今回は切実な話題です。
模試の結果がいくつも出てきましたね。
「第一志望校の合格可能性が20%以下!」
そんなデータを見ると動揺が走ります。
このままチャレンジしてもいいの?
志望校を下げるべき?
そうした迷いにお答えしたいと思います。
塾が信頼できない
実は、塾(&教師)に全幅の信頼をおいているのなら、そもそもこうした疑問など生じないはずなのです。
「このままでは開成には合格できません。駒東にしたほうがよいですね」
「1日は鴎友から女子学院にしましょう。 受かると思います」
こうしたアドバイスを信じることができるのなら、それが一番だと思います。
そうした教師・塾との出会いがあったのなら、この記事は読む必要は全くありません。
先生のアドバイスに従いましょう。
しかし、残念ながらなかなかそうはいかないものですね。
30年以上前なら、塾を完全に信頼してくださるご家庭も多く、また塾の教師もそれに応えようとしたものでした。
しかしこれだけ受験産業が勃興し、塾を掛け持ちするご家庭も増え、ネットに種々の情報が溢れるようになると、塾教師を信頼する気持ちが低下してきたような気がします。
また、残念なことに、打算や保身を優先する塾教師も多いのです。
◆合格実績を上げたい
塾にとって合格実績は生命線です。そして実績は生徒に受験させない限り上がらないのです。
「この生徒の実力だと開成にチャレンジさせてもまず合格できないだろう。でも、万が一ということもあるからな。去年はうちの教室から開成に3名合格した。今年も何とか3名は合格させないと非常にまずいことになる。ダメ元でも何とか開成を受けてもらわねば」
こんな打算が働く場合があるのです。
それがその教師の個人的な考えの場合もあれば、上から合格実績を出せと圧がかけられてている場合もあります。教室ごとの合格実績を給与・賞与査定に反映させている塾もあるのです。
また、一部の塾では、合格実績を合格者数ではなく「合格率」で宣伝しているところがあります。「合格者数/受験した人数」の数字です。
「〇〇中合格率100%!」などと宣伝しているのですね。
この数値は容易に操作が可能です。
合格しそうもない生徒を最初から受けさせなければよいのですから。
だいぶ以前のことでしたが、12月になってから私の教室に駆け込んできた母親がいました。通っていた塾から、こう言われたのだそうです。
「1日のA中学は無理ですよ。絶対受かりませんから。受けないでください」
もちろん真意は、合格率の確保にあったのです。
泣きながら訴えるお母さまを前に義憤にかられた私は、その生徒を預かることにしました。
結果はA中学合格です。
ついでに言うと、その塾は後につぶれました。
因果応報ってやつですね。
◆不合格者を出したくない
この仕事をしていて、最もつらいのが、教え子の不合格です。
もちろん入試ですから、不合格はつきものです。
そうはいっても、永久に慣れることなどできません。
第一志望校に落ちてしまい泣きじゃくる生徒を何度励ましてきたことか。
電話口で泣き声のお母さまを何度慰めてきたことか。
どこにも合格できなかった生徒の気持ちを高校受験に向かわせるためにどう話をすればよいのか。
できれば我々だってそんな声掛けなどしたくはないのです。
だからこそ受験学年の指導には全力を尽くします。
しかし、この気持ちが間違った方向へ向かう教師もいいます。
少しでも合格可能性を高めるために、安全校へ誘導していくのです。
もちろん志望校を下げれば合格可能性は上がります。
しかし、その学校が、本当に進学したい学校ですか?
そのアドバイスが教師の「面倒を避けたい」保身の可能性もあるのです。
模試のデータと塾のアドバイスは受け入れるべき?
受け入れるべきではありません。
いや、正確にいうと、「参考にする」だけにしてください。
◆授業を持ってもいない事務職が進路指導をする塾
◆入社1年目の若造が進路指導をする塾
◆とにかく精神論でチャレンジさせようとする塾
◆特定の学校を妙に押してくる塾
◆合格のために必要だといって別料金のオプション講座をやたらに薦めてくる塾
◆自信ありげに断言する教師(なぜか算数に多い)
◆学校について尋ねても、的確な話ができない教師
◆模試データをなぞった話しかできない塾
◆家庭の希望に耳を貸さず、塾の要望を押し付けようとする塾
全て信用できません。
もしかしてベテラン教師が熟考の末に的確なアドバイスをしてくれているのかもしれませんが、それならそもそも迷いませんから。
私の経験上、12月に入ってから伸びた生徒は何人もいます。
とくに冬休みに入って小学校に行かなくて済むのが大きいですね。
1日の全ての時間を受験勉強に集中できますので。
ここでの学習は、小学校に通いながらの勉強の2倍どころではないのです。体感では4倍以上かな。
つまり冬休みの受験勉強は、1週間で1か月分くらいの密度で進められるのです。
その時間を最大限に活用して合格した生徒の例を紹介しています。
最終的な決断は、親しかできません。
塾の教師は、しょせん他人にすぎませんから。
プロからのアドバイスとして受け止め、最終判断は親がしてください。
模試データも「参考」として。
◆志望校を上げる
◆志望校を下げる
◆現状維持
この三択ですね。
ただ、このタイミングで「上げる」方はほとんどいません。
実質上二択でしょう。
私が重視するのは、過去問の得点力です。
冬休み中の過去問の得点力の推移を丁寧に見てください。
それでもどうしても決断に迷ったら。
その場合は「現状維持」をお勧めします。
偏差値表で判断しがちですが、偏差値で3程度の差は誤差の範囲です。
それくらいでは「下げた」ことにはなりません。
「下げた」つもりでも合格できるとはかぎりませんので。
この段階で変に動揺して受験スケジュールを弄りすぎるのは良い結果につながらないと考えましょう。
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ただし、これは8月段階および9月段階のアドバイスです。
11月段階のアドバイスとは異なることはご承知おきください。