夏期講習が全日設定です。
9:00~16:40、16日間プラステスト㏡、という設定です。
1日の授業時間は400分となっていますので、60分ほどのインターバルタイムが設けられているようです。食事休憩プラス授業の間の休憩時間でしょう。
こちらはお盆休みの後に特訓授業が設定されています。
SAPIX
夏期講習が18日間プラス後半に特訓授業が5日間です。
どちらも午後の設定です。
ただし、この塾の夏期講習の日程は複雑です。 校舎によっても若干異なるようですね。
日程だけ見ると、四谷大塚がわかりやすいですね。4日間の授業が4セットというしつらえです。
夏の体調管理や学習スケジュール面からいうと、不規則な日程設定は嫌なものです。まあ塾には塾なりの考えがあるのでしょうが、少なくとも生徒目線ではないことは確かです。
いちおう世間では、8/13日から16日がお盆ということになっています。その間に授業を設定するとは大胆不敵ですね。もっとも昨今はお盆に帰省せずに日程をずらす家庭が増えていますし、そもそも受験学年ですから、そんなことを言っている場合でないのはわかりますが。
夏の学習スケジュールの理想
生徒側からの目線で考えてみます。
夏休みは、とにかく1日の生活時間が狂いがちです。しかも、過去問題に取り組む時間も必要です。
8:30~12:30 (80分×3コマ or 60分×4コマ)
月~金 5日間×5週
こんなのがいいですね。
夏休みの間も、平日は毎日午前中塾に通い、午後は家庭で復習をしたり過去問を解いたり。土日は1日家でじっくりと復習したり過去問題に取り組んだり。
やはり一番集中力の高い午前中の授業が効率的なのは間違いないです。
あるいは、こんな設定はいかがでしょうか。
8:30~12:30 (80分×3コマ or 60分×4コマ)
12:30~13:30 軽食休憩(弁当持参or給食)
13:30~17:30(80分×3コマ or 60分×4コマ)
月~土 6日間×5週
もう完全に塾におまかせしたいご家庭向きの設定です。
午前、あるいは午後の授業時間の中に、過去問演習とその解説授業を全て盛り込んでもらうのが理想です。
講習費用が心配ですが、需要はありそうです。
誰が考えても理想的なことがわかるこのような設定になっていないのは、明らかに塾側の論理が優先しているからです。
限られた教室数、限られた講師数で、1年生~6年生までの全学年の夏期講習を設定しなくてはなりませんので。
つまり、生徒側が我慢を強いられる設定とならざるを得ないのですね。
これが嫌なら、塾の夏期講習に参加しない、という強硬手段をとるしかないのでしょう。
そのあたりについては、こちらを参考にしてください。
雑感
さまざまな塾のHPで夏期講習のことを調べていて気が付いたことがあります。
どの塾も情報公開がなっていないですね。
もちろん塾によって若干の温度差がありますが、HPを見るだけでは夏期講習の全貌が見えてこないのです。
理由を考えてみました。
◆手の内を明かしたくない
あり得ないです。もちろん私のような人間を排除したい気持ちはよくわかりますが、受験生が塾の夏期講習を選ぼうとするとき、HPを見て比較するのが普通です。もしかして授業単価などを知られたくないのかな? たしかに高いですからね。
◆個人情報を集めたい
HPを見ると、必ずこう書いてあるのが不快です。
「詳細は各校舎にお問合せください」
「資料請求はこちらから」
何としても問い合わせしてきた人の個人情報(学年や連絡先等)を抜こうとする強い意志を感じてしまうのは私だけでしょうか。塾によっては、公開模擬テストを受けただけなのに、答案を返してもらうためには「返却面談」に行かねばならないそうです。もちろんそこでは様々なことを聞かれ、勧誘されるわけです。
◆生徒の立場を考慮していない
これが一番の理由なんでしょうね。
夏期講習の時間設定や日程を見ても、生徒側に立っていないことは明らかです。
ある塾では、すでに通っている生徒に対しては、「夏期講習授業料引き落としのお知らせ」のような紙が1枚配られるだけとも聞きました。それで20~30万円ものお金が引き落とされてしまうのです。凄いですね。