塾に通っていると、夏期講習は必須といわれますね。
もう夏のスケジュールが配られましたね。
今回は、塾と家庭学習のバランスのとり方について考察します。
今までの総復習を夏期講習にまかせる
学年によらず、塾の夏期講習では、先取りカリキュラムを組まず、今までの総復習を行います。
理由は3つ。
◆弱点を補強して9月以降に備えるため
◆保護者が望んでいるから
◆新規生徒獲得のため
塾は営利企業です。
しかも、参入障壁が低いため、競争が激しい業態です。
夏期講習というのは、塾にとっては生徒獲得の大きなチャンスです。
夏期に今までの総復習を行うことで、塾が初めての生徒も、他塾から転塾する生徒も受けやすくなります。
しかし、これは生徒のニーズにも合っています。
ふだんの学習ではなかなかじっくりと腰を据えて弱点の補強や復習を行う時間がとれませんでしたので、この夏の時期は貴重です。
せっかく塾が効率よく総復習のカリキュラムを組んで授業を行ってくれるのですから、これを利用しない手はありません。
オリジナル教材を作ることのできない塾(人・資金・ノウハウ等が不足)のために、塾向け教材作成会社というものがいくつもあるのですが、これらのテキストも全て総復習テキストとなっています。なかなか良くまとまっているものが多いですね。
例えば、午前中に3時間授業が行われるのならば、帰宅してから3時間、教材の復習に取り組みましょう。
おそらく、授業中に教材の全ての問題を扱う時間はないはずですので、塾の授業と同じくらいの時間は必要なはずです。
※必ずその日のうちにその日の復習は終わらせること!
これは大切です。
復習は、習った直後・問題を解いた直後が最も効果的なのです。
もし塾の授業が午後だったとしても、帰宅してから3時間の復習時間は確保してください。
※午前中は復習にあてない
塾に行く前に、昨日の復習をおこなう。このスタイルはやめてください。
理由は前述したとおりです。
塾の復習にどれくらい費やすべきか
夏休みが50日間あったとして、さすがに塾の夏期講習が50日はないでしょう。
※一部にそうした塾も存在します。5年生までなら許容できますが、6年生なら退塾・転塾を考えるべきでしょうね。6年生の過去問演習には個別のスケジュールが必須ですので、塾にそこまで拘束されることは危険です。
学年があがるにつれて日数も増えるのは当然ですが、6年生でも20日程度というところが多いですね。
仮に講習が午後だったとします。
07:00~12:00(5h) 家庭学習
13:00~18:00(5h) 夏期講習
19:00~21:00(3h) 家庭学習
これで考えてみます。
塾から帰宅してからの3時間でその日の復習を全て終わらせるのは困難です。
しかし、5年生までなら、「このテキストが終わるまで」というスタイルの学習でも通用したかもしれませんが、6年生では通用しません。
とにかく6年生に与えられる学習量というのは、「最も優秀で処理スピードも速い生徒が泣きながらやっても終わらない量」が与えられるのが通例です。
それには理由があります。
◆教材の引き算が難しい
実は、塾の教師にとってもっとも難しいのは、「この問題はA中学では出題されませんので、やらなくていいですよ」と言うことなのです。
これを言えるためには、A中学の過去の入試問題を、少なくとも20年分くらいは分析する必要があります。そのうえで、今後も出る可能性が無いといえるところまで予測する必要があります。
これは教師としては怖いですね。
万が一、自分が出ないと判断した問題が出てしまったら。
大げさにいうと、塾の教師は生徒の未来を預かっているのです。
逆に、「この問題は出ますよ」ということは簡単です。
過去に1度でも出たことがあればいいのですから。
しかも、「いろんな中学でよく見かけるから重要だろう」と簡単に判断できます。
また、集団指導であれば、所属する生徒たちの志望校は、延べ数十校にものぼるでしょう。
これらの志望校全てで「出そうな」問題をテキストに載せておかないと、クレームにもつながります。
だから、塾が6年生に用意する教材の量は増える一方なのです。
これら全てをやろうなどと考えてはいけません。
「決めた時間内に処理できるだけの量」を「優先順位を定めて」取り組み、「終わらなかったら捨てる」覚悟が必要なのです。
例にあげた生徒なら、帰宅してからの3時間、これだけがその日の復習に充てることのできる時間です。
塾の復習以外に何をやる?
こうして午前中の5時間を確保しました。
ここでやるべきものは以下の通りです。
◆漢字・語句のトレーニング
◆計算ドリル
◆理科・社会の知識の総まとめ
◆過去問・・・1科目
漢字・語句のトレーニングは重要です。国語の入試問題で唯一パーフェクトが狙える分野だからです。どんなに記述が上手にかけても、漢字の2問も間違えれば帳消しです。
計算練習は毎日やらねば意味がありません。
理科・社会の知識の総まとめ的な教材を何周もやりこなして丸暗記していきます。
以上の国語・算数・理科・社会の基本的な演習は、毎日やるべきものです。おそらく塾で配られた(買わされた)教材をお持ちでしょうから、それを擦り切れるまでやってください。
もし塾でそうした教材が用意されていなかったとすると、ろくな塾ではないですね。これでは塾に頼れませんので、独自に書店で購入する必要があります。
その場合のおすすめは、日能研かSAPIXが出版しているものです。
◆サピックスメソッド 漢字の要 STEP1~3 マスターブック
◆日能研 計算と熟語
◆日能研 マスター1095題一行計算問題集 6年
◆中学受験のための1日5題 まいにち算数
SAPIXでは6年生用の算数ドリルは市販されていないようですね。
日能研はやたらにたくさんの問題集を出版しています。(日能研の出版部門は「みくに出版」です)
書店にいろいろ並んでいますので、やりやすそうなものを選ばれればいいでしょう。
こうしたドリル的なものは、そう当たりはずれはないと思います。
※四谷大塚には「四科のまとめ」という同様の教材があります。残念ながら書店では買えません。直接ネットでの購入となり、4科目分で8800円です。昔はまとめ教材の定番として人気でしたが、今はコアプラスもありますからね。とくにこれを選ぶ必要はないでしょう。もちろんこれを選んでも良いと思います。ただし、直接手にとって選べないのが問題です。
※塾以外にも、小学館・旺文社・学研・くもん等で似た教材はいろいろ出されていますがあまりお勧めできません。一般出版社は全国の小学生を対象として出版しますので、内容が易しすぎるという問題があるのです。また、これらの出版社には中学受験の専門家はいません。したがって、どこかの塾の先生に原稿を丸投げすることになりますが、どの塾の先生も有力な先生ほど忙しいです。こうした仕事を引き受けるのはどんな先生なのか考えてしまいます。
※メルカリ・ヤフオクなどでの購入はおすすめできません。
塾が内部生だけに配っている教材など気になるかもしれませんが、こうした内部生だけを対象とした教材は「非売品」であり、それを転売することは違法ではないと思いますがモラルには反します。そもそもそんなにスペシャルな教材ではありません。中には、そっくりコピーして複製を大量に売りさばいていた人もいますね。もちろんこれは違法です。また、市販の教材でも、中古品は解答がなかったり書き込みがあるものもありますね。使えません。
わが子の教育でここは節約するところではないと思います。
◆過去問演習について
これは重要です。
1.5時間もあれば、理科か社会の問題を30分で解き、答え合わせ&間違い直しが1時間できます。
過去問演習のやり方の詳細は以下の記事に書きましたのでお読みください。