中学受験でよくあるご相談を、Q&A形式でご紹介します。
※私が30年におよぶ経験から書いていますが、あくまでも主観にすぎないことはお断りしておきます。
- Q:中学受験のために英語は勉強すべき?
- Q:4科目の学習が負担なので2科目に切り替えたい
- Q:あたらしい教育を実践している学校を選びたい
- Q:結局は子どものやる気が大事
- Q:学校選びは子どもにまかせるべき?
Q:中学受験のために英語は勉強すべき?
小学生、あるいはそれより前から、英語を学ばせているご家庭は非常に多いですね。
英語のような学習時間数が成果に直結する教科は、子どもが小さいときに夢中になってとりくむことも多く、小学生低学年ですでに英検の級持ちの子もたくさんいます。
そして中学受験の本格的な学習が4年生から始まりました。
さあ、英語はどうしましょう?
ここで英語を学ぶ目的は以下の3つです。
◆中学生になってから英語で良いスタートを切りたい
◆どんな学校に行こうと英語コミュニケーション力は必須
◆英語力を中学入試に活かせるのでは?
まず3番目ですが、もしお子さんが帰国生入試の条件を満たしていて、帰国生入試も受験のバリエーションとしてお考えなら、悩まず続けましょう。
学校にもよりますが、帰国生入試に力を入れている中学校はたくさんあります。そうした中学校では、英語圏で生まれ、現地校に通い、受験直前に帰国した、そうした英語力の「猛者」がぞろぞろといます。中途半端な英語力で帰国生入試にチャレンジするわけにはいきませんので、しっかりと勉強する必要があります。
2番目は、もっともらしい理由ではありますが、中学入試の勉強時間の隙間にどれくらい英語を学ぶ時間を入れることができるか、そこ次第ですね。
ある生徒は、小5のときに英検3級はとっていたのですが、そのあたりで英語の勉強は一段落させて、週に何回かのオンライン英会話だけをやらせていました。最低限、耳だけは慣らしておこう、という作戦ですね。
1番目のケースは大切です。ただし、なかなか難しい。
多くの小学生用の英語教室は、会話・楽しさに重点を置いているところがほとんどだからです。なかには英検に特化したところもありますが。
中学生になると、その学校独自の考えにもとづいて英語教育が始まります。
小学生のうちの中途半端な英語教育は、中学生になってさほど役立たないのが実際です。
目標は異なるのですが、高校入試レベルの英語を目標とするとよいかもしれません。
基本的な文法・単語の知識と読解・英作文。いずれにせよ必要となるスキルです。
つまり、ポイントをしぼった英語学習を短時間だけ、これが結論です。
Q:4科目の学習が負担なので2科目に切り替えたい
これについては先に結論を申し上げます。
絶対に4科目で受験すべきです。
算国2科目、あるいは算国2科目+α(英語・作文等)の入試を設定している学校は多数あります。
しかし、中学生になってから算国だけの学習をおこなう学校は一つもありません。
かならず5科目・・・数・国・英・理・社 の学習を行うのです。
しかも、それらの学校に進学した生徒の大半は、きちんと4科目の学習を行ってきています。
つまり、最初から理社で圧倒的な差がついているのです。
しかも、英・数という新規教科が始まります。
その状況で、理社について他の生徒達に追いつき追い越すだけの学習が可能ですか?
「とりあえず受かればいい」というスタイルは、後に問題点を先送りするスタイルなのです。
Q:あたらしい教育を実践している学校を選びたい
こればかりはご家庭の方針です。
世間には、旧態依然とした教育を行う伝統校よりも、新しい教育にチャレンジしている学校を評価する、そうした声もありますね。
通うのはお子さんであり、選ぶのはご家庭です。
ご家庭が何を大切にするかを考えればよいだけです。
ただし、私の個人的な意見を申し上げます。
教育には、「画期的な」「新しい」やり方など無い、と思っています。
古くは紀元前5世紀、Pythagorean Order(ピタゴラス教団)の昔から、教育は行われてきました。もっともピタゴラス教団は、教育機関というより、数学研究秘密結社のようなものだったようですが。
2500年におよぶ教育の歴史に、なぜ簡単に「新しい」「画期的な」教育が生まれるのか、そのあたりが私には納得いかないのです。
ケンブリッジ大学ができたのが1096年、日本でいえば白河上皇の時代です。そこから1000年ほど経ちました。しかし「ケンブリッジの教育は古くてダメ!」という声は聞こえてきませんね。
ICT・生成AIと、昔には想像もつかないような技術革新が続いていますが、どんなツールを使えど教育の本質は変わらないと思っています。
そうした本質をきちんとコアに据えている学校が、私は好きなのです。
Q:結局は子どものやる気が大事
親が口を酸っぱくして勉強させているようではダメ。
結局は子ども本人がやる気を出すのが最も大事。
よく聞きますね。そして間違っています。
小学生の子どもが、自ら将来のビジョンを描き、自らを律して、計画的かつ自主的に学習に取り組む。
そんな小学生がいるならお目にかかりたいものです。
私の30年以上におよび経験でも、過去にほんの数名しかいません。
子どもがやる気を出すのを待っていても、永久にその時は訪れません。
やる気があろうがなかろうが、一定の時間を机に向かい、所定の量をこなすことを優先すべきです。
Q:学校選びは子どもにまかせるべき?
すごいですね。
お子さん自ら、十数校(あるいはもっとたくさん)の学校見学や説明会に足を運んだのですね。学校に関する疑問を、学校の先生や塾の先生に自分から確認したのですね。通学時間の混み具合も確認し、6年間にかかる費用も計算したのですね。もちろん大学実績も把握しているのですね。
そのうえで、「第一志望は〇〇中学、第二志望は△△中学」と決めた、そういうことなのですね。
そんな受験生はいません。第一その時間がありません。
つまり、子どもだけで学校選びはできません。
親が情報を取捨選択して子どもに提供し、親が誘導しているに過ぎないのです。
ただし、学校選びについてお子さんを蚊帳の外に置くことも不自然です。
親子で忌憚のない意見を出し合って、じっくり話し合いましょう。