中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

中学受験の算数から数学への道

図形の証明問題から、算数と数学の違いについて考えてみよう

 

中学生の数学の証明問題を見ていたら、算数の問題を思いついたので、算数と数学の違いについて考えてみたいと思います。

 

 算数の問題

まずは算数の問題です。

算数図形

∠BAE=∠ABC=∠ADB=90°

AE=4㎝

BC=9㎝

このとき、ABは何㎝ですか?

 

まあ、そんなに難しい問題ではないですね。

なにせ、私がちょいと思いついて作ったレベルですから。

相似の三角形を探せばいいことはすぐにわかります。

図形01

△ABEと△BCAに注目します。相似を探すのですから、角度を考えましょう。

AE∥BC → ∠EAD=∠ACB (錯角)

図形03

△ADEは直角三角形 → ∠DAE+∠AED

 = 90°

∠ABC=90°

∠BCA+∠BAD=90°

図形04

これで、△ABEと△BCAは3つの角がそれぞれ等しいので相似とわかります。

二つの三角形をわかりやすく横に並べてみました。

図形05

さて二つの三角形が相似ということは、次の式が成り立ちます(相似比)

AB:EA = BC:AB

→AB×AB=EA×BC

      =4㎝ × 9㎝

      =36㎝

→AB=6㎝

 

 数学の問題

では、もとになった数学の問題はどんな問題だったのでしょう。

数学図形

(仮定)

∠EAB=∠ABC=∠R

AE×BC=AB×AB

(証明)

∠ADB=∠R

 

今解いた算数の問題の真逆ですね。

二つの三角形の対応する辺の比の式から、三角形が相似であることを導き、対応する角がそれぞれ等しいことを説明すると、∠ADBが直角であることが証明できます。

 

これは中2の数学の証明問題でした。

基本問題ではあるのですが、AE×BC=AB×ABという式がいったい何を意味するのか思いつかないと、完全に煮詰まります。

もし算数で上にあげたような問題を解いた経験があれば、瞬殺で証明できたことでしょう。

中学受験の算数は、なにも中学受験だけでは終わらない、数学につながる道を歩いているのですね。

 

このあたりの考察は、他の記事でも書いていますのでよろしかったらごらんください。

peter-lws.hateblo.jp

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