中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】中学受験の塾選び お子さんにぴったりの塾はこれだ★2024.9.16加筆修正

※この記事は、2023.9/28初出の記事を2024.9/16に加筆修正しUPDATEしたものです。

中学受験を考え始めたときの最初の悩みがこれです。

いいたいどの塾がいいのだろう?

今回はこの悩みに正面からむきあってみたいと思います。

周囲からの口コミについて

さて、中学受験をさせようと考え始めました。

そこで、周囲のママ友たちにいろいろ尋ねてみます。

すると、実にバラバラなアドバイスが返ってくるのですね。

 

「やっぱり個別指導がいちばんよ。集団指導塾では丁寧に見てもらえないから。」

なるほど。もっともだ。それなら個別指導塾を探すべきなのかな?

 

サピックスはやめとくべきね。成績が下の生徒はお客様あつかいだから。」

やっぱりそうなんだ。まあうちの子はそんなに勉強が出来る方だとは思えないから、やっぱりサピックスはやめておくか。

 

「やはりサピックス一択でしょ。4年生からでは入れてもらえないらしいから、うちは1年生からいれたの。」

やっぱりそうなんだ。だって、合格実績を見ても、もうサピックス一択なのよね。うちの子はそんなに出来るかどうかわからないけど、もしかしたら、もしかするかも。

 

「早稲アカがおすすめ。すごく指導が熱心なの。」

ああ、指導が熱心なのはいいな。そういえばサピックスは冷たいって聞いたことがあるし。

 

日能研で特待生をねらうのが一番ね。」

日能研なら駅前にあるし。特待生って授業料免除ってこと? それは気になる。

 

「公立中高一貫校を受けるならENAしかないでしょ」

最近聞く公立中高一貫校ってどうなんだろうって思ってたけど。中学3年間授業料はかかrなくて、高校も安いんでしょ? うちはここかな?

 

「今はサピックスよりグノーブルの時代でしょ」

グノーブルの時代って言われてもよくわからないけど。たしかサピックスから別れた塾って聞いた気がする。じゃあサピックスよりもいいの? でも、サピックスのほうが実績がずいぶんいいみたいだけど。

 

四谷大塚がおすすめ。自宅で動画も見られるし、教材も良かったし」

ああ、四谷大塚なら知ってる。昔からある受験塾だよね。やっぱり老舗のほうが安心なのかな?

 

まあ、みなさん言いたい放題です。

でも、それは当然なのです。

自分の子どもの中学受験経験者の母親(&父親)といえども、その経験値は「たった一人」の子供の中学受験経験でしかありません。兄弟がいたとしても、せいぜい2人程度の経験値です。自分の子供が通った塾で受験がうまくいけばそこを薦めるでしょうし、うまくいかなければ否定的になりますよね。また、塾を途中で変えた場合は、前の塾を悪く言い、移った塾をほめるのが普通です。

つまり、中学受験経験者の口コミは一人の保護者の感想にすぎず(率直な感想ではありますが)、我が子の塾選びの指標とはならないということです。

 

知人からの情報だから悪意がない(たぶん)ですし、実体験に基づいている(おそらくは)でしょうから、信憑性が高く感じてしまうのが問題です。

その情報が真実だとしても、お子さんにそのまま当てはまるかどうかはわかりません。

あくまでも参考意見の一つとして聞くことが大切です。

 

ネット情報について

そこで、ネット情報を調べます。

すると、「塾の比較」をしているサイトがいくつも出てきます。

しかし、どういう立場の人がどういう目的で情報をUPしているのかによって、その意見は様々です。なかには「よく研究しているな」と思われる情報もありますが、「適当な嘘を並べているだけ」のサイトも多数あるのです。また、私なら絶対にお勧めしないであろう、業界内の評判が良くない塾を「おすすめベスト3」などと紹介しているサイトすらみかけます。おそらくはステマなのでしょうね。

これらの玉石混交のネット情報を参考にして塾選びをするのは難易度が高すぎます。

 

なかには、塾からお金をとってランキングに載せているサイトもあります。もちろんお金を払わない塾は載せないのです。

こんなランキング、信憑性はゼロですね。

 

もちろん、教育系掲示板であったり個人のブログであったり、様々な情報がネットにはあふれていますが、その信頼性を判断できないのであれば、全て「デマ」ととらえるほかないでしょう。

 

もちろん私のこのブログもそうしたネット情報の一つにすぎません。

これが信頼できるかどうかは、私の過去記事を読んでご判断していただくしかないと思います。

私は、どの塾からも距離を置いたニュートラルな立場からアドバイスしているつもりではありますが。

 

信頼できる情報の入手方法については以下の記事をごらんください。peter-lws.hateblo.jp

 

ここで、誰にとっても役立つ「中学受験の塾選び」のやり方をお教えします。

 

家から一番近い大手の集団指導塾を選ぶ

これです。

拍子抜けするようなアドバイスで恐縮ですが、これが多くの人にとって最適なアドバイスなのです。理由をご説明します。

 

 (1)家から近いことのメリット

中学受験は、時間との戦いです。小学生の持ち時間は限られています。小学校に通いながら、学校の宿題もこなしながら、学校行事も参加しながら、睡眠時間も確保しながら、残りの隙間時間を工夫して受験勉強をしなくてはなりません。塾までの往復時間が短ければ短いほど、学習時間が確保できるのです。

 〇〇塾の△△教室の合格実績が高いから

 〇〇塾の△△先生の評判がいいから

そんな理由で電車やバスを乗り継いで遠くの塾に通うのは無駄なことですね。

時間がいかに重要か、それは6年生の秋になれば身に染みてわかることです。

 

 何年生から塾通いをスタートさせるかはご家庭によってさまざまだと思います。昔は小4からといわれていましたが、今はもっと早まっているようですね。いずれにしても、3年間、あるいは6年間にもわたって塾に通うわけです。もちろん小学校にも通いながら、です。無駄な移動時間は1分でも少ないほうがいいにきまっています。また、小学校の後に塾に通うとなると、夕食の時間がとれなくなってしまいます。6年生ともなれば9時くらいまでは塾に拘束されているでしょう。それから家に帰って夕食、となってしまうと、成長期の体調管理に支障が生じます。

 塾での指導は小学校が終わってからであり、おおむね5時前後からスタートします。そのため、我々教師は午後から夜にかけてが仕事時間であり(いわゆる夜の商売です)、早起きが苦手です。学校が長期休みの講習時だけ、朝からの授業となり、必死で目覚ましをかけて仕事に向かうものです。ある講習の終了時に、生徒にこう声かけをしたことがあります。

「今日はお疲れさま。明日も朝から授業だから、早く帰って早く寝るんだぞ。」

すると、生徒がいいました。

「先生。僕たち、毎日学校に早起きして行ってるんだよ。いつもとかわんないよ。」

そうだった。この子たちは、普段は学校に朝から行き、そのあと塾で夜まで勉強してるんだった。

小学生時代にしか無いキラキラした夏休みも、学校帰りの寄り道も、そうしたこと全てを犠牲にして受験勉強に打ち込んでいる生徒たちを思うと、絶対に志望校進学に導くぞ、と決意を新たにしたものです。

 

話を戻します。

受験勉強は、無駄な時間をどれだけ削ぎ落すかがポイントとなります。まずは自宅から最も近い塾がベストとお考え下さい。

時間を制するものは受験を制す ですね。

 

 (2)大手集団指導塾のメリット

塾に期待するものとは何でしょう?

(1)カリキュラム

(2)教材

(3)情報

(4)指導スキル

(5)ライバル

この5つになります。

カリキュラムを組み、教材を作成するのは、大手塾でなければ不可能です。膨大なマンパワーと費用が必要となるからです。

また、情報についても、生徒の立ち位置を正確に把握するためには母集団の大きさが重要ですし、学校情報も大手塾は豊富に持っています。生徒数が多ければ同じレベルの生徒と切磋琢磨できる環境も期待できますし、多くの受験生の指導経験が教師の指導スキルを向上させます。

さらに、模試の精度が違います。1学年の受験生が数百人レベルの模試では、偏差値は算出できません。最低でも1000人以上、できれば5000人くらいは受験するテストでなければ、成績データは信頼できないですね。

サピックス日能研四谷大塚、この3大塾の模試ならそこは信頼していいでしょう。

早稲田アカデミー四谷大塚の準拠塾です。

※その他に「首都圏模試」も規模が大きい模試です。このテストを採用している塾もあります。

 

そこで、自宅最寄りの大手集団指導塾の教室というのが、最適解となるわけです。

候補をいくつかにしぼったら、あとは直接教室を訪れましょう。

そこでの注意はたった3つです。

 

2.塾選びで注意するポイント

 (1)無料を売り物にする塾は避ける

これが大切ですね。

どの塾にしても、一人でも多くの生徒が欲しい、これは当たり前です。

とはいうものの、あまりにもセールストークが過ぎる塾はやめましょう。

「今なら入塾金を無料にします。」

「今なら一か月の無料体験授業が受けられます。」

「まずは無料のテストを受けてください。(それで受けた後、)すばらしい成績です!特待生になりました!授業料は免除します!

そもそもお金で生徒を釣ろうとしている段階で、その塾は信頼できません。教育にはお金がかかります。より良い教育にはそれなりのコストが発生します。それが「タダ」だったり「半額」になる時点で、疑ってかかるべきでしょう。TVショッピングじゃないのですから。

当然、このような「勧誘のための無料テスト・授業」のコストは、通塾している生徒が負担します。つまり、こうした塾に入ると、今度は自分たちの支払った授業料が、授業以外のものに使われる、というわけです。

 

(2)脅しにかかる塾は避ける

「定員枠があと少しです。今すぐ入らないともう埋まってしまいます。」

これも良く聞きますね。もちろん一部の人気塾の中には、低学年のうちから定員が埋まってしまい募集停止というところもあるのは知っています。教室の確保も難しいですが、何より教師の確保が困難です。生徒が集まったからといって、ほいほいと教師を増やすことはできないですからね。

とはいえ、「今すぐ入らないと・・・」と不安を煽る塾はろくな塾ではありません。やはり止めておきましょう。他にもいくらでも塾はありますので。

 

(3)安請け合いする塾も避ける

「うちにまかせてくれれば、かならず志望校に受からせます!」

「家庭では何もしなくて結構です。すべて面倒を見ます!」

「毎日塾に来させてください!」

この「おまかせ」系の塾も曲者です。関西の塾には多いスタイルですが、首都圏でも見かけることがあります。何が問題かというと、「本当にお任せできるのか」どうかが不明なのです。その言葉を信じて「お任せ」してしまった結果、実は任せてはいけない塾であったら悲劇以外の何物でもありません。そもそも学習には、定着や弱点補強など、塾に任せずに自分で頑張らねばならない部分がたくさんあります。あまりに拘束時間が長い塾ですと、その大切な時間が捻出できなくなるのです。

これらのような塾は、やめておいたほうが賢明ですね。子供の教育を任せるのですから、信頼が大切だと思うのです。

 

 (4)塾の合格実績は要注意である

 各塾が公表している中学校の合格実績を足し算すると、その学校が公表している合格人数をはるかに上回る。よく聞く話ですね。

 私の知る限り、合格実績に対する塾のスタンスは以下の5通りです。

 

 A:実際に指導していた生徒の合格実績を正直に公表している

 B:たいして指導してもいない他塾の生徒の合格実績をかき集めて公表している

 C:複数の提携塾の合格実績を互いに合算し合って水増ししている

 D:合格実績を稼ぐことを目的とした進路指導をしている

 E:完全に数字を捏造している

 

どの塾がどのパターンなのかは、業界では常識として知られていますが、ここで具体的な塾名を出すことはいたしません。

Aの塾が一番信頼できます。合格実績がめざましい大手塾の中にもこうした塾は存在します。

Bの塾も多いですね。そこの社員だった講師に聞くと、受験終了直後から、必死の電話かけを行うそうです。一人でも実績へのカウントを承諾してもらえると、社員に報奨金が出たそうです。嘘のようですが本当の話です。

Cの塾も複数ありますね。

Dの塾も存在します。どういうことかというと、例えば開成を受験したいが合格が危ぶまれる生徒に、「開成を受けるな」という指導をするのです。そうして、「当塾の開成合格率は100%!」とやるのですね。つまり、受かりそうもない生徒に受けさせないことで、見かけ上の「合格率」を底上げするのです。最低の塾です。

Eの塾も、哀しいことに存在します。誰も検証のしようのない数字ですから、いくらでも捏造が可能といえば可能です。モラルのかけらもない塾といえるでしょう。

 

また、こうしたスタンスというものは、塾の規模とは無関係です。何となく、中小塾はAのパターンで、大手塾はB・Cのパターンが多いような気がしますが、全く違います。

なかにはHPで堂々と「ここに掲載した合格実績は通年指導した生徒のみであり、テスト生や特別講習性を含みません。」などといった、大嘘を掲載している塾もあるのが現状なのです。

「全国学習塾協会」加盟塾といえども、それだけで信頼できるわけではないと思います。

 

その塾がどのパターンなのかわからなければ、塾が公表している合格実績は「参考程度」ととらえておいたほうがよさそうです。

 (5)ネット掲示板情報は見ない

「inter edu」を筆頭に、塾・学校・受験に関連した情報がネットにはあふれています。私もたまにしかのぞきませんが、まああきれるほどに「」の情報で埋め尽くされているのです。書き込む人が無知なのか、意図的なのかはわかりませんが。

またネット掲示板の特徴として、いわゆる「愉快犯」のような人達の書き込みが多いこともあげられるでしょう。人を罵倒したり愚弄したりすることが好きだったり、嘘の情報で人々がうろたえるのを見るのが好きだったりするのでしょうか。

例えば、「〇〇塾最高!」と書き込みがあったとしましょう。

◆その塾に通わせてうまくいった、だから最高!という善意の書き込み

◆その塾の内部の人間による宣伝目的の書き込み

◆その塾のライバル塾による「ほめ殺し」的な書き込み

◆アクセス数を稼ぐことが目的の書き込み

いったいどれなのか、判別はできません。

 

たとえ善意の書き込みがあったとしても、「わが子は〇〇塾で合格できた、だからお勧め」となるか、あるいは「わが子は△△塾に通わせたけどあそこは最低!」(たぶん不合格だったのでしょう)となるか、どちらかに偏り参考にはなりません。

そもそもわが子の入試が終わっているのにいつまでも掲示板に張り付いている人たちなので、お察しがつくというものです。

それなのに、掲示板に質問や相談を書き込む人がいるのが信じられません。

賢明なみなさんには、ネット掲示板は一切見ないことをお勧めする次第です。

 

塾選びのアドバイスは他の記事でもたくさん書いています。

peter-lws.hateblo.jp

peter-lws.hateblo.jp

 

繰り返しになりますが、塾はこのように探しましょう。

 

◆自宅から近い大手の集団指導塾に足を運び、説明をうける

◆疑問点や納得できない点は問い質し、納得いくまで説明してもらう

◆複数の塾を検討する

◆入塾テストを受ける