この夏休みに、一気に勉強の遅れを取り戻そう!
この夏休みに、一気に弱点を補強しよう!
この夏休みに、一気に志望校合格を手繰り寄せよう!
この夏休みに・・・・・・・・・
ついに夏休みがはじまります。
あれこれ学習計画を立てられているご家庭も多いことでしょう。
そこで今回は、過去の教え子が実践して成功した、効率的な勉強法とスケジュール例を紹介します。
6年生のA子は、夏前に塾を辞めた
受験学年の6年生、しかも「これから!」という夏前の時期に塾を辞める決断を下したのは父親です。
実は、その前に何度も私のもとに相談にやってきていたのです。
A子は、自宅近くの中堅ともいうべき集団指導塾に3年生のときから通っていました。
お友達も多くでき、塾の先生とも仲良くなり、楽しく通塾していたそうです。
父親としては、子ども本人が楽しく塾に通っているのならそれでいい、そう考えていました。家で勉強している姿は見かけませんでしたが、塾の自習室にほぼ毎日のように通っていたそうです。塾の宿題はそこで片づけている、そういう勉強スタイルだと安心していたのです。
しかし、成績は全く伸びません。
塾内のテストの成績も、毎回6割程度の得点です。問題を見てもさほど難しいテストとは思えませんが、まあ自分の娘だから、こんなものかな? と半ばあきらめていました。
父親が通塾に疑問を持つきっかけは、6年生になったばかりの4月に受験した、大手他塾の公開模試でした。
通っている塾では、外部模試の受験は推奨しておらず、受けるなら首都圏模試、と言われていて受験したことはありました。首都圏模試の結果はそう悪くはなかったそうです。しかし、試しに受験してみた大手他塾の模試の結果は惨憺たるありさまだったのです。
模試の問題と娘の解答用紙を見ると、娘が全く何も身に着けていないことは明らかでした。
すぐにその模試の結果を持参して、通っている塾の先生に相談に行ったそうです。
そこではこう言われました。
◆まだこんな問題は解けなくても大丈夫
◆〇〇塾さんの模試は難しく作られている。だから受けてはいけないと言っていた
◆今のままこちらの指示どおりにすすめていけば、かならず志望校に合格する力はつく
◆安心してまかせてほしい
プロの塾の先生がそうおっしゃるなら。
父親も一度は納得したのです。
しかし、その後の娘の状況を見ていても、どうも納得がいかない。
塾から持ち帰る小テストの結果も、娘の学力が穴だらけであることが露呈されているとしか思えないのに、それの穴埋めの対策やフォローが何もなされていないようなのです。
これはもしかして、娘は塾にとって「お客様」扱いされているのでは?
父親の疑念は膨らみます。
「お客様」というのは、授業が理解できなくても、成績が伸びなくても、授業の邪魔にならないのならそのまま放置しておく、そうした生徒のことです。
まともな塾なら生徒を決して「お客様」扱いすることなどありえないのですが、生徒自ら「お客様状態」に陥るということはあり得ます。
娘がする塾の様子についての話も、「今日〇〇先生がこんな変なことを言った」「△△ちゃんがこんなおもしろいことをした」といった、学習内容とは無関係のことばかりでした。
夏前に塾から夏期講習の案内が届きました。
金額もさることながら、夏休み中の50日間、ほぼ毎日講習日程が組まれています。
このままでは、この塾にうちの娘は飼い殺しされてしまう。
父親は塾を辞める決断を下したのです。
転塾という選択肢は思い浮かびませんでした。
もうすっかり塾、それも集団指導塾というものに不信感を抱いてしまったのですね。
親の覚悟
相談を受けた私は、以下の点を確認しました。
◆娘のために、親はどこまでする覚悟がありますか?
今まで放置していた分、これからの半年は全力で娘を支える覚悟があるとのことでした。
まずは時間を確保する必要があります
◆会社のフレックス制度を活用し、朝早く出社して5時には帰宅できるようにする
◆土日は完全に空ける
◆有給40日分を活用し、夏休み・冬休みの娘の休みの期間に合わせて休む
こうして娘を指導する時間を確保しました。
次に、場所を作ります。
父親の書斎に娘用の勉強机を移し、壁にはホワイトボードを設置しました。
まさに「家庭内塾」を作ったわけです。
徹底した過去問演習
A子の現状は悲惨です。3年生から通塾していた生徒というより、今海外から帰国したばかりで何も受験勉強をしてこなかった帰国生、そういったほうがふさわしいほどです。
それならそれで作戦はあります。
もう、今から基本問題を最初から教えている時間はありません。
ここからは、徹底した入試問題演習を行うことにしました。
知らない知識、解けない問題については、その都度知識を覚え、解き方をマスターする、そうした作戦です。
夏休み中に50本、9月以降の土日を使って20本、冬休みに10本、計80本分の入試問題を解く計画を立てたのです。
最初のうちは、基本問題ばかりを出題する学校の入試問題を選びました。
午前中に4科目を解いて、午後に父親が解説指導する、そうした流れです。
父親が不在の時は、帰宅後に解説指導しました。
受験予定校の入試問題については、冬休みを利用して解かせるのです。
さらに、基本的な問題集をいくつか用意しました。
国語は漢字ドリル、算数は計算ドリル、そして理科・社会も基礎知識の一問一答形式の問題集です。
これを時間を決めて解き、答え合わせは母親と一緒にやり、間違い直しノートをつくります。これらの問題集はとくに解説が必要なレベルではなく、ルーティンとして一定の時間を費やすことを決めました。
夜娘が寝た後に、父親は入試問題を自分で解いて、娘への指導を考えます。そんなに難しい問題ではないので、解答・解説を参照することで、何とか父親にも教えることができるのです。
こうして厳しくも楽しい半年間が過ぎました。
父親としては、とにかく娘を怒らない・叱らないことを心がけたそうです。もちろん母親も同様です。娘が現状に至ったのは、周囲の大人の責任です。
無責任な塾に預け、娘の学習状況をきちんと把握してこなかったことが原因だからです。
結果は
こうして半年がすぎ、A子の得点力は安定してきました。標準的なレベルの入試問題なら、70%前後の得点がとれるようになってきたのです。
実は最後まで苦戦したのは国語でした。
他教科と異なり、国語ばかりは長年の言語生活の蓄積が重要です。半年程度では何ともならないのです。
それでも、とにかく漢字や文法等の知識問題は落とさず、記号選択問題にも丁寧に取り組むことで、6割くらいは得点できるようになり、他教科の足を引っ張ることはなくなってきました。
これくらいの得点力がつけば、入試にチャレンジする力は十分ついたといえるでしょう。
1月校の受験は回避し、2月1日に本命の第一志望校、2日の午前に第二2志望校、2日の午後には押さえの学校、そこまでの結果をふまえて3日・4日には安全圏の学校というスケジュールでのぞみました。
結果は、2日の午前の入試にA子が向かった直後に1日の第一志望校の合格が判明したため、2日の午前の学校の受験が終わったときには全ての受験が終了したのです。
あのままあの塾に通わなくて本当に良かった。
これが父親の本音の感想でした。
残念ながら、塾の指導が全ての生徒にベストとは限りません。
大多数のニーズにはフィットする指導は行えますが、一人一人の弱点を埋めていくような指導は行えないことも多いのです。個別指導でもそれは同様です。結局のところ頑張らなくてはならないのは子ども本人ですし、その子供のことを一番わかっていて一番長い時間指導することが可能なのは親なのですね。
過去問演習は重要です。
そして夏休みが最大のチャンスなのです。
授業を受けるだけの受動的な学習から、能動的な学習へと切り替える時期にきています。お子さんの勉強スケジュールを見直してみましょう。