このご相談もとても多いですね。
「うちの子が塾へ行きたがらないのです。どうしたらいいのでしょう?」
今回はこのテーマについて考えてみます。
ここで考えているのは、いわゆる「中学受験塾」です。
小学校には行けているのか?
まずここを確認します。
小学校には普通に通学できていますか?
もし小学校にすら満足に通えていないとすると、中学受験・塾は無関係です。
原因は他にあると考えるべきでしょう。
中高における不登校についてはこちらの記事をごらんください。
小学校なんて別に通わなくても勉強はできる、そういう意見もあるかもしれません。
しかし、小学校でなければ体験できない社会生活はたくさんあります。
中学受験だの塾だのを考える以前の問題であると思うのです。
どうして塾に行けないのか?
(1)勉強が嫌い=勉強したくない
おそらく不登塾(そんな用語はありませんが)の原因の筆頭はこれでしょう。
塾で学ぶ内容は、小学校レベルをはるかに凌駕し、中学生レベルです(時にはそれ以上)。当然勉強は難しく大変です。
そんな勉強、誰だってやりたくはないでしょう。
例えば、公認会計士(社労士でも司法書士でも危険物取扱でもいいのですが)の学校に通わされたとしましょう。私はたぶん耐えられない自信があります。興味が持てないからです。それなのに難しい課題が次から次へと。 不登校になる自信があります。
(2)先生が嫌い
ああ、これもわかります。
だって、難しいことを強要するばかりか、ちょっとでもミスしたりさぼったりすると怒られるのですよ。
なかには、怒り方が怖い教師もいます。子供たちを「恐怖支配」しようとする最低の教師です。
そんな教師を「好き」になるはずがありません。もう顔も見たくないのでしょう。
塾に行けば、そんな「嫌いな」教師と顔を合わせなくてはなりません。それは行きたくもなくなるでしょうね。
(3)クラスメイトが嫌だ
塾にもいろんな生徒がいます。中にはどうしても相性の悪いクラスメイトもいることでしょう。また、イジメ体質の生徒もいます。別に塾に限った話ではありませんが。
あいつの顔を思い浮かべるだけで足が遠のく。仕方がありません。
(4)競争が嫌だ
塾は競争社会です。毎月のテストでクラスが変わったり、毎日のテストで座席が変わったり。さらに成績表を壁に張り出すところもありますね。
そうした点数で無理やり競わされることに我慢ができなくなる、これも理解できます。
(5)将来のビジョンが描けない
親や塾教師が、いくら私立中学の魅力を語ったところで、生徒本人がそのビジョンを描けなければ意味がありません。
別に小学校の仲間と一緒に近所の公立中学でもいいじゃないか。何でダメなの?
そう思ってしまうのですね。
(6)中学受験したくない
シンプルです。受験したくないのです。したくない理由は
◆自分の学力があからさまになることへの恐れ
◆受験のための努力をしたくない
こうしたものがあるでしょう。
あるいは、電車に乗っての遠くの中学に行くのが嫌なのかもしれません。
一言でいえば、大人の論理と子どもの論理(非論理)は違う、ということなのでしょう。
「未来の夢の実現に向けて今我慢して努力する」という発想を子どもに押し付けても無駄だと思います。
どうしたらいいのか?
最初に確認すべきなのは「不登塾」の理由であることはいうまでもありません。
◆教師がパワハラ体質で恐怖支配する最低な人間である
◆イジメ体質の加害者が同じ教室にいる
◆全く塾の学習内容が理解できずついていけない
◆塾の学習内容が幼稚すぎて時間の無駄である
もしこれらが原因なら、とっととその塾は止めましょう。
でも塾側には問題がないとしたら。
その場合は簡単です。
対処法は2つしかありません。
(1)無理やり通わせる
首に縄をつけても? 塾に行かせるのです。
親がわが子のために考えた選択肢なのです。子どものマイナスになるはずがないのです。
四の五の言わせずに、無理やりにでも塾に通わせる。
以前の私なら、こちらを推奨していました。
しかし、これはこれで親は疲弊します。
毎日が子どもとのバトルになりますので。
最近は、そんな昭和の価値観を持つパワフルな親が減ってきているような気がします。
もちろん、まずは塾側に問題が無いことを確認してからでないと、この手法を使ってはいけません。
(2)塾を辞める
今の私の一推しはこちらです。
嫌なら辞めればいいのです。
塾は、何も子どもに頭を下げて行ってもらうものではありません。
親が、子どものことを考えて、真剣に選んで、そして安からぬお金を支払って、通わせようとしているのです。
それを「嫌だ! 行きたくない!」というのなら、別に無理して通っていただく必要はありません。
ただし、大事なポイントがあります。
塾に行かない=勉強をしなくてもいい ではないのです。
たとえ塾に行かなかったとしても、塾に通っていたときと同等かそれ以上の学習をするのは当たり前のことですね。
では、中学受験をやめたとしたらどうでしょう。
状況は同じです。
中学受験をしない=勉強をしなくてもいい ではないのです。
勉強の内容や質は変われど、勉強することに変わりはありません。
その勉強すら嫌だというのなら。
これはもう「不登塾」の問題ではありません。
御家庭の子育て方針に関わる問題です。
勉強しなくてもよい将来を模索するしかないのでしょう(もしあるとすれば)