今回は、中学受験におすすめの社会科参考書を紹介します。
おすすめその1 中学校教科書
一番のおすすめは「中学校社会科教科書」です。
写真のものは「帝国書院」のものですが、どの出版社のものでもかまいません。
文科省による「教科書検定」を通過していますので、一定のクオリティは担保されていると考えられるからです。
中学校の社会科教科書は、地理・歴史・公民の3分冊となっています。
一般(公立中学校)では、中1で地理、中2で歴史、中3で公民を扱います。
なお、それぞれのシェアは、こんなかんじです。
◆地理 1位 帝国書院(約50%)
2位 東京書籍(約40%)
3位 教育出版
◆歴史 1位 東京書籍(約50%)
2位 帝国書院(約25%)
3位 教育出版
◆公民 1位 東京書籍(約60%)
2位 教育出版
3位 帝国書院
この3社のものならば、どれを選んでも大差ありません。
この他、さまざまな出版社から、意欲的な教科書も出されていますが、「基礎知識」を身に着ける教材としては、上の3社のものを選んでおけば間違いはないでしょう。
教科書に準拠した問題集やワークブックも充実しているからです。
内容については、中学生用ということで、世界地理・世界史のページもあります。
中学入試だけを考えるなら、その部分は飛ばして読んでもかまいません。
しかし、基礎教養として考えるなら、世界史の部分は読んでも良いと思います。視野が広がるからです。
しかし、世界地理については、中学受験レベルとすると少し細かいところもあるので飛ばしましょう。
教科書ですので、説明は平易ですし、図版・資料も豊富です。楽しく読めると思います。
私立中学校の採択教科書
もう一つの考え方としては、進学希望の中学校が採用している教科書を入手するというやり方もあります。
利点は2つ
◆中学校の社会科の先生方が日頃使用している教科書なので、入試問題に反映する可能性がある。
これはあくまでも「可能性」程度のお話です。
なぜなら、中学校の教科書レベルの知識なら、「基本中の基本」知識なので、別にどの教科書を使用していても、入試問題には普通に登場する知識ばかりだからです。まあ、気休め程度ですね。
◆その中学校に進学したときに役に立つ
多くの私立中学では、授業は教科書を使わずに進める先生がたくさんいます。ただし、英語・国語のように、何等かの文章を必要とする教科では、普通に教科書を使用しているようです。また、社会科も、とくに地理分野については、写真資料等を利用するために、教科書を使用する場合が多いようですね。歴史については「易しすぎる」ために、あまり重要視されていないと思います。また、公民についても、「表面的すぎる」ために、もっと深堀する課題を授業で扱う先生が多いと思います。
ただし、採用される教科書はいつも同じ出版社のものではありませんので、入学してみたら違う教科書だった、ということは十分にあり得ます。
主だった私立の採択した教科書一覧表を作成してみました。
※日文:日本文教出版
東書:東京書籍
帝国:帝国書院
教出:教育出版
見ていると気が付くのは地理に関しては、ほぼ帝国書院の寡占状態だということです。これには理由があります。中学校で使用する地図帳は、帝国書院の地図帳「中学校社会科地図」しかないからです。(場合によっては帝国書院「標準高等地図」を使うかもしれません)
そこで地図帳に合わせて教科書も帝国書院のものを採用するのですね。この出版社は、地理に強味を持っていますので。
歴史については、各出版社のものが採用されていますが、山川出版の物も多いですね。山川といえば歴史、です。歴史に強味を持つ出版社です。
公民についてはバラバラですね。とくに公民に強味を発揮する出版社が無いからでしょう。
また、歴史で「学び舎」のものを採用している学校がいくつか目立ちます。
「学び舎」とは聞きなれない出版社名だと思います。この歴史教科書は、教科書の中で唯一南京大虐殺を取り上げたということで話題になりました。
みなさんは、「自虐史観」「歴史修正主義」という言葉はご存じだと思います。
戦前・戦中の日本の政治体制や侵略戦争をどう評価するか、ということで意見が分かれるようですね。この教科書は、「南京大虐殺など無かった」という立場の方々から相当批判を受けたようです。
実は私は、そんな政治的な歴史論争に関わる教科書だと知らずに買いました。単に書店で見かけて手に取ってみたら気に入ったというだけなのです。全ての歴史項目が見開きで構成されているという意欲的な教科書です。
一部の学校で「育鵬社」「自由社」の教科書が採用されていますね。育鵬社は、「我が国と郷土を愛する態度を養う」「日本を誇りに思える」「公共心を涵養する」といった方針で作っているとHPにありました。また、「自由社」のものは「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書です。
このあたりの中学校教科書の論争・問題については、ネットで調べるといろいろな報道が出てきますので、そちらでごらんください。
おすすめその2 コアプラス(など)
おすすめのその2は、SAPIXが出している「コアプラス」という問題集です。
これは、基礎知識が一問一答で羅列してある、無味乾燥な問題集、というより暗記本です。
正直言って、面白くもなんともありません。
ただの暗記本ですので。
同様の本に、日能研(みくに出版)が出している「メモリーチェック」シリーズというものがあります。
こちらも、理科・社会と2種類売られています。
さらに日能研のものには、解答用紙だけをまとめた「メモリーチェックノート」というものが別に売られています。解答用紙だけで商売するとは、「越後屋、お主もやりおるのう」という気もしますが、便利には違いないでしょう。
書店でサピックス・日能研、それぞれの本を開いて、気に入ったほうを買われればよいと思います。
サピックの「コアプラス」のほうが、若干知識レベルが上かな? くらいの違いですかね。さらに無味乾燥度合いもコアプラスのほうが上です。
私はこうした問題集はあっさりした構成のほうが好みですが、まあ、どちらでもよいでしょう。
使い方はごくシンプルです。
隙間時間を活用して、ひたすら丸暗記するだけです。
社会科は知識がないと勝負の土俵にすら立てません。
この程度の基本知識は暗記しておきましょう。
学校教科書の入手法などについて、こちらの記事も参考になると思います。
中学受験用参考書・問題集
書店に行くと、中学受験用の参考書・問題集で一角が構成されています。
とくに受験勉強の主軸になるような参考書が欲しくて探す方もいると思います。
しかし、残念ながらお勧めできる本はありません。
昔から定番だったのは「応用自在」(学研)でしたが、今は絶版のようですね。
「自由自在」(受験研究社)は健在のようですが。
社会科についていえば、これらの厚い参考書は、中途半端なのです。分厚い割には知識量が希薄です。これ一冊仕上げても十分な知識は得られません。また問題数もすくなく、これも役立ちません。たぶん自学用に作られているのでしょうけれど、今や塾通いがスタンダードになってしまいましたから、淘汰されてきたのかもしれません。