個別指導塾と集団指導塾の比較については何度か記事にしました。
今回は、個別指導塾の費用についていくつか調べてみたことを書きたいと思います。
1.HPで費用を公開しているか?
塾選びの第一歩は、HPのチェックからですね。
そこで、主要個別指導塾の費用について各塾のHPから調べてみることにしました。
どうしても個別指導塾は集団指導塾に比べて費用は高額になりがちですので、どの程度の費用となるのか、ある程度の目安は知りたいですよね。
(1)TOMAS
最初にチェックしたのはTOMASです。
大手の個別指導塾ですし、上場企業でもあります。広告の合格実績もたいしたものです。
しかし、HPのどこを探しても、授業料について明記したページはありませんでした。
かろうじてQ&Aにこうあっただけです。
Q:授業料が高いと聞いていますが……?
A:80分間すべて完全1対1の個別指導であること、質の高い講師による固定指導であること、志望校に向けたオーダーメイドカリキュラムであることを考えると、他塾と比べてコストパフォーマンスは優れていると自負しています。また、会員は授業日以外でも自習室を利用することができ、受講科目にかかわらず質問も可能です。週1~2回の授業に加え、自習室に毎日通塾する生徒がたくさんおり、学習成果を上げています。
授業料は学年・コースにより異なります。お気軽にお問い合わせください。
ううむ。
問い合わせないと金額はわからないのですね。
別に間違ってはいませんが、親切という感じはしません。それとも、私のように費用比較などを試みる輩をブロックする意図なのかな?
仕方がないので、ネット情報を少し調べてみると、小学6年生で週1回(80分)の指導を受けると月35000円という数字が出てきました。1回あたり8000円くらいなのでしょうか。
4科目を受講すれば、それだけで月14万円になりそうです。もちろんこれは最低限の指導です。理社はともかく、算国は週1回80分の指導では全く足りません。
※もちろんこれはネット情報の孫引きなので確度は低い情報です。
(2)東京個別指導学院
こちらもよく名前を聞きます。はたしておいくらなのかな?
HPをみるとこうなっていました。
「ご入力いただいた情報に基づき、適切な授業料をご案内いたします。」
なるほど。
こちらも授業料は非公開です。
子どもの個人情報を入力しないと教えてもらえません。
仕方がないので、こちらもネット情報を見てみます。
すると、1回80分の指導を週1回受けるとして、月34560円+設備費3024円といった数字が見つかりました。合わせて38000円弱になります。
4科目を週1回ずつ受講すると15万円弱といったくらいでしょうか。
※もちろんこれはネット情報の孫引きなので確度は低い情報です。
(3)個別指導のトライ
こちらもHPによれば、
「お子さまの目標に合わせて最適な料金プランを作成します。」
ということで、個人情報を提供しないと費用を教えてもらえません。
こちらもネット情報によると、1コマ120分4895円とあるものを見つけましたが、この金額では経営が破綻しますね。聞くところによると、120分のうち、半分は自習で、60分が授業時間だそうです。1対2の個別指導ではよくあるスタイルですね。こうして授業料を低く見せかけるのです。
※もちろんこれはネット情報の孫引きなので確度は低い情報です。
(4)明光義塾
期待していなかったのですが、やはり費用は明示されていませんでした。
どうやら個別指導は費用を明示しないというのが業界ルール?なのでしょうか。
HPにはこうなっています。
授業料 ご案内までのステップ
STEP1・・・まずは無料体験(お問い合わせ)受講を決めていなくても大丈夫です。「学校の授業の内容についていけない」「定期テストの点数を上げたい」「なかなか模試で成果が出せない」など気になることがございましたら、何でもご相談ください。
STEP2・・・無料体験授業を実施
無料で授業を体験することができます。授業の進め方や教室の雰囲気などを、お子さまと一緒に確認してください。
STEP3・・・教室長によるカウンセリング(授業料のご案内)
苦手科目・単元の克服や、テスト・受験対策はもちろん、勉強に向かう姿勢や効率的な予習・復習の方法など、教室長がお子さまの悩みや目標に合わせたオーダーメイドの学習プランと授業料をご案内します。
すごいですね。
授業料を教えてもらうだけなのに、こんなステップを踏まないとたどりつけないのです。
あっ、こちらのHPには「5秒でわかる授業料シミュレーション」というボタンがありました。クリックしてみます。
学年と郵便番号を入力することで、数字が表示されました。
90分授業:14,300円(税込)
45分授業:7,150円(税込)
週1回(月4回)となっています。
さすがに月額ではないでしょうから、1回あたりの金額でしょう。
90分を週1回(月4回)で57200円です。
これで4科目だと、228800円となります。
さらにこうありました。
※授業料以外に諸経費、教材費などを別途いただきます。詳細は、学習プランとともにカウンセリング時に丁寧にご案内いたします。
個別指導専業の塾の相場はだいたい見えてきたので、今度は集団指導塾の個別指導ブランドを見てみます。
(5)日能研ユリウス
こちらもHPには情報はありません。教室へ問い合わせないと教えてもらえないシステムです。
ネット情報によると、週1回で月額23000円~29000円だそうです。
※もちろんこれはネット情報の孫引きなので確度は低い情報です。
(6)PRIVATO(サピックス)
期待せずにHPを見たら、なんと費用が明示されています!
1対2 1対1
小学6年生 6,600円 9,350円
小学5年生 6,050円 8,250円
小学4年生 - 8,250円
小学3年生 - 7,150円
小学2年生 - 7,150円
小学1年生 - 7,150円
1コマ60分とありました。
もうこれだけで、個別指導はPRIVATO一択です! と言いたくなりました。
しかし、よく考えてみれば、費用を公表するのは当たり前の商行為です。
江戸時代前期の越後屋以来の商売の常識です。
別に評価すべきポイントでもなんでもないですね。
(7)早稲田アカデミー個別進学館
やっぱり名の知れた集団指導塾系列の個別指導塾は情報の出し方もきちんとしているのかな、と期待してHPをみてみました。
「ご希望の通塾回数や学年によって月謝をお見積りさせていただいています。まずはお気軽に各校舎までお問い合わせください。」
ということです。
やっぱり。
ネット情報によると、週1回で月額28000円だそうです。
※もちろんこれはネット情報の孫引きなので確度は低い情報です。
(8)個太郎塾(市進学院)
いささか疲れてきたのでこれで最後にします。
すると。おお、費用が載っています!
全学年共通 1回1コマ「80分授業」
学年 週1回(月4回) 週2回(月8回) 週3回(月12回) 追加授業(1回)
小1~小5 14,410円 28,600円 41,140円 3,564円
小5受験 15,510円 30,580円 44,000円 3,784円
小6 15,510円 30,580円 44,000円 3,784円
小6受験 16,830円 33,000円 47,520円 4,048円
1対1になると、コマごとに3000円プラスだそうです。
非常にわかりやすくていいですね。
2.なぜ費用を明らかにしない(できない)のか?
もちろん個別指導塾は他にもたくさんあります。
しかし、ちょっと調べただけでも、費用を公表していない塾が多いのに驚かされました。
理由はこんなところでしょうか。
(1)価格が高すぎるのを露わにしたくない
これは下衆の勘繰りでしょうか。
個別指導を選ぶご家庭は、集団指導塾に比べて費用が高額なのは覚悟されていると思うのですが。
費用が安いから生徒が集まる、費用が高いから生徒がこない、そうしたことももちろんありますが、塾選びはコスパだけではないですよね。
指導に自信があるのなら、堂々と費用を公表すればいいのになあ、と思ってしまいます。
(2)料金体系が複雑すぎて公表できない
これはうなずける話です。
個別ですから、オーダーメードの指導をうたい文句にするところが多いですね。そうすると、たとえ同じ小6といえども、同じ料金ではない可能性があります。
単純に考えても、偏差値70超えの学校を目指す生徒と、偏差値30の学校を目指す生徒の指導では、同じ料金といかないのかもしれません。また、指導する生徒のレベルによってもそこは変わってきます。
〇指導教師のレベル
同じ大学生といってもその学力は様々です。雇うとしても全く同じ時給とはいかないのでしょう。また、社会人のプロ講師もレベルは様々ですね。保護者から、「最高の腕のプロをお願いします」などとリクエストがあるかもしれません。
〇受験校のレベル
やはり、より上の学校を受験する生徒を指導するには、教師の力量に加えて、授業前の準備にも時間がかかります。こちら料金に反映しそうです。
〇生徒のレベル
私見では、成績が振るわない生徒よりも優秀な生徒を指導するほうが楽ですね。もっとも、教師の力量が低ければお話になりませんが。しかし、一般には優秀層を指導するほうが高額になるのかもしれません。
〇家庭の要望
自学自習を見守る程度の関わりなのか、高度な問題演習を強制してほしいのか、過去問の質問に答えてほしいのか、ご家庭の要望も様々だと思います。これも料金に反映するのかな?
これらを総合的に判断して料金が設定されるとすると、HPに簡単に公表できないのもしかたがないのかもしれません。
実は、もう一つの可能性があります。
業界の噂として聞いた話なのですが、某個別指導塾では、料金の単価すら決まっていないというのです。保護者と面談しながら、「いくらまでなら払えるのか」を探りながら料金を提示するというのですね。
もし事実なら、怖すぎます。
銀座の高級すし店で「時価」と書いてあるネタを頼むのより怖いです。
これが事実でないことを願います。
生徒を指導するという仕事をする以上、そこまで「金の亡者となる」塾はないと信じたいですね。
私もまだまだ青いかな?
3.塾の経営目線から考えると
一般に、個別指導塾の場合、講師の人件費の割合は25%までと言われています。これが30%を超えると赤字化するそうです。
講師のアルバイト募集を調べてみます。(時給換算)
〇プリバート・・・2180円(1対1)、1950円(1対2)
単純計算で、生徒から徴収する費用は、25%計算だと8720円(1対1)、7800円
(1対2)となります。
こちらは費用が公表されている塾でした。1対2が6600円、1対1が9350円となっています。
そこから計算すると、1対2の人件費割合が29.5%、1対1が23.3%です。
〇TOMAS・・・1600円~3200円(1対1)
1600円で計算すると、25%で6400円ですね。これを1コマ(80分)にすると8533円となります。
これらは大学生対象の求人広告でしたので、個別指導塾で大学生講師に指導をうけるとすると、60分あたり6500円~ といった目安になるでしょう。
家庭教師と比べると割高に思えますが、自宅に他人を入れたくないご家庭も多いと思いますので、需要はあるのですね。
さてプロ講師の場合はどうでしょうか?
プロ講師がどれだけ稼いでいるのかは私にはわかりませんが、時給1万円以下で引き受けるような講師は大したプロではないだろうと予想はつきます。
そこで時給1万円と仮定します。
人件費割合が25%とすると、生徒が支払う費用は時間単価で40000円です。
1回80分の指導を週1回受けただけで、月額213333円です。もし4科目を受講すると、月額85万円を超える計算になりますね。
この金額が負担とならないご家庭なら何の問題もないのでしょうけれど。
やはり、個別指導は高いです。