中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】出願準備 調査書の頼み方

先日、生徒の母親からたずねられたのです。

「学校に調査書を頼むのって、いつがいいのですか?」

そんなのは常識でわかるだろうと思っていたのですが、そんなこともないのですね。

何せ初めての受験ですから、小さなことも気になる方も多いのだと気が付きました。

そこで、今回は、「学校への調査書の頼み方」をまとめてみます。

調査書とは?

「調査書」(「報告書」ともいいますね。本記事では「調査書」に統一します。)は、小学校が正式に作成する、小学校生活の様子をまとめた書類です。高校受験でいう「内申書」とほぼイコールと思ってください。

 

報告書書式

こちらにあげたのは、「東京私立中学高等学校協会」が用意している「報告書標準様式」です。

これをこのまま使用している中学校も多いですし、少しアレンジしている学校も見かけます。

 

この中で、気になる記載項目は以下でしょう。

◆各教科の学習の記録

 ここには、5年・6年の教科の評定が記載されます。

 また、「所見」欄もありますね。

◆総合的な学習の記録

◆出欠の記録

◆行動の記録(所見欄あり)

◆特別活動の記録(所見欄あり)

◆健康上の特記事項

◆総合所見及び指導上参考となる諸事項

 

中学校は調査書のどこを見るのか

もちろん学校によります。

「参考程度です」という学校がほとんどでしょう。

その「参考」が知りたいのです。

 

こちらは、学校に確認したわけではありません。私の推測(というより常識)を書きます。

(1)欠席日数とその理由

実は、ここだけが唯一客観的なデータです。

別に「皆勤賞」である必要はありません。

元気に小学校にきちんと通っていたことがわかれば十分なのです。

逆に言えば、以下のような生徒は、中学校としても正直受け入れたくはないでしょうね。

◆家族行事(旅行?)で年間40日も休んだ

 ああ、このご家庭は、学校生活の優先度が低いのだな。普通そう思いますよね。

ただし、父親が海外赴任中で、どうしても行く必要があった等、学校側が納得する理由があれば別でしょう。

◆病欠が100日以上あった

 これでは、中学校に進学してからもきちんと通学できるか不安です。ただし、長期入院を余儀なくされたが、現在は元気に小学校に通っているのなら大丈夫でしょう。

◆遅刻が60日以上あった

 何らかの理由で朝起きられないのか、学校へ行けないのか、あるいは親がきちんと学校へ行かせることができないのか。いずれにしても不安です。

 

(2)健康上の特記事項

 こちらは、欠席日数とリンクします。

 何らかの健康上の問題を抱えていたとしても、きちんと小学校に通えていたのなら、中学校としても問題視はしないでしょう。

しかし、まともに小学校に通えていない状況であったなら、小学校よりも通学のハードルが各段に高い中学校へ通えるとは考えにくいですね。

 その場合は、事前に学校に相談する必要があると思います。

 

(3)総合所見

 こちらについては、何等かの問題を起こしていなければ気にする必要はないと思います。

 

(4)学習の記録

 こちらについても、中学校側は気にしていません。小学校の評価よりも、学力試験の結果が全てですので。そのための入試です。

 

公立中高一貫校の場合

 公立中高一貫校は、調査書を重視します。公立ですので。

ただし、それについて調査書依頼段階で出来ることは何もありません。普段の学校生活が反映されるだけです。

 

調査書の頼み方

 

調査書は、担任の先生が学校内で記入し、校長印が押されて、封筒に封印されます。

したがって、担任の先生の負担にならないように頼まなくてはなりません。

 

例えば、5校分依頼するのなら、このようにするとよいでしょう。

(1)A4の封筒を5枚用意し、表に学校名と子どもの氏名を記入する。この封筒に中学校指定の調査書記入用紙を入れる。また、学校によっては「小学校の担任の先生に以下の項目をお願いしてください」といった文書や注意事項が出ている場合もありますので、そうした用紙があれば同封してください。

 

(2)調査書を入れた(1)の封筒5枚を、少し大きめの封筒にまとめて入れる

 

(3)大き目の封筒の表に、子どもの氏名、依頼する学校名(5校)を書き、「出願予定日」を赤字で記入する。

この「出願予定日」は、学校側が示している「出願締切日」ではありません。あくまでもご家庭で出願予定としている日を記入してください。

例えば、出願期間が 「2024年12月20日(金)12:00~2025年1月22日(水) 23:59」となっている学校があります。正月に家族会議で最終決定をして、1月7日に出願しようと思います。その場合は、「出願予定日・・1月7日」と書いておきましょう。

そうすれば、担任の先生としても、「この子は1月7日までに調査書を作成しないといけないのか」と締切日がわかり、作業スケジュールがたちますので。

※早めの準備は良いことですが、あまりにも早い時期に依頼しても、出席日数が確定していないとか、成績がついていないようでは意味がありません。

 

(4)上記封筒に全てをセットし、12月中旬に学校を訪問して担任の先生に手渡しで依頼する。

 

※大切な書類です。

子どもに持たせるような「非常識」なことは避けましょう。

他人に何かを頼むのなら、「直接お願いにあがる」のが常識です。事前に電話をしてからうかがいましょう。(電話を入れた際に、子どもに持たせるよう指示されたなら別)

 

もしクラスに25人受験する生徒がいて、それぞれが4通ずつ調査書を頼んできたら、作業は100通分となります。学校の先生の負担を考えましょう。

 

 

 

調査書不要の場合

 

こうした学校も増えています。とくに男子校の多くは不要としていますね。また、複数回入試で試験日当日に出願が可能な学校など、写真すら不要としているところもあるくらいです。

また、通知表のコピーを小学校が行い封筒に学校が封印することを求める中学校もありますし、家庭でコピーをして添付させる学校もあります。

 

出願書類を隅まで熟読し、くれぐれも「他の学校と間違わない」ようにしましょう。

 

 

※重要!

 

学校が封印した封筒です。決して開けてはいけません。

中身を気にするのもやめましょう。

封筒を透かして見たり、受けもしない学校の調査書をダミーで頼んで開封したり、そうしたこともNGです。

 

何の意味もありません。

もうこの段階でできることは何一つないのです。