そろそろ、どの塾でも夏期講習の申し込みを始める時期になりましたね。
お通いの塾からも、申込用紙等配られたかもしれません。
しかし、その金額を見て、驚いた方も多いでしょう。
とくに6年生。
こんなに高いのか!
まあ、受験学年だし、ここでお金を気にしている場合じゃないし。
夏期講習は受験の天王山だっていわれたことだし。
今回は、そんな夏期講習への参加の是非について徹底考察します。
1.各塾の夏期講習相場
(1)SAPIXの場合
夏期講習が18日間で226600円となっています。
午後に設定された授業は、100分授業×3コマ+小テスト30分×2コマ です。
18日間では、算数(18コマ)・国語(18コマ)・理科(9コマ)・社会(9コマ)ですね。これを見ると、算国は毎日、理社が1日おきのスケジュールであることがわかります。
普段の授業が、80分授業×3コマであることを考えると、小テストをのぞく授業だけでも、1時間分長いことがわかります。それが18日間ですから、なかなか濃密ですね。
さらに、「夏期集中志望校錬成特訓」が5日間あります。
こちらも午後の授業で、算数・国語・理科・社会の4教科を毎日実施となっています(80分授業×4コマ+小テスト40分)
この費用が72600円です。
まとめると、合計23日間で299200円、約30万円!です。
(2)日能研の場合
6年生は、全28日間で午後に授業となっています。28日間のうち、4日間はテストです。
これで199650円。
しかし、これに加えて「夏期特別講座」が41580円です。これは毎日1コマの授業を24日間実施するようです。
合わせて241230円となります。
ただ、この講座は夏期講習と日程・時間が重なっているのが謎です。
〇夏期講習・・・12:35~20:35
〇特別講座・・・16:40~17:50
もしかして「特別講座」を受講しないと、70分間放置されるのでしょうか? よくわかりません。
他の資料では、「夏期特別講座」が7日間、夏期講習の隙間の日程に設定されていました。
もしかして校舎によって異なるのかな?
本部系と関東系で異なるのかな?
すいません、最近の日能研事情はフォローしきれていないのです。
※今確認したところ、HPに夏期講習情報がUPされていました。
校舎によって設置コースが異なるようですね。
ためしにたまプラーザ校をクリックしてみました。
70分×120コマ
国算各36回・社理各24回/計120回
テスト4回 4科 14:00~20:35 199,650円
となっていました。
(3)四谷大塚の場合
〇夏期講習・・・16日間+テスト2日 172700円
〇特別授業・・・10日間 69300円
合計で242000円となります。
(4)早稲田アカデミー
09:00~16:50 で、算国は110分、理社は70分の4コマ×24日間(理社は20日間)となっています。なかなか長いですね。とくに昼を挟むということは、弁当必須です。
料金は179800円となっています。
SAPIXだけが、2024年度の夏期講習の日程・費用がHPに公表されていたのですが、早稲田アカデミーは2023年のものが参考として出ていました。四谷大塚も昨年のものです。日能研にいたっては、公式HPからは夏期講習の情報にうまくたどり着けません。まだUPされていないのでしょう。検索すると、どうしても特定の校舎のお知らせしか出てこないので、ここにあげた情報の確度は低いです。
こうしてみると、早稲田アカデミーの料金の安さが目立ちますが、理由は不明です。拘束時間も長いのになぜでしょう? だいたいどの塾も人件費に大きな差はないので、そんなに価格差は生じないものなのですが。
いずれにしても、18万円~30万円の費用がかかるということですね。
2.もし夏期講習を休めば、こんなことができる
(1)過去問演習の時間がとれる
中学入試に向けては、過去問の演習が大切です。
志望校(受験予定校)が5校あれば、それぞれ10年分やるとして、それだけで50本分となります。その他に、類似した学校の問題演習をやるとすると、その時間も確保しなくてはなりません。
おそらくは、夏休みが、唯一最大の過去問演習期間なのです。
それを全て塾の夏期講習で塗りつぶしてしまうと、あきらかに問題演習量が不足します。
いっそのこと夏期講習を休んだら? という誘惑にかられるのもわかります。
(2)弱点補強のチャンス
夏前のテスト結果で、志望校に向けての弱点が浮き彫りになってきています。
一度じっくりと時間をとって補強をしたいのですが、そんな時間は今までありませんでした。
夏休みは、その最大のチャンスです。
やはり、いっそのこと夏期講習を休んだら? という誘惑にかられますよね。
(3)家族旅行に行ける
受験学年の夏休みに家族旅行なんて!
と思う方も多いでしょう。でも、本当に行ってはいけないのですか?
ご家庭の価値観は様々だと思います。また兄弟がいる場合、下の子(上の子)に我慢させるのはどうなんでしょう?
別に旅行しろというつもりはありませんが、塾の夏期講習のために我慢するというのもどうなんだろう、と思ってしまいます。
(4)気力・体力の充電ができる
新6年の塾の授業が2月に始まってから約半年、授業時間も宿題も増えました。内容も難しくなっています。ここまで必死に走ってきたけれど、最近子どもがいつも眠そうだったりしませんか? 親も子もつまらないことでギスギスしてはいませんか?
まだ受験までは長い道のりです。 ここらへんで、生活を立て直すチャンスかもしれません。
3.私の本音
私も、受験の世界の住人ですので、今までは夏の学習の重要性を説く立場でした。
もし保護者から夏期講習を休みたいという相談があれば、全力で反対してきたのです。
「夏の40日間、家での学習と塾での学習と、どちらが密度が濃いか、よく考えてください。」
「今までの総復習を夏期講習で指導します。ここで弱点を補強しましょう。」
「受験で後悔しないためには、全力で走り続けるしかないのです。」
「夏期講習を休んでも、志望校に合格するかもしれません。しかし、もし不合格だったとき、本当に後悔しないと言い切れますか?」
もちろん、嘘ではありません。
生徒を預かる立場としては、心の底からこう信じていましたので。
もしお通いの塾に相談すれば、同様の文言で説得されると思います。
しかし、最近、少し違うのではないかと思うようになりました。
たしかに塾の夏期講習は、効率よくカリキュラムが組まれています。大半の生徒にとっては最大の効果があがることでしょう。
しかし、全ての生徒にそれがフィットするかといえば、そんなことはないのです。家でじっくりと弱点補強や入試問題演習に取り組むほうがメリットが大きい生徒はいると思います。
ここは冷静なご家庭の判断が必要だと思います。
ただし、注意点が2つあります。
◆注意その1
思い切って塾の夏期講習を休ませた場合、40日間の夏休み中、お父様かお母様のどちらかが、お子さんの勉強に並走する覚悟が必要です。
ここが有給休暇の使いどころです。
もしご両親ともお仕事をされていたなら、二人で交代して休みをとらなくてはなりません。
たとえお父様だけが仕事をしていたとしても、全てをお母様に丸投げしてはいけません。やはり半分くらいは休みをとってお子さんの学習に付き合ってください。
全てを塾に丸投げにしてしまうのならば、夏期講習に参加したところでその効果は薄いと思います。
結局のところ、中学受験は親子で取り組むものです。
◆注意その2
おそらく、5年生くらいまでの内容なら、 答え合わせと間違った問題の説明くらいは、テキストの解答・解説を見ながらできるはずです。
しかし、6年生の入試問題の解説は難易度が高いですね。
ここは上手にプロの力を借りてもよい場面です。
具体的には、個別指導塾か家庭教師を利用することになります。
依頼の仕方はこのようになります。
①夏の間にやらせる入試問題を選ぶ・・・志望校のものを中心に、20本~40本程度
②問題を3セット用意する・・・本人用・親用・家庭教師(個別塾)の講師用
③事前に塾(家庭教師)の講師に渡しておく
④まず親が解いてみる
⑤時間をはかって子どもに解かせる
⑥答え合わせが可能なところは済ませておく
⑦親でも説明可能な部分の解説は済ませておく
⑧プロにおまかせする部分を明示して依頼する
入試問題の解説ができるレベルの講師の単価は高いです。闇雲に丸投げすると費用は青天井となります。解説してほしい部分を明示し、先方にも準備する時間を与えたうえで依頼しましょう。
引き受ける講師の立場からしても、このような依頼のされ方が一番助かります。すでにわからない問題がはっきりしていることが大切なのです。
「この問題がわからないから説明してください」と本人が自覚してくれていれば、解説が最大の効果を生むからです。
※このような依頼を嫌がる個別塾・家庭教師は避けましょう。プロとはいえないからです。
◆注意その3
塾によっては、生徒を教室に集めて、過去問を解かせるところもあります。全員に同じ問題を解かせ、その解説をたっぷりと丁寧に実施してくれるのなら、とても効果があがる学習法です。しかし、中には、受験生がバラバラに自分の志望校の過去問を解いているところもあるのです。この場合は解説は不可能です。そこで、簡単に〇×だけつけて、そのまま返却となります。これでは、授業料がもったいなさすぎます。