中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

服装と持ち物:学校訪問と入試本番のポイント

 

受験に関連して学校を訪れる機会はいろいろありますね。

◆学校説明会

◆文化祭・体育祭

オープンキャンパス

◆授業見学

◆学校訪問

◆ミニ授業

このあたりが、学校入学前に行われるイベントでしょうか。

親子で参加するものも多いですし、説明会ですと保護者のみ参加となっているものが大半です。そしてもちろん入試本番が。

よく質問を受けるのです。

「どんな服装で行くべきでしょうか?」

そんなものは学校は全く気にしていませんし、常識の範囲内であれば何でも良いわけですが、「常識の範囲」がわからなければ、悩みは深まるばかりですね。

そこで、私が過去に参加した説明会等のイベントで見かけた方々の服装を思いおこしながら少し書いてみたいと思います。

1.親の服装

(1)学校説明会の場合

学校説明会や学校見学会のような、受験生保護者を学校側が招待する型式でのイベントについては、みなさんきちんとされていましたね。

〇平日の昼間開催・・・父親は仕事を抜けて(さぼって?)参加している方が多いので、みなさん普通のスーツ姿でした。最近は父親の出席率が高いと聞きますね。まあ男性の場合は、スーツさえ着ていればどこに出ても恥ずかしくない万能の仕事着なので、ここは悩む必要はないでしょう。もっとも最近は企業でもクールビズウォームビズが一般的となってきていますので、とくに夏場の場合は、ノーネクタイの方も多かったです。一部の職種を除いては、普段通りの通勤スタイルで全く問題はないですね。

母親の服装は、男性のスーツ姿の横にいて違和感のない服装といえばわかるでしょうか。黒・紺・グレー系のスカートにブラウス、それに合わせたジャケット姿が多かったかなあ。ワンピースにジャケットを合わせた方もよく見かけます。また、普段仕事で着慣れていると思われるパンツスーツ姿の方もいらっしゃいました。ある程度きちんとした服装を要求される職場でお仕事をされているなら、その仕事の服装で行くのが自然だと思います。男性のスーツと一緒ですね。

※いわゆる「お受験スーツ」の必要はないです。

 私立小学校受験の場合には、かなりフォーマルに振ったスーツ姿、いわゆる「お受験スーツ」を用意する方が多いと聞きました。しかし、中学の説明会ではそれはやりすぎですね。何もジュンアシダで誂える必要はないのです。そうした方もちらほら見かけますが、疲れそうですよね。

〇土曜午後・日曜開催・・・この場合は親子で参加の説明会も多いですね。女性はともかく、男性の場合はスーツの必殺技が使いにくいので、かえって困るのではないでしょうか。見たところ、グレーのスラックスorパリッとしたチノパンにジャケットを羽織る、といったスタイルが一番しっくりきていたように思います。どういえばいいのでしょうか、例えば休日に家族で銀座のミシュラン3つ星レストランに食事に行く服装といえばわかりますかね。かえってわかりづらいですね。女性は平日と同様の服装でよいと思いますが、父親に合わせて少しだけドレスダウンしてもよいかもしれません。

 もちろん、無理にカジュアルに振る必要性はありません。きちんとしたスーツ姿で参加する方も見かけました。きちんとした服装で恥をかくことはありませんので。

 

服装については、簡単な判断基準があります。

みなさんが説明会に行くと、入口で学校の先生方が迎えてくれるはずです。その先生方の服装を見てください。誰一人としてジーンズは履いていません。スニーカーもいません。トレーナー姿もいません。当たり前ですよね、学校にとっては大切なお客様をお迎えして学校について知ってもらうための重要なイベントなのですから。そうした先生方と同じ空間にいて違和感を抱かない服装、それが正解です。服装のTPOとはそうしたものですね。

学校や先生方に失礼のないような服装、これを心掛ければ、おのずから服装は決まってくるのではないでしょうか。

 

◆学校によって、集まる保護者の服装が異なるのが面白いですね。千代田区や港区にある伝統校にお邪魔すると、参加されている方の服装は、やはりみなさんきちんとされていました。それに引き換え、南武線沿線のとある学校にお邪魔したときは、もちろんきちんとした服装の方もいるのですが、多くは「ちょっと近所に買い物に来ました」といったカジュアルな装いで、ちょっとびっくりしましたね。気のせいか、保護者の年齢も若いのです。ダメージジーンズに裾を出したシャツ、履き込んだスニーカーに室内でもキャップを脱がない、そんな父親までいたのには正直驚きました。学校への敬意や礼儀という概念は無いのでしょうね。

 もし学校説明会に集まった保護者の服装に違和感を感じたら、もしかしたらその学校はみなさんのご家庭には合わない学校かもしれません。今後6年間以上にわたって、そうした保護者の方とのお付き合いが続くことになるのですから。

 

(2)文化祭の場合

親が主役ではなく、子供に参加させるのが主目的のイベントがあります。ミニ理科実験授業であったり、オープンキャンパスであったり、あるいは文化祭といったイベントです。この場合はあくまでも子供が主役ですので、親はそこまで堅苦しい服装は不要です。狙うべきは、「楽な服装なのだがちゃんとしている」といったあたりでしょうか。これが一番難易度が高いのですが。

 

(3)入試本番の場合

①保護者面接あり

こちらは、きちんとした服装で臨みます。前述の学校説明会平日バージョンか、それよりも少しフォーマルに振ったいでたちが良いでしょう。ネットや受験ノウハウ本には、

「華美な服装やアクセサリーはNG」

「シックな装いで」

と必ず書いてありますね。そんな注意、されるまでもないだろう! と思うでしょうが、時折信じがたいような派手なスーツをお召しになっていたり、派手なネイルであったりというお母さまが見かけられるのも事実です。さすがにそれだけで不合格にされることは無いとは思いますが、学校の先生だって人間ですから、「こんな母親とは関わり合いたくないな」と思われることは有利な材料ではありませんので。

ところで、待合室や廊下は寒いのが相場です。暖房は無いことを前提とした防寒服は必須です。

②保護者面接無し

こちらは親の出番はありませんので、暖かさを優先した普通の服装でいいですね。ただし、学校や先生に対する礼儀を失しない範囲で。(別に物陰から親の服装がチェックされてはいません。私の考える常識の範囲はここなのです。)

 

2.子供の服装

 一部の公立小や私立小のように、制服があると楽ですよね。とりあえず制服は万能ですから。しかし、大半の小学校には制服はありません。そこでどのような服装をさせればよいでしょうか。

 

◆結婚式への列席やピアノの発表会に出るような衣装はやり過ぎ

 女子の場合は、慣れない革靴にタイツ、きれいめワンピースでしょうか。男子なら革靴・ジャケットですか。これは明らかにやり過ぎで、違和感しかありません。さすがにこうした子供はほぼ見かけません(ゼロではない)。

馬子にも衣裳とはいいますが、着飾ったところで内面は変わりません。あくまでも12歳の子供にふさわしい範囲の中で考えましょう。

 

◆清潔感が命

 当たり前すぎるアドバイスで恐縮ですが、これさえ守ればよいと思います。ここで言っているのは、「実際に清潔」であるということではありません。さすがに不潔な子供はいませんので、そうではなくて「清潔感」、つまり清潔な印象を与える服装、という意味です。たとえば、お母さま本人が私立中高で一緒だった同級生たちと久々に会う、そうした同窓会に子供を連れていくときの子供の服装といったかんじでしょうか。すいません、これもかえってわかりづらいですね。女子は案外簡単です。落ち着いた色合いのワンピースでも着せておけばOKでしょう。あるいはチェックのスカートに白ブラウス、そんな子が多いです。男子は難しいですね。きちんとしたチノパンに、胸にポロ競技のマークが入ったブランド物のシャツ、そんなかんじの子を見かけました。寒い時期ならそこにセーターやカーディガン、これで大丈夫です。

◆親子のギャップはNG

 親だけがドレスアップしているのに、子供がだらしない普段着、そうした親子がたまにいます。ちょっと信じられないですね。もしかして子供が着慣れない服を拒絶した、そんな理由なのかもしれませんが。コロナ以前の入試当日朝に私が見かけた親子は、子供は半袖短パン(2月1日ですよ!)で、お母さまが毛皮のロングコート(今時毛皮ですか・・・)という組み合わせでした。もう少し双方に歩み寄りがほしいですね。

 

◆靴はスニーカーでOKだが

 小学生ですから、靴はスニーカーでOKです。ただし、普段小学校に履いていっているものはNGです。履き古して汚くなっていますよね。きちんとして見えるのに履きやすい、そうしたスニーカーを持っていると万能ですので、1足用意したほうがいいですね。もちろん事前の足慣らしは必須です。また、上履きに履き替える学校もありますので、靴紐の扱いに慣れていることも大切です。


★入試本番の服装

①筆記試験のみの場合

これは体温調節がしやすいこと、腕が動かしやすいこと、トイレに行きやすいこと、この3点のみを考えましょう。試験会場の座る位置によっても室温は異なります。もちろん2月1日の早朝の外は極寒です。それなのに部屋の中は暖房が効き過ぎの場合もあります。セーターよりカーディガン、丸めて鞄にしまえるライトダウン、こうしたものを上手に利用して温度調節がしやすい服装を考えましょう。

②面接がある場合

面接試験がある学校では、筆記試験に続けて面接がある場合がほとんどです。着なれないブレザーなど着せられて筆記試験に臨むのは避けたいですね。学校側からは、普段着で構わない、と案内されるものです。もちろん、文字通りの普段着というわけにもいきませんが、清潔感のある服装なら何でもよいのです。もしどうしても周囲が気になるのなら、ニット素材のジャケットやきちんとしたカーディガンのようなものなら良いですね。肩が動かしやすいですから。

③体育実技がある場合

着替え無しの体育実技については、それほどハードな運動ではないので、上着を脱ぐ程度で対応できるような服装でよいですね。

 

※たまに見かけますが、「七五三」のような服装だけはやめましょう。

3.親の持ち物=鞄

 学校説明会では必ず資料が配られます。サイズはA4ですが、特製クリアファイルに入っていたりもしますので、A4より一回り大きな書類が楽に入る鞄が必要です。どうせ様々な学校説明会で大活躍しますので、1つ準備するとよいでしょう。また、上履きに履き替えて外靴を持ち歩く場合が多いので、そこまで入るサイズの鞄にしておくと便利です。

 ところで、上履きについては、女性用は便利そうなものがたくさん売られていますよね。スリッパ以上靴未満といったかんじのものが。しかし男性用はなかなか良いものが無いのはなぜでしょうか。普通のスリッパだと、歩くたびにペタペタ音が鳴るのが嫌なのです。あまり需要が無いのかもしれませんね。

 

面接試験については以下の記事に詳しく書きました。

peter-lws.hateblo.jp