今回は、この時期に質問の多い、出願タイミングについて書きたいと思います。
都市伝説は真実か?
次の質問を考えてみてください。
Q:受験番号は早い番号のほうがいいのか?
A1.同じ点数なら受験番号の若いほうを合格させているから有利
A2.補欠繰り上げの際、若い番号のほうを優先しているから有利
A3.試験後早くに教室を出られるから有利
A4.面接の待ち時間が少なくてすむから有利
A5.遅い番号の受験生は合格者が少ないと聞いたことがあるから有利
A6.学校に熱意が伝わるから有利
A7.子どもに親の気持ちが伝わるから有利
A8.塾でそうするように指示されたから有利だと思う
A9.出願トラブルを避けるためにも早めのほうがよい
A10.どちらともいえないが、どちらかといいえば有利だと思う
さて、みなさんはいくつチェックがつきましたか?
もしかしてA10を選んだ方が多いかもしれません。
理由はわからないが、何等かの理由により有利かもしれないとお考えなのですね。
先に結論を申し上げます。
全て間違っています
受験番号と合否には何の関係もありません
これからそれを検証しましょう。
受験番号と合格者の分布
まずは、このグラフをご覧ください。
これは、第一志望校として人気のあるA中学の、合格人数と受験番号を調べたものです。
受験番号の100番ごとの合格者数を数えました。
一目瞭然ですね。
受験番号と合格人数には何の関係もありません。
1100番までの平均合格人数は37.3人です。
1200番台の合格者は少ないですが、おそらく出願者が少ないことが理由です。
2点、気になるかもせれません。
(1)1100番台の合格者数が明らかに少ない
(2)800番台から合格者が減少傾向にある(ような気がする)
この学校の出願の注意にはこうあります。
※受験番号は、出願情報入力・入学検定料支払いの順とは関係なく、ランダムに発番されます。
どのみちネット出願ですからね。
ただし、ランダムかどうかが気になるところです。
この2点を検証する前に、B中学についても調べてみましょう。
やはり無関係です。
こちらの学校もネット出願なのですが、受験番号の発番については、このように書かれていました。
※受験番号は出願情報入力や受験料振込の順によって決定されるものではありません。
しかし、上述した2点の傾向はうかがえます。
統計上、これくらいのサンプル数では(1)も(2)も誤差の範囲としかいえないのですが、気になることは解消しないと気持ちが悪いですね。
受験番号発番のパターン
その他の学校についても調べてみると、受験番号の発番には、以下の2パターンがあることがわかりました。
①受験料支払い順
従来の「出願順」と同じです。ネットバンキング・コンビニ支払いによらず、受験料を支払った順に受験番号が発番されます。
②ランダム
A中学のようにランダムを謳っている学校もあります。このスタイルをとるため、出願・受験料の支払から受験票発行までタイムラグが生じます。
さて、この①と②のうち、気になるのは①ですね。
出願タイミングが早いほうが有利なのではないのか?
実は両方の発番スタイルをとる複数の学校で検証したのですが、グラフは全く同じパターンとなりました。
つまり、出願順と合否は無関係 だったのです。
そもそもランダムに受験番号が発番されるのなら、「熱意」など無関係です。
ただ、ランダムに発番しているはずなのに、なぜ受験番号最後から2番目のブロックの合格者が少ないのか、この疑問が解消しませんね。
そこで、このように考察しました。
③支払い順とランダムのミックススタイル
募集要項には「出願順(支払い順)ではありません」となっていても、ある程度順がついていることが推測される学校です。おそらくは出願期間中のどこかのタイミングで一度発番しているのではないかと思われます。そこまでの合否に有意差がみられないからです。しかし、最後のほうのブロックについては明らかに合格率が下がっていますので、こちらは後から発番していることが予想できるのです。
受験生の手元に受験番号を早く届けたい。そこで、ある程度の出願者が集まったタイミングで、一度発番していると思われるのです。
出願期間中の途中に、受験票の印刷期間が始まっている学校がほとんどです。
出願期間終了まで待ってから発番しているわけはないですね。
ただし、いったい何回発番タイミングがあるのかまではわかりません。
そうすると、次の推理が成り立ちます。
◆間際になって志望校を変更した
私が調べたのは、1日しか入試を行わない学校、つまり第一志望の生徒がほとんどの難関校についてです。
複数回入試を行う学校については、受験番号と合格者数の関係を調べることは無意味なのでやりませんでした。
ということは、本来は受験予定になかった(あるいは迷っていた)、実力よりレベルが上の学校に、急遽チャレンジすることになった、そういうケースが考えられるのです。
いわゆる「駆け込み出願」ですね。
実力が達していなかったり、準備が不十分だったことが想定できます。
だから、合格率が下がっているのでしょう。
出願タイミングの最適解
開成中の募集要項から引用します。
【出願期間】
<1.出願情報入力・入学検定料支払い>
2024年12月20日(金)12:00~2025年1月22日(水) 23:59<2.受験票印刷>
2025年 1月10日(金) 12:00~2025年2月1日(土) 9:00
おそらくは、1月10日の受験票印刷開始日には、8割程度の出願は済んでいると思われます。
桜蔭中の募集要項から引用します。
出 願
インタ-ネット出願となります。桜蔭学園公式サイトをご確認ください。
検定料は25,000円です。
情報入力・支払期間 : 令和6年 12月21日(土)12:00(正午)~令和7年1月16日(木)23:59
出 願 期 間 : 令和7年 1月10日(金)12:00(正午)~令和7年1月16日(木)23:59
下記①②③の書類を1月20日(月)必着で郵送してください。
① 6年生の通知表のコピ- 「小学校の担任の先生へ」を、小学校の担任の先生にお渡しし、作成を依頼してください。
② 保護者記入用紙(本校所定用紙)
③ 写真票 ②と入試当日の持ち物・注意事項については、検定料支払い後、メ-ルでお知らせします。
渋谷渋谷はこうです。
2025年1月10日(金)10:00~2025年1月28日(火)14:59まで
本校ホームページからインターネット出願サイトにアクセスし、上記期間内に入力と受験料の納入を完了してください。
調査書の要・不要、郵送書類の有無、ネットで完結、学校によって状況は異なります。
しかし、ここで大事なことを忘れてはいけません。
出願=受験校確定
ということなのです。
たまにいるのです。2月1日午前の受験校(本命)を最後まで迷い、こともあろうに2校に出願する生徒が。
開成と麻布、桜蔭と女子学院、開成と駒東、渋谷渋谷と女子学院。いろんな生徒を見てきました。
その迷い、一つも良いことはありません。
出願するということは、受験校が確定することを意味します。
(もちろん、合否を見ながら出願する場合は除きます)
そこで、出願の最適時期は、正月明け、となります。
正月は、家族が全員顔を合わせますね。
そこで、最後の迷いを断ち切って、受験校を確定してください。
その上で、出願しましょう。
これが出願タイミングの最適解だと考えています。
こちらの記事で、合格者分布をさらに分析しています。