※この記事の初出は2023.10.18です。2024.10.02にUPDATEしました。
中高一貫校に進学した生徒から、よく愚痴を聞きます。
図形の証明問題が嫌だというのです。
中学入試ではあんなに算数を頑張っていた(そして解けるようになった)はずなのに、いったいどうしたことでしょう?
今回は、数学の証明問題の「楽しさ」について考えてみます。
証明問題が嫌いな理由
〇小学校の受験算数なら答が出ればそれでよかったのに、証明問題はそうではないから
〇当たり前のことを証明させられるのが虚しく思えるから
〇図形を描くのが苦手だから
〇何度も同じことを書かないと減点されるから
なるほど。もっともらしい理由ですね。
まとめると、
◆答えが出ないからすっきりしない
◆面倒くさい
この2点に集約されるでしょう。
こうした生徒達というのは、おそらくは、自力で証明をし切った爽快感を味わったことがないのだと思います。
そこで、生徒が質問でもってきた幾何の証明問題(基本レベル)を紹介しながら、証明でスッキリしてみたいと思います。
証明問題の例
こんな問題です。
三角形ABCがあります。
∠BACの二等分線とBCが交わる点をDとします。
ADの延長線上に、∠BAD=∠DBEとなるように点Eをとります。
さらにBE=EFとなるようにBEの延長線上に点Fをとります。
このとき、∠BCF=90°となることを証明しなさい。
さて、直角の証明ですので、すぐに思いつくのは、直線BFを直径とする円を描いて、点がその円周上にあれば、∠BCFは直角である、とそういう証明ですね。
しかし、それを言うためには、直線ECの長さがBEとEFと同じ、つまり上の半円の半径であることを言わなくてはなりません。
そこで、最初に点BECAが全て同じ円周上にあることを確認します。
3点BECを通る円を考えましょう。
ECを基準に円周角を考えます。∠CAE=∠CBEであることから、円周角が一致し、点Aも同一円上にあることがいえます。
さらに、BEを基準にして円周角を考えると、∠BCE=∠BAEとなり、図上の●の角が4つとも同じになります。
したがって、三角形BECは二等辺三角形となり、BE=ECとわかります。
こうして、EB=EC=EF がいえるので、点はEを中心としBFを直径とする円周上にあり、つまり∠=90° が証明できますね。
円周角を習った直後にこの問題を解くと、自分の知識がスイスイと問題に適応させられて、気持ち良い証明ができると思います。
2024年都立日比谷高校の自校作成数学入試問題の証明問題も、円周角の知識だけを駆使すれば解ける問題でした。
証明問題を嫌がっている生徒には、こうした「学年が上」の問題にチャレンジさせると、燃えて取り組む生徒が多いですね。とくに男子に。
「この問題が解ければ日比谷高校に受かるぞ!」(実際にはそんなことはありませんが)などと言ってみると、けっこう盛り上がります。
ただし、中1・2限定です。
中高一貫校の中三ともなると、もう数1・Aの学習に入っていますので、高校入試問題では盛り上がれないのです。
証明問題は中学数学の華です。自力で証明を完了する気持ちよさがわかってくると、数学の面白さが見えてくるのではないでしょうか。
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