今回は、帰国生入試と本帰国のタイミング、さらには単身赴任の選択など、帰国生にまつわるあれこれを考察します。
在留邦人が多い都市30
ロサンゼルス
バンコク
ニューヨーク
上海
ロンドン
シンガポール
シドニー
バンクーバー
ホノルル
香港
サンフランシスコ
メルボルン
トロント
サンノゼ
ソウル
シアトル
クアラルンプール
シカゴ
サンパウロ
パリ
ホーチミン
ゴールドコースト
オークランド
ブリスベン
台北
ハノイ
サンディエゴ
バース
マニラ
デュッセルドルフ
ここまででベスト30となります。
しかし、これは外務省が把握している在留邦人数であって、企業から赴任している人数とは一致しません。
例えば、第9位にホノルルがあります。データによると23500人以上となっています。しかし、企業からホノルルへ派遣されている人数はそう多くはないことは十分に予想できると思います。そんな企業があったら羨ましすぎます!
日本人が海外赴任先として人気の都市ランキング、そうした調査はないものかと少しあたってみましたが、移住先ランキングしか見当たりませんでした。そこで、日本人学校の人数を調べてみます。
200名以上の在籍数のみピックアップしました。
1つの都市に複数の学校がある場合は合算しました。例えば、上海は2校、シンガポールは3校を合わせてあります。
小学校・中学校を合わせた人数です。
しかし、このリストには、アメリカの都市が抜けていますね。よく見ると、ロンドン以外は非英語圏です。
英語圏への赴任の場合は、子どもを現地校に通わせるご家庭が多いのです。普段は現地校で英語ネイティブの授業を受け、週末だけ補習授業校で日本語や日本の教科書を学ぶ、そうした方が多いのですね。
そこで、補習授業校の人数も調べてみました。
やはり、こちらには英語圏の学校が並びました。
西大和学園はカリフォルニア・ロミータにある学校です。奈良の西大和学園の姉妹校です。参考にした帰国子女財団のデータでは、学校ごとのデータとなっていて、それはおおむね都市単位なのですが、西大和はロミータ在住者のみが通っているのではなさそうなので学校名を出しました。
ところで、ホノルルがワシントンより多いのが驚きです。
ハワイに移住されたご家庭が、日本語教育だけはきちんとやらせている、そうしたことなのでしょうか?
気になったので少し調べてみると、ハワイ大学マノア校の近くの高校を土曜日だけ借りて小中学生に算数・国語・社会・伝統文化などを教えているようです。
現地校にするか、日本人学校にするか、あるいはインターナショナルスクール?
企業の規約にもよるので一概にはいえませんが、子どもを帯同した場合、小中学生の間は教育費の補助があるようですね。それを利用して、学費の高いインターナショナルスクールに通わせる、そんな話もよく聞きます。
◆インターナショナルスクールの場合
子どもの英語力がすでにある場合は、主要な選択肢となるでしょう。とくに非英語圏の場合は、現地校という選択肢がほぼ考えられないため、日本人学校かインターナショナルスクールかの二択となると思います。
英語がネイティブになるということで人気ではありますが、帰国タイミング=日本の教育制度に戻るタイミングが難しくなってきます。例えば中学に進学するタイミングで帰国するのなら、帰国生入試を上手に利用し、また同じようなプロフィールを持つ生徒が多い私立中がいくつも選べます。しかし、高校に進学するタイミングだと、受験できる高校が極端に限られます。英語以外の学力が低すぎるからです。もちろんそうしたご家庭でも家で国語に取り組んでいる方は多いのですが、高校受験のための勉強をしていた子どもたちと数学・国語・理科・社会で対等に戦える学力を持つことは困難です。
その場合、日本に帰国してからもインターナショナルスクールにするか、あるいは思い切って海外の全寮制ボーディングスクールという選択肢を考えるかもしれません。
もちろん、日本の大学入試はせず、海外の大学へ進学することになるでしょう。
◆日本人学校の場合
日本人学校といっても様々です。学年の生徒数が100名近くいるような学校であれば、日本と同等の水準の教育が期待できるかもしれません。しかし、学年人数が一桁となるような学校の場合は、あまり多くを期待できないかもしれません。小学4年生の授業でひらがなを練習させられた、そんな話も聞いたことがあります。
もっとも少人数制のメリットを最大限に生かし、日本の高校受験の推薦をとりにいくという作戦もありますね。
◆現地校+補習校の場合
英語圏に限られます。
ほんとうは非英語圏の現地校なら、ある意味「希少価値」が得られるのですが、今のところ日本の中高には英語以外の言語をメインに学んだ子が活躍できる場がほとんどないのが現状です。
それでも、英語は普通に使いこなせてさらにベトナム語が堪能、そんなふうになれるのなら将来も開けるような気がします。
★結局は
どちらかといえば、この学校選びは選択肢が無い場合がほとんどです。英語圏なら現地校、非英語圏なら日本人学校といったように自動的に決まってしまいます。
むしろここで考えておくべきなのは、将来日本の教育制度に戻るのか、それはいつ頃を想定しているのか、この2点です。
帰国タイミング
赴任場所、子どもの人数、学年、そして赴任時期と期間、これらによって状況は変わりますし、帰国タイミングは選べないのが普通です。
それでも、場合によっては単身赴任という選択肢がありますので、そこを考えてみます。
◆大学入試に向けた帰国
正直言って、厳しいです。
日本の高校の卒業資格が無い場合、大学の選択肢が限られるからです。
それでも、現地の高校を卒業し、夏以降に帰国して日本の大学入試を目指す生徒も大勢います。
ただしメリットもあります。
もう大学受験生の年齢になれば、日本に一人で帰国して学生寮に入りながら大学入試勉強をすることが可能だからです。
そうした生徒を支援する予備校もたくさんありますし、寮の斡旋もしてくれるようです。
◆高校入試に向けた帰国
帰国生を優遇する高校は多数あります。成功させるためには以下の点に留意しましょう。
〇英検準1級以上はとっておくこと
〇日本人学校の成績はオール5レベルとしておくこと
〇日本人学校の担当の先生から推薦してもらうこと
〇学校以外の活動=現地ならではのものを用意できること
〇一般的な教科力はつけておくこと(英数国理社)
◆中学入試に向けた帰国
できれば小6年生になる前に本帰国するのがのぞましいです。場合によっては母子だけ先に帰国してもよいと思います。
中学入試では、英語だけできればよいというものではありません。そうした学校もありますが、やはりそれなりの学校であったり、あるいは英語力だけで合格できるのに、進学してみると一般入試で進学した生徒と同等の教科力(数国理社)を求められることも多いからです。
単身赴任という選択肢
こればかりは、ご家庭の方針と状況次第なので何ともいえません。
家族関係を重視するのか、子どもの教育環境を重視するのかで変わると思います。
一般には家族関係を重視するほうが望ましいと思います。海外での体験も子どもにとっては得難い成長の糧となるでしょう。しかし、その場合はある意味日本の受験の世界はあきらめるくらいの覚悟が必要です。
あきらめたくない場合は、インターネットを活用すれば海外でも日本と同等の受験勉強はできる時代ですので、海外に滞在しながらも日本の一般入試で戦える教科力をつけるべきでしょう。
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