中学に合格したら、スタートダッシュに遅れぬよう4月まで何を勉強するべきか
- 1.そもそも中学入学前に準備学習は必要か?
- 2.中学校から入学までの課題が課されている場合
- 3.とくに課題も何もない学校の場合
- 4.検定教科書について
- 5.塾が行う準備講座について
- 6.塾に行く必要は特にない
- 7.具体的な学習法
濃密な受験の日々が終わり、やっと一息つけましたね。おそらくは昨日(2/11)に学校の集合日があって足を運んだことと思います。制服の採寸の予約をしたり、学校生活の注意をうけたり、通学の手引きをいただいたり。やっと実感が湧いてきたのではないでしょうか。
お子様も毎日楽しそうに遊んでいることでしょう。
でも、もしかして気になってきてはいませんか?
遊んでばかりでいいのか?
保護者の方が、合格のご挨拶にいらした早々に相談される内容がこれです。
「うちの子は遊んでばかりです。こんな状態で、4月から大丈夫でしょうか?」
「春休みだけでも塾の講習に行かせたいけれど、どこがいいかわからない。」
そこで、中学入学に向けた準備について語りたいと思います。
1.そもそも中学入学前に準備学習は必要か?
やっと中学受験が終わったのです。
長い長い数年間でした。
その間、親子・家族ともども気の休まる時が無かったかもしれません。遊びたいわが子を叱咤激励する日々だったかもしれません。
せめて中学生になるまでは、思う存分遊ばせてあげたい。
そうお考えになる気持ちもわかります。
しかし、断言できます。
準備学習は必要です。
私立(国立)中学の学習は今までとは違います。
【今まで】
◆小学校・・・周囲の学力は高くはなく、教科学習には全く問題がなかった
◆塾・・・・・懇切丁寧な授業があり、宿題も丁寧に添削指導され、指示に従うだけでよかった
◆家庭・・・・塾に言われた課題をやらせればよく、時には親が教えることのできる内容だった
【これから】
◆中学校・・・自分より優秀な生徒ばかりに囲まれ、先生の授業進度も非常に速い。わかるまで丁寧に説明指導などされず、一通りの解き方を教えられたら、あとは発展問題まで自力で解けることが当たり前のように要求される。疑問点を解消するための参考書は無い(中学生用の参考書類はほぼ全て高校受験用の公立中学校生用のため)。
◆塾・・・・・中高一貫校生用の塾は、大学合格を目指して中学校以上のスピードで講義が行われるため、ついていくことができない生徒も多数でるほど。また塾のカリキュラムは中学校に合わせておらず(多数の中高一貫校のカリキュラムに合わせることは不可能)、2種類の異なるカリキュラムを平行してこなす能力が要求される。また、自宅近くの中学生用の塾のほぼ全ては高校受験用のものであり、学校の学習のフォローはしてもらえない
◆家庭・・・・私立(国立)中学校の学習内容を家庭で教えることは難しい(ほぼ無理)。学校からは親への指示はなく、「生徒本人が自分で心得て学ぶのが当たり前」と言われるだけ。
中学校に入ってからの学習は、今までとは全てが異なります。
今からきちんと学習習慣を継続し、よりよいスタートを切る準備は必須なのです。
2.中学校から入学までの課題が課されている場合
最近急速に進学実績を伸ばしてきた学校の場合によく聞く話です。
学校からたっぷりと課題が送られてきて、春休みにどこにも遊びにいけなかったと。
とても素晴らしい学校ですね。すべてをお任せすればよいと思います。
こうした学校の多くは、「塾不要」を売り物にしています。
夏期講習も格安で学校が用意してくれるとか。
3.とくに課題も何もない学校の場合
偏差値上位の学校や伝統校であると、とくに指示も課題も出されないのが普通です。そんな指示など不要な生徒ばかりが入学してくるからです。
学校によっては、「英語など勉強の先取りはしないでください」という指示が出される場合も。
でも、これを信じてはいけません!
とくに英語に関しては、海外経験が無いのに小学生ですでに英検準1級なんて生徒が普通にいるのが上位校です。
中1の学習内容くらいは春休みまでに学んでおきましょう。
4.検定教科書について
中高一貫私立では、授業の大半が先生のオリジナルプリントで進められ、配られた教科書はほとんど開かれないという場合がとても多いです。
そのためか、なんとなく中学校の教科書は「レベルが低い」「無駄」といった印象を持っているかもしれません。
でも、よく教科書を見てみてください。とても良く作られています。
大手の出版社が、資金と人材をかけて、文科省のチェックのもと、見やすくつくり、しかも安い、というこの教科書を活用しないのはもったいない。春休みまでの自主学習にはうってつけの教材です。
5.塾が行う準備講座について
「中学準備講座」「英数入門」といったタイトルで、春休みあたりに講座を実施している塾がいくつもありますね。
あわてて申し込む前に、よく調べてください。
もしかして、その塾は、高校入試用の塾ではないですか?
中学入試を経験すると、どうしても中学受験のための塾(SAPIX・四谷大塚・日能研・早稲田アカデミーなど)ばかりが目につきますが、実は世間では、高校入試用の塾のほうがメインです。
公立中学は誰でも進学できますが、高校入試は避けては通れないため、こちらの市場規模のほうがはるかに大きいのですね。
ですから、こうした高校入試用の塾が開講する「中学準備講座」は、高校入試に向けてそのまま通塾させることを主な目的としています。
つまり、家の近所のそうした塾に行くと、中学受験をしなかった小学校時代の同級生達に囲まれることになるのです。
高いお金をかけて同窓会に行く必要はありません。
お子様の学力を伸ばす塾はそこではないのです。
早稲田アカデミーはもともと高校入試がメインの塾ですし、SAPIX中学部は、小学部とは教師も教室も全くの別物です。
懐かしいからといって行くのは考え物ですね。
ここで選ぶべきなのは、中高一貫校生用の塾が実施している講座です。
こうした塾については、この記事にまとめてあります。
6.塾に行く必要は特にない
塾生活にすっかり慣れてしまっているため、勉強は塾に行かねばならないような錯覚に陥ってはいませんか?
中学生の学習は、自主的に取り組むことが基本です。
だから、本来は生徒自身が何を勉強するか自分で考えるべきなのです。
そうはいっても、新規科目の数学と英語は何から手をつけてよいのかわからないですよね。
その場合は、塾を利用するのも手の一つです。
塾を利用するのも、しないのも、どちらでもよい と思います。
中高一貫校生用の塾であっても、新規の生徒獲得の手段としてこれらの講座を位置づけています。
気に入ってもらえれば、その後6年間通ってくれるかもしれませんしね。
そのため、教材や講師に力が入っていることが期待されます。
ただし、小規模な塾は避けたほうがよいかもしれません。
まれに、カリスマ講師(私のような?)がやっている塾もありますが、そうしたところはあっという間に定員が埋まっているでしょう。
私が大規模な塾をおすすめする理由は、教材にあります。
教材を自社開発するのって、物凄いエネルギーと資金力を必要とするのです。
そのため、中小塾の多くは、いわゆる「塾向け教材制作会社」が作ったものを流用するか、あるいは稚拙なプリントを使うか、になってしまいます。
そのどちらもあまりお勧めしたくないなあ。
※ここで塾の利用をお勧めしているわけではありません。どうしても何を勉強していいかわからない、親が忙しくて子供に構っている時間がない、子どもは放っておくと何も勉強しない、そうした場合の緊急避難としての塾利用のお話をしています。
ただし注意があります。
4月の中学校生活が始まるまでの限定利用(春期講習まで)に留めておいてください。
上述したように、中高一貫校生用の塾の「新中1」対象の講座は、その後の継続へ誘導する目的で設置されています。あの手この手で継続を促されますし、周囲の生徒達でそれに乗せられる人も多いでしょう。
しかし、第一優先は、進学する中学校の学習にあることは言うまでもありません。まずは学校の学習を完璧にこなすことを目指すべきなのです。塾が必要になるとしても、それはもっと後の段階の話です。
ただし、英語に関してだけは事情が異なります。
学校のカリキュラムとは別の角度からの多方面な学びも効果的な教科だからです。
とはいえ、学校の英語の授業が始まってみないと、何を補うべきかの判断はつきません。慌てる必要なないと思います。
7.具体的な学習法
(1)英語について
学校から指定された教科書があればそれを、なければ自分で用意して、教科書の1年生用を先取りして使うとよいでしょう。
ただし、学校教科書を一般販売している会社はいくつかありますが、4月の中旬を過ぎないと入手できないのが普通です。
その場合は、書店で中1向けの易しいテキストを1冊入手して取り組めばよいと思います。
かならず音声データ(CDでもダウンロードでも)があるものを選んでください。
そして、ここで親の出番です。
勉強からしばらく遠ざかっていたみなさんでも、中1の英語はさすがに教えられます。
親の権威を取り戻すチャンスだと思って、親子で取り組むとよいでしょう。
ただし、昔の英語の教授法と今ではだいぶ変わってきています。
今は、五文型など最初にあつかわない学校も多いのです。
そのあたりは十分に注意してください。
(2)数学について
中1の数学は、びっくりするほど簡単です。
難しい受験算数を切り抜けた生徒ならば、独学がじゅうぶん可能です。
そのためにも、解説がわかりやすい教材を1冊(あまり分厚くないもの)選んで、毎日取り組むとよいでしょう。
「春休み2週間で中1の範囲を総復習」のようなタイトルのものが使いやすいでしょう。
これと親の手引書としての参考書。
一般的な中高一貫校は、中学範囲を2年間で終わるのが普通です。中には1年で終わらせるスピードの学校もありますが。
ここはあまり焦る必要はありません。
〇正負の数
〇文字式
〇比例・反比例
〇方程式(の基礎)
〇1次関数
〇平面図形
このあたりを春休みまでにやっておけば十分です。これで中1範囲の8割くらいです。
おそらく中受算数でやった問題のほうが難しかったと思います。ここはじっくりと、「数学」の世界に慣れることを目的としましょう。
(3)理科・社会について
あんなに覚えていた知識が、今急速に抜けていっています。
中学受験の理社の知識は、そのまま中学生の学習につながっています。
なんとか知識を失わぬよう、受験で使ったテキストを利用してください。
また、理科や社会で資料集は使いませんでしたか?
たぶん、その資料集は中学生用のものです。
じっくりと読み直すこともとても有効です。
※先取り禁止
世界史や世界地理など、ついつい先取りしたくなりますよね。
でも、学校によってカリキュラムは全く異なります。
下手に先取りをすると余計混乱してしまいます。
とくに世界史は要注意です。
世界史の扱い方は、先生によって異なります。公立中学での世界史は、「歴史」というくくりのなかで、日本史メインの付けたし程度しか扱いません。しかし、中高一貫校では、最初から世界史を単独の教科として扱う場合が多いのです。しかも扱い方も様々です。地域ごとに詳しく教えるやり方、あるいは同時代の世界各地の歴史を扱うやり方、そしてその中間のやり方。授業が始まってみないと何ともいえません。それまでは手を付けないほうが賢明でしょう。
世界地理については、地図帳や資料集で主だった国名や地名を覚えるのは有効です。
(4)スタディサプリを活用
ごぞんじ、リクルートが手掛けている学習アプリですね。さかんにCMを流しているのでご存じかと思います。
私はこうした学習アプリは好きではありません。子供にスマホやタブレットを自由に使わせることに抵抗がありますし、あまりにもレベルが低すぎて役立つとは到底思えないものばかりだからです。とくに小学生用の虎のマスコットの物は低レベルでしたね。
しかし、ある時生徒がスタディサプリ使っているのをのぞき込んだら、意外と良さそうだったので、1か月だけ会員になって試してみました。すると、なかなか良いではないですか!
さすがにお金をかけて作られているだけのことはあります。
〇講義・・・5分間
たった5分間で要領よくまとめられた講義が受けられます。講師はさすがに上手いですね。
〇プリント・・・プリントをダウンロードして使えます。
その他にもいろいろな機能があるようですが、とりあえずこの2つだけ繰り返しておけばよいでしょう。
1か月2178円のベーシックコース(中1)というのを2か月だけ使うと良いと思います。
◆注意その1
これは、親が忙しくて子供の勉強を見てあげられない、でも適当な塾がない、あるいは行かせたくない、そうした場合の緊急避難的な学習方法です。さすがにこれを1日中取り組むわけにはいきません。適切な問題集や参考書も準備してあげて、時間割を作って取り組ませるとよいでしょう。
◆注意その2
これで、数学の面白さや英語の醍醐味を学ぶことは不可能です。あくまでも、中学生になったときに、「何も知らない」状態とならないようにするための学習方法です。
◆注意その3
タブレットやスマホを、学習以外に使えないような設定にしないと危険です。ネットの世界には誘惑が広がっています。どんな真面目な子でも、ちょっと開いてみたYouTubeを見ていたら2時間経ってしまった、などということはあるものです。
学習に必須のPCの選び方についてはこちらに書きました。