中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

中学受験でよくある質問とその答え:親が知っておくべき基礎知識 その3

中学受験でよくあるご相談を、Q&A形式でご紹介します。

※私が30年におよぶ経験から書いていますが、あくまでも主観にすぎないことはお断りしておきます。

Q:早い段階から塾に通わせると中だるみが心配

よく聞く話です。あまりに早い段階から中学受験勉強をスタートさせると、途中で中だるみするというのですね。息切れするという話も聞きます。

だから、塾に入れるのは遅いほうがいい。そんな話になるのですね。

間違っています。

早くから受験勉強をスタートしようが、遅くから始めようが、中だるみも息切れもやってくる生徒もいれば、そうでない生徒もいます。

子どもだって、勉強に飽きるときもあれば、やる気がでない時もおとずれます。そんなの当たり前のことです。そこに「中だるみ」「息切れ」という名前をつけて定義づけることに意味はありません。飽きてこようが、やる気がわかなくても、やるべき学習をきちんとこなす、ただそれだけのことです。

勉強は習慣です。

早い段階から習慣化することはとても重要です。

 

Q:結局頭の良い子は中学受験しなくても東大に受かる

もちろん当たり前のことです。

別に中学受験することは、東大に進学することの前提条件ではありません。

そもそも中学受験の目的はそこにはありません。

東大に進学することだけを目標として、そのための「コスパ」を重視するのなら、私から申し上げることは何もありません。

教育をコスパで語る方とは永遠に分かり合えないからです。

 

Q:結局親のDNAが全てですよね?

これについては、わかりません

きちんとした検証データ(そんなものがあるとして)を見たことがないからです。

例えば、ある年の筑駒の合格発表会場で、たまたま教え子3名(合格しました)の父親が皆同じ高校の同級生だったという現場に遭遇しました。まるでミニ同窓会のようでしたね。3名とも、お互いの息子が同じ教師(つまり私です)に習っていたことは知らなかったのです。そして3名とも、筑駒に匹敵する私立難関校出身です。

「いやあ、息子を母校に入れようと思ったけれど、こっち(筑駒)のほうがいいって言うんだよね。」

「そうそう、うちも同じだ。」

そんな羨ましすぎる会話を交わしています。3名とも父親の母校にも合格しています。

さて、これを父親のDNAととるべきか。あるいは家庭環境ととるべきか。

わかりませんよね。

たぶんどちらもあるのでしょう。

しかし、親が優秀だから子どもも優秀とは限らない、そんなケースもいくらでも見てきました。

結論。そんなことは気にしない!

これしかありません。

 

Q:模試の合格可能性はどこまで信頼できますか?

信頼できません

それはそうです、あくまでも模試という1つのテストのデータにすぎませんので、実際の入試結果を占う一つの材料なのです。

しかし、無視するわけにもいきません。

偏差値68の学校を狙っていて、6年11月の模試の偏差値が40の生徒がいたとします。

「ワンチャンありますか?」

と問われれば、いいえ、と答えるしかありません。これは無理です。

また、合格可能性のデータも、おおざっぱにしか算出されていませんので、鵜呑みにするわけにはいきません。合格可能性が80%でも不合格に、40%でも合格、そうした生徒など多数見てきました。

ちゃんとした塾の教師であれば、模試データ+過去問の得点率+授業中の出来具合+過去の生徒との比較+4科目の教師の意見、これらを総合して、受験校の指導をするのが当たり前です。

模試のデータだけによる受験指導は信憑性が低いですし、もちろん模試データを無視した受験指導は信頼できません。

あくまでも模試のデータは、たくさんの判断材料のうちの1つ(主要な1つではあります)と考えてください。

偏差値と得点力についてはこちらに詳しくまとめました。

peter-lws.hateblo.jp

 

Q:中学受験って必ず必要ですか?

もっともな疑問です。

そして、答えも簡単です。

YES です。

正確にいうと、中学受験を目指す勉強は必要である、です。

中学受験をせず、公立中学から公立高校を目指す、というのが全国的な王道です。それは首都圏においても変わりません。しかし、首都圏には魅力的な私立中学がたくさんあるのです。

そうすると、公立中学に進学したときに、同級生たちが2種類に分けられることに気が付きます。

◆中学受験にチャレンジしたが、公立中学進学となった生徒

◆中学受験をしなかった生徒

この2種類の生徒達は、基礎学力に大きな差があります。

もちろん、中学受験をしなくても、中学進学を見据えて学力向上に努めていた小学生というのもいるのですが、少数派です。中学受験生とは勉強の量も密度も遠く及ばないのです。

ということは、のんびりと小学生時代を過ごし、中学生になってから、さて勉強をするか、と思った時点ですでに周回遅れとなっている可能性があるのです。

だからこそ、受験をする・しないによらず、中学受験を目指すレベルの勉強はしておくべきだと思います。