※この記事の初出は2023.11.17です。2024.11.01にUPDATEしました。
中学受験でも高校受験でも、入学願書には必ず(ほとんど)写真が必要です。
今回は、その写真の準備方法について簡単にまとめてみたいと思います。
※すでに用意してしまった方は以下の記事は読まなくてもいいと思います。
1.写真が不要な学校もある
とくに2回目・3回目・午後入試等を実施している学校にみられます。
例えば、洗足学園のHPにはこうありました。
Q web出願では写真は不要とのことですが、当日も不要ですか。
A 当日も写真をお持ちいただく必要はございません。
しかし、出願する全ての学校で不要ということはないでしょう。
2.写真の提出方法
(1)出願書類に写真をノリで貼って提出
(2)web出願時にJPEGデータを送信
ざっくりと分けるとこの2パターンですね。最近は(2)のweb出願が主流となりつつありますが、旧来型の(1)の学校ももちろんあります。またその折衷型として、web出願後に返送されてきた写真票に写真を張り付けて試験当日に持参といった場合もありますね。
例えば女子学院はこうなっています。
【出願用顔写真】
① 出願には事前に出願用写真の登録が必要となります。写真はカラーでも白黒でもかまいません。
② 3か月以内に撮影された志願者の正面・無帽・上半身・無背景のJPEG形式かPNG形式の 画像ファイルをご用意ください(データは3MB以下のサイズにしてください)。
③ 受験時にメガネをかける場合は、メガネをかけた状態で撮影してください。
④ ログイン後のマイページで用意した顔写真画像データをアップロードしてください。
⑤ 出願用顔写真登録は2023年11月13日(月)午前10時から可能です。
さて、いくつかの学校の出願方法を調べていると気が付かれたことと思います。
全部同じ?
そうなんです、実はほとんどの中学校がweb出願のシステムとして、「miraicompass」というシステムを導入しているのです。
【導入校】
青山学院/跡見学園/桜蔭中学/鷗友中学/大妻中学/海城中学/開成中学/学習院中/吉祥女子/暁星中学/共立女子/慶應女子/慶應中等部/恵泉/攻玉社/香蘭/ICU高校/駒場東邦
東京のア行・カ行の学校のほんの一部を抜粋してもこんなにあります。
この「mirai compas」は三菱総研の関連会社が開発したシステムで、事実上のweb出願のスタンダードといってもいいでしょう。他のシステムを採用している学校ももちろんありますがかなり少数派です。
miraicompasのHPにはこうありました。
今や入試の出願はインターネットが当たり前になりました。
顔写真も、データで一度登録しておけば、インターネットで出願した後出力される受験票等に、顔写真が自動で印刷されています。顔写真の枚数不足を心配する必要は、もうありません。
しかも、miraicompassならログインID(メールアドレス)を共通IDにしておけば、他の学校に出願する際、顔写真データをその都度登録しなくても、受験票に顔写真が印刷されて出てきます。
詳細は以下のページをご覧ください。
https://www.mirai-compass.jp.net/photo_guide/
ただし学校ごとにシステムをアレンジして使っていますので、採用している全ての学校の写真提出方法が全く一緒ということではありません。
3.写真の準備方法
紙の写真にしても画像データにしても、撮影しないことには始まりません。その方法は4種類となります。
(1)老舗の「写真館」に頼む
よく老舗のデパートやホテルに入っていますね。銀座三越の伊勢丹写真室のHPをのぞいてみました。
〇撮影料金・・・3300円
〇プリント料金・・・660円/1枚
〇デジタルデータ・・・6600円/1カット
必要枚数プリントしてデジタルデータを頼むと、2万円近くとなります。
その他、横浜そごうの写真館をみると、ジャケットの貸し出しサービスや修正サービスもありました。こちらも料金的には似たようなものですね。
さらに、世間には「お受験に強い写真館」なるところがあるそうです。いったい何が「強い」のかよくわかりませんが、「利発でかしこそうに」撮るとか、「印象をよく」するとか、「大勢の方から満足の声」があるとか、いろいろ書かれていました。
確かにこうした写真館には豊富なノウハウがあり綺麗に撮ってくれるのだと思います。どうしても写真にだけはこだわりたい、お金をいくらでもかけたいというのならよいのでしょう。
写真の印象が重要な、例えばお見合い写真ならぜひお願いしたいですね。
ただし、出願用の写真の目的を考えた場合には、はっきりといって「時間とお金」のムダ以外の何物でもありません。
写真が「利発そう」であろうがなかろうが合否には関係ありません。
寒い時期に、わざわざ遠くまででかけて写真を撮る、それだけで感染症リスクも高まるし、貴重な時間を捨てることになります。その時間があれば、過去問が4科目分解けるじゃないですか。
(2)写真店に頼む
カメラのキタムラのHPをのぞいてみました。
「受験の証明写真にも『就活応援パック』」というのがあります。
撮影・出願用データ・元データ・プリント4枚で5480円です。時間は10分だそう。
さらに、「目を大きく・小顔・美肌修正」も込みですが、これは断ってください。
受験者の本人確認に使うという出願用写真の目的に反しますので。
ご自宅の近所に、こうした写真店があるのなら、何も考えずに5000円ちょっとでデータが作れますのでかなり便利ですね。店の隅っこがちょっとしきられていて、パパっと撮影というかんじでしょうか。店舗によって扱いが違うようですので、事前に確認してみてください。
(3)スピード証明写真機で撮る
よほどの緊急事態でない限り、これはやめましょう。顔の陰影が消えやすいですし、プリントされた写真しか出てきません。
そう思っていたら、最新の機械では、スマホにweb出願用のデータがダウンロードできるようになっているのですね。驚きました。
この写真機の名前は「Ki-Re-i」というわかりやすいネーミングです。
価格はデータダウンロードすると計1000円のようです。
設置場所を上記HPで検索してみると、結構多いのですね。
私は使ったことがないので明言できませんが、もし近所にこれが設置されていて、時間に余裕がないのなら、これも便利かもしれません。
出願用写真は、本人であることさえ確認できればよいのです。末永く使用するわけではありません。1回きりの使用です。であれば、時短が最優先されます。
(4)自宅で撮る
私が最もお勧めしたいのは、この方法です。
理由はたった一つ、「受験生には時間がない」からです。
日曜日や冬休み等で自宅にいるときに、勉強の合間に3分もかからず撮影できます。
私の生徒の一人は、炬燵で勉強をしていたら、「はい、写真撮るよ」と親に言われ、壁の前に立たされて、上着だけ着せられて撮影したそうです。下はパジャマのズボンのままだったと笑っていました。出来上がった写真は「ぼんやりした子に見える写真」だったそうですが、もちろんそんなことは合否には無関係で、受験した学校は全て合格しています。
もちろんこのためには、親に若干のPCスキルが必要です。撮影の準備やコツを書いておきます。
(1)オフホワイトの無地の壁があること
もしなければ、シーツを壁に貼り付けてもかまいません。あるいは大きな模造紙を1枚貼ってもよいでしょう。
(2)室内照明は消し、外光がたっぷり入るところで撮る
蛍光灯やLED照明は不自然な色味です。色温度の調整が必要となります。そんな面倒くさいことをやるくらいなら、素直に室内照明を消して外光を取りいれましょう。ただし、直接太陽光が当たってはいけません。部屋全体が明るくなっているのが理想です。
(3)背景の壁に影が濃く映らないようにする
部屋全体が明るくなっていれば目立つ影はできないものです。
(4)フラッシュ厳禁
デジタルカメラ・スマホのフラッシュ機能はoffにします。正面から強い光が当たり、顔の陰影が消えて不自然な表情になります。また背後の壁に身体の影が強く出てしまいます。
(5)レフ板を使う
顔が柔らかく映るように、レフ板を使うとよいですね。適当な段ボールにアルミホイルを艶消しの面を表になるように貼るだけでかまいません。あるいは、100均で売っているスチレンボード(白)も使えます。子供に腰の位置で持たせるとよいでしょう。
たったこれだけで、仕上がりが変わってきます。
(6)変なアプリは使わない
美肌になったり目が大きく映るアプリも出回っていますが、絶対に使ってはいけません。
スマホで撮るなら、スマホ附属の写真アプリで加工なしに撮影してください。写真の目的は、あくまでも本人確認です。加工はその趣旨に反します。
証明写真や出願写真専用のスマホアプリも多数出ていますね。
様々な設定をしなくて済むので実に便利そうです。
全て使ってみたわけではないので何ともいえませんが、私が使ってみたアプリは、画質が荒れていました。
そもそも出願はPC経由で行いますので、全てをスマホで完結しようとする意味はありません。
(7)撮影後に修正加工しない
写真の目的を考えれば明らかですね。撮影後にPhotoshopでの加工もNGです。
(8)規定に従って写真サイズを整える
この工程は必須です。ただし、そんなに難しい操作ではありません。
これができない方は、写真店に頼むほうがよいですね。
★使用機材について
デジタル一眼レフ・コンパクトデジカメ・スマホ、どれでもかまいません。ただし、手ブレ・ピンボケには注意しましょう。手持ちよりも三脚の使用をお勧めします。
★プリントについて
コンビニで「シールプリント」するのがお勧めです。のりや両面テープを使わずに綺麗に貼れますので。1枚250円の写真プリントで6カット入ります。2枚も頼んでおけば十分でしょう。
お金も時間も節約できることになります。
4.注意が必要なケース
これは駒場東邦中の写真規定です。
そんなに珍しいものではありません。ごく普通の規定ですね。ただし、この規定の直後に赤字でこうあるのです。
※ご用意いただく顔写真は写真店での撮影をおすすめします。
なんだ、これは?
これではまるで「自宅で撮った」写真ではダメと言われているようなものじゃないですか。
この理由はたった一つです。
自宅PCで、JPEG、450×600ピクセル、3:4,3MB以下の写真をきちんと用意できない人がいるからなのですね。
とくにPCを使わずにスマホで全てを済まそうとすると難易度があがります。学校としてもおかしな写真データを送ってほしくはないので、それなら「写真店で」となったのでしょう。
逆に言えば、きちんと自宅PCで準備ができるのなら問題はないということですね。
しかしながら、こんな学校もあります。
・写真店で、写真のデジタルデータ(正面、上半身、脱帽、無背景、縦横比が4:3、3カ月以内に撮影、カラー、JPEG形式またはPNG形式、3MBまで)をお願いしてください。
・スナップ写真等、個人で撮影した写真は使用しないでください。
これは浦和明の星中学です。
またずいぶんと厳しいですね。どうしても写真店で撮らせたいのでしょう。理由は駒東と同じだと思いますが。
もちろん、自宅でも写真店と同じことはできます。データに違いはありません。
デジタルの時代になってからは、プロとアマチュアの垣根は消滅しました。写真店にできることなら、自宅でも全く同じことができるのです。
とはいうものの、あえて歯向かうのも大人気ないので、出願される学校がこうした規定を設けている場合は、従ったほうが楽でしょう。ただしこうした学校はごく少数派です。
なかには開成中学のように、
デジタルカメラで撮影したものでも、写真館や証明写真機などで撮影したものでも構いません。
と明記している学校もあります。大らかですね。個人的にはこちらのほうに好感を持ってしまいますね。
6.結論
私のおすすめ順はこうなります。
自宅で撮影>>>近所の写真店>高性能スピード証明写真機>>>写真館
つまり、写真の目的=本人確認 であることを考えれば、写真なんて何でもいいのです。こんなことに時間とお金をかけるのは本当に馬鹿らしいと思います。
それがいかに時間の無駄であるかは、こう考えればわかると思います。
明日が第一志望校の入試本番であるという1月31日に、電車で1時間かけて写真館に行きますか? 往復を考えれば、3時間以上かかります。
1月31日の3時間と今の3時間に違いはありません。その3時間でできることはたくさんあると思います。
関連記事として、入学願書の志望理由についてはこちらに書いています。