中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【塾選び】転塾を考えたほうがいいかも? ダメな塾講師の見分け方

今回は、私にとっても過激なテーマです。

ダメな塾の講師について自戒をこめて考察したいと思います。

もちろん、あくまでも私個人の私見(偏見?)です。

以前に書いたことのある、この記事の逆ですね。

peter-lws.hateblo.jp

服装が個性的な講師

いきなり外見の話で恐縮です。

予備校の先生に昔多かった(今でもいる)タイプです。

派手な花柄のネクタイ・ジャケットにゴールドアクセサリーの講師とか、赤い浴衣で講義をする男性講師とか、アニメのルパン三世のコスプレのようなうな講師とか。

生徒の人気度が収入に直結するため、自分のアイコンとしての服装を演出していたのでしょう。

しかし、塾は違います。

生徒が自由に講師を選び、それが収入に反映するシステムではないのです。服装で自己アピールする必要性はないのですね。

生徒・保護者に不快感や違和感を与えない、清潔で動きやすいビジネススタイル、これでいいのです。

そこにあえて個性的な服装で自己主張しようとする講師。自分をタレントかなんかと勘違いしているとしか思えません。力を入れるべきポイントが明らかにずれていますね。そうした講師を私は信用していません。ビジネスの場とプライベートの場が分けられないのでしょう。

 

ボロボロのテキストを使っている講師

 授業をするためには予習は欠かせません。私の経験上、1コマ60分の授業をするためには、その5倍から10倍の予習時間がかかります。だから、塾講師の初年度は地獄です。夏期講習のように複数学年の授業が同時に走る時期には、おそらく寝る時間の確保もままならないはずです。(もちろん私はそうした働き方を推奨しているわけではありません。きちんと睡眠をとって万全の体調でする授業のほうがいいに決まっていますので。自分の過去の経験を語っているだけです。)

そうして予習して大量の書き込みをしたテキストは、教師にとって宝のような物ですね。2年目になると、少しだけ予習が楽になるかもしれません。昨年に予習したテキストがありますので。そして3年目、4年目ともなると、この手ズレのしたボロボロのテキストさえあれば、予習は一切しなくても済むのでしょう。

このようにして「ダメ講師」ができていくのです。

考えてもみてください。毎年担当する生徒は変わります。去年と今年の生徒は違うのです。予習というのは、現在教えている生徒の顔を思い浮かべながらするものです。また、入試問題は毎年変化します。最新の入試問題の情報を授業に反映するのも当然なのです。

「この単元は、彼らはあまり得意でないから、基本問題を多めに扱うか」

「この分野は、今年の入試で急に出題が増えたから、厚めに説明しよう。」

「この知識は、もう入試に出なくなったから思い切って割愛して、その代わりにこっちの知識を扱おう」

生徒の志望校や出来具合を考えながら、授業の組み立てを考えるのが予習です。

私もこの仕事をはじめて数年したあたりでこの事実に気が付きました。それ以来、毎回の授業で使ったテキストはゴミ箱行きとなりました。

毎回新たな気持ちで授業準備をする。

生徒に真剣に対峙する講師の当然の誠意だと思っています。

だから、ボロボロのテキストを愛用している講師を私は軽蔑しているのです。

 

社会性が無い(無さすぎる)講師

 これについては、私も偉そうに語る資格はありません。でも、こうした点は気をつけねば、と意識はするように努力しています。

 ある時、私立中学の「塾講師向け説明会」に参加したときの話です。私立中高の多くでは、塾の関係者向けの説明会を開催しています。一般保護者向きの説明会と比べて、特別な裏話が聞けるということはありませんが、中高の先生方の指導方針などを直接うかがうことのできるチャンスですので、なるべく足を運ぶようにしています。

 さて、その中学に行くために電車に乗っていたのですが、昼間の中途半端な時間帯で空いているその車両に、塾講師としか思えない雰囲気の人が何人も乗っているのです。服装や雰囲気が、一般企業の人とは明らかに異質なのですね。中学校がある駅についたら、それらの人たちが一斉に席を立ったのには思わず笑ってしまいました。もちろん私もその駅で降りた一人です。

 よく学校の先生の非常識が話題になりますが、塾の講師も同じです。

一般企業で働いた経験が無い人がほとんどです。あるいは、一般企業を辞めて講師となった場合もありますが、多くはないですね。

新卒で塾講師を目指す場合は、学生時代から塾で講師のアルバイトをしていてそのまま就職するケースが多いものです。また、学校教師を目指していたが採用されずに流れてきた場合もあります。あとは、最初から教育産業にターゲットをしぼっていた人もいますね。

中途採用で入ってくる方のほとんどが、学校の先生を辞めてくる場合と、同業他社からの転職です。

 いずれの場合も、塾での仕事は、接する人間関係が非常に限られているという特徴があります。

 お客様として接するのは生徒と保護者だけです。生徒も保護者も、塾講師を「先生」と呼んで接してくれます。ここで勘違いが増大するのです。

 いつのまにか、敬語もあやしい、名刺の出し方もしらない、服装もだらしない、ビジネスマナーも知らない、そういう社会性の無い講師が誕生していきます。

「授業さえできれば文句はないだろう」

「俺の指導で何人も合格させてきた」

そうした思いが、さらに勘違いを増大させます。

真冬でも半袖ワイシャツを愛用している講師や、保護者との面談にスーツにクロックスで登場する講師など見かけましたね。

一流企業のエリートビジネスマン並みとはいいませんが、最低限の「常識」は重要だと思います。

 

過去問を解いていない講師

 塾の講師の仕事の目標は、「生徒を合格に導く」ことにつきます。この目標の達成のためには、受験校の入試問題の研究が欠かせません。経験上、毎年100校分くらいの入試問題は解く必要があります。担当している生徒たちの志望校の数×入試回数分ですね。それだけでもすぐに100校分くらいにはなってしまいます。

しかし、多くの塾の講師はこの過去問研究を怠っています。

以前、中途採用を担当していたとき、他塾の経験豊富(自称)な講師の面接でいつもする質問がありました。

「今年の入試問題ではどの学校のどの問題に注目しましたか?」

即答できた人はいません。

解いていないのです。

「今年の入試問題はどれくらい解きましたか?」

この質問にも黙ってしまいます。

解いていないのです。

「〇〇中学の今年の出題はどう思いましたか?」

やはり答えられません。

解いていないのです。

ダメな講師を見分ける簡単な方法ですね。

 

忘れる講師

過去問の添削を依頼しました。2週間たっても返却されません。

宿題ノートを提出しました。一か月たっても返却されません。

そんな講師、実はたくさん見かけます。

これは仕事が遅いことに加えて、完全に忘れているのです。

そうした講師の職場のデスクを見るとわかります。プリントやノート類が崩れそうなくらい山積みになっています。その山のどこかに、みなさんが提出したノートや過去問が埋もれているのでしょう。

結局その塾を卒業しても返却されないままだった、そんな話も珍しくはありません。

学習相談の依頼で折り返しの電話を依頼しても、そのまま忘れられてしまう。

一般企業では考えられない仕事ぶりですね。

そんな講師、今後も信頼して指導をお願いできますか?

 

生徒の顔と名前を覚えられない講師

実は私も苦手です。

とくにマスク姿が増えたため、顔の認識に必要な情報が不足しています。

それでも、必死で覚える努力はします。

授業がはじまって半年以上過ぎても、生徒を名前で呼ぶことができない、そんな講師は信頼できませんね。学習相談の面談をしても意味はないですし。

 

煙草臭い講師

子どもたちは匂いに敏感です。

教室は狭くて空調も悪いですし、まして個別指導なら間近に接します。

そういう仕事環境なのに、煙草臭いということは、生徒への気遣いができず、プロ意識が低いということに他なりません。

喫煙後45分間はエレベーター禁止、そんなルールを設けている企業・役所もあるくらいです。この45分間というのは呼気に含まれる有害物質を測定した結果だそうです。

しかし、匂いは45分では消えません。

実際のところ、喫煙者は服も呼気も1日中臭いです。

生徒に接するこの仕事を選んだ以上、煙草は止めるべきだと私は考えています。生徒に対して「あれをしろ」「これをするな」と指示する立場でありながら、自分自身のコントロールができないのは情けないですね。

 

乱暴な講師

さすがに暴力をふるう講師はいません。もしいたら逮捕案件です。

そうではなくて、言動が必要以上に乱暴な講師についての話です。

「いいか! お前ら、こんな問題も解けなきゃどこも受かんねえぞ!」などと大声で生徒を威嚇する講師。いかにもいそうですね。

弱い犬ほどよく吠える、ではないですが、授業内容に自信が無い講師に限って、生徒に接する態度が威圧的なものです。雰囲気で先生らしさを演出してでもいるつもりなのでしょうかね。

そもそも生徒を「お前ら」呼ばわりしている段階で軽蔑します。

生徒も一個の人格であると認めるところから信頼関係が始まるのですから。

 

授業延長する講師

一般に熱意の表れであると勘違いされがちですが、違います。

授業延長するということは、授業計画が立てられず、時間通りに教えることのできない無能の証明に他なりません。

入試は教科のバランスが大事です。中学受験なら4科目、高校受験なら5科目をバランスよく学習していかなくてはならないのです。もし1科目の教師が延長をすれば、その分だけ他教科の指導に支障がでます。もし全ての教科の教師が延長すれば生徒の生活時間が乱れます。

授業延長は百害あって一利なしだと思います。

 

オリジナルプリントを多用する講師

じつはこれについては意見は分かれます。

オリジナルプリントを作成するのには相当な力量が必要なのです。その高い教科力を持つ講師が、きちんと時間をかけて作成した教材なら信頼に値します。

しかし、その能力が無い講師が作成した教材は最悪です。

担当講師がどちらのタイプなのか、そこが重要です。

 

宿題が多い講師

これも意見が分かれるところです。

生徒の家庭学習時間をきちんと把握したうえで、科目間の調整をとりながらの宿題なら大歓迎です。もちろん提出された宿題を丁寧にチェックしてそれを指導の活かすことが前提です。

しかし、多くの場合、そこまできちんと計算した宿題ではないのです。

とにかく大量の宿題を出し、提出を義務付け、やってこない生徒を叱責する。しかも宿題チェックはせずに「よくできました」ハンコを押すだけ。そんな授業、ほんとうに成績はあがりますか?

もし宿題をたくさん出す講師がいたら、他教科の宿題量を把握しているのか、そして提出された宿題をきちんと見ているのか、その2点の確認が必要だと思います。

 

金儲けの匂いのする講師

これは講師の責任というより、その塾の体質ですね。

やたらにオプション講座を勧めてきたり、併設の個別指導の受講を勧めてきたり。あるいはその塾で出版している問題集をたくさん買わせることに熱心だったり。

講師も使用人ですから、会社の方針には逆らえません。しかし、良識ある講師なら、会社の方針をうまくかわしつつ生徒のことを考えて調整してくれるのですが、上意下達しかできないのなら、やはり講師としては問題があるというしかないでしょう。

※一部の塾では、こうした営業成績(講座取得率・売上・生徒増等)を給与に反映する仕組みをとっているところがあります。このような塾で働いている講師なら仕方がないのでしょうね。

 

中学校(高校)を貶す講師

どんな学校にも、その学校に憧れて努力した結果進学し、満足して通っている生徒がいます。そのことを考えれば、どの学校も貶すことはできないはずです。

「〇〇中は進学する価値はないですよ」

「〇〇中に行くくらいなら公立中のほうがましですね」

このような言い方をする講師は絶対に信頼できません。

 

特定の学校をやたらに薦めてくる講師

この仕事を長く続けていると、いろんな学校について詳しくなってきます。学校訪問や授業見学、そして進学した教え子からの情報。そうした情報により、安心してお薦めしたい学校というものがいくつか出てくるのも事実です。

しかし、万人に薦められる学校などありません。

その生徒の性格や学力、家庭方針等によって状況は異なるのは当たり前です。

そうした状況を無視して、特定の学校を強力に薦めてくる講師は信頼できません。

さすがに学校と癒着しているとは思いません。学校からすれば、特定の塾の特定の講師と癒着することに何のメリットもありませんので。

おそらくは、そうした講師はそんなに多くの学校をご存じないのでしょう。

だから、限られた一部の学校を薦めてくる、そんなことなのだと思います。

 

授業が理解できないのを生徒のせいにする講師

生徒に理解させるのが講師の仕事です。

それができていないのですね。

集団指導の場合は、どうしても教科力・理解力に差が生じます。しかしそれでもなお全員に理解させるのがプロとしての仕事でしょう。