中学受験を考えたとき、まっさきに浮かぶのは「どの塾に行かせる?」という疑問でしょう。
おそらくは、集団指導塾か個別指導塾かでも迷われることと思います。
今回は、「集団指導塾を選ぶべき理由」について書いていきたいと思います。
※どの塾も持ち上げる意図も貶める意図もありません。あくまでも私個人の主観にもとづく感想レベルの話ですのでご容赦ください。
- 集団指導塾を選ぶべき理由その1 費用
- 集団指導塾を選ぶべき理由その2 情報
- 集団指導塾を選ぶべき理由その3 ライバル(戦友)の存在
- 集団指導塾を選ぶべき理由その4 無難
- それでも集団指導塾を選ばない理由
集団指導塾を選ぶべき理由その1 費用
いきなりリアルな話で恐縮です。
でもとても重要な話です。
誰しもが、無尽蔵にお金の湧き出る「打ち出の小づち」を持っているわけではありません。
教育を「コスパ」で語るのは好きではないのですが、「適正な価格」というものがあると思っています。
御家庭によって、「受験塾に支払う適切な価格」は異なるとは思いますが、それでも「適正と感じる」価格はあるはずです。
ざっと計算してみると、受験学年の6年生では年額が120万円~150万円といったあたりが集団指導塾の相場のようですね。
通常、月謝としては5万円~7万円ほどのようです。
ただし、季節講習や特訓授業のようなものは別途徴収する塾がほとんどです。
さらに教材費やテスト、設備費等が上乗せされる場合もあります。
塾間では激しい競争がありますので、費用にそんなに差はないと考えてよいと思います。
月謝が安い塾はその他の費用が高額であり、月謝が高い塾はその他の費用が無い、そんなカラクリになっているのです。
※お得な塾には要注意
さすがに「月謝の安さ」を売り物にしている塾はほとんどありません。
小学校の補習塾、中学校の補習塾のような塾に見られる程度で、中学受験塾にはないと思います。(少なくとも私は知らない)
ここで「お得」を売り物にしている塾というのは、「無料テスト」「無料講座」「無料体験授業」「特待生制度」などを売り物にしている塾と言う意味です。
こうしたものについ惹かれてしまいがちですが、止めたほうが無難です。
「適切なサービス」には「適切な対価」がともなうのが資本主義の原則です。
「無料」なのには理由があるのです。
※高額な塾には要注意
世の中には、「設備の充実ぶり」を売りものにしている「高価な」塾というものが存在します。
・明るい自習室
・座り心地の良い椅子が置かれた教室
・WIFI・無料ドリンク付きの待合室
・図書室完備
だいたいの塾が、効率優先の狭い教室に生徒を詰め込み、もちろん保護者の待合室などないのが普通です。
設備が整った塾が目立つ所以です。思わず惹かれる気持ちもわかります。
しかし、その分、当然授業料は高額となります。
どうしてもそうした「設備」を重視されるのなら良いのかもしれません。
しかし、「価格」と「指導内容」には相関関係はありません。
高額だからよい授業が受けられる保証はどこにもないのです。
※本の貸し出しサービスについて
塾によっては、参考書・問題集・英語の書籍等を生徒に貸し出すサービスを売り物にしているところがあります。
しかし、「著作権法に抵触するのでは?」と前から疑問に思っています。
著作権法には以下のように規定されています。
(貸与権)
第二十六条の三 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。(営利を目的としない上演等)
第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
また、図書館法にはこうあります。
図書館法第17条
「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない。」
私は著作権の専門家ではありませんので確証はないのですが、このように理解しています。
◆営利を目的としない公共図書館のみが貸し出しサービスが可能
◆営利を目的としている組織は本の貸し出しサービスはできない
おおむね間違っていないと思います。
塾は営利団体です。
そこが生徒に書籍を貸し出すことは、たとえ無償といえども違法です。
結局のところ、「営利目的」ですので。
ただし、著作権者全員から許諾をとり対価を支払う契約を交わしているか、あるいは著作権管理団体を通して全著作権者の許諾が得られている場合は別です。
きっと、図書貸し出しサービスを売り物にしている塾は、著作権をクリアするためにそれだけの手間・費用をかけているのでしょう。凄いですね。
集団指導塾を選ぶべき理由その2 情報
受験に関する情報にはこのようなものがあります。
◆生徒の成績情報
◆合格可能性の判定
◆受験にまつわる情報
◆学校情報
情報は、量と蓄積が命です。
多くの生徒がいる集団指導塾であれば、自分と同じような成績で同じような志望校の生徒が多数いますし、過去にも多数います。
「これくらいできれば合格する」
「ここが弱いと合格できない」
といった情報が蓄積しているのです。
また、中学校の学校情報も豊富ですし、場合によっては、学校の先生方を招いての説明会を開催している塾もありますね。
志望校の選び方や出願の注意点、さらに面接の内容等の情報も期待できます。
集団指導塾を選ぶべき理由その3 ライバル(戦友)の存在
中学受験は過酷な試練です。
中学生が挑む高校入試と同等かそれ以上の難易度の問題にぶつかることになるからです。
そんなときに、同じ教室に通うライバルの存在は励みになります。時にはライバル、ときには戦友のような存在です。
「みんなに会えるのが楽しみ」で塾に通う生徒は大勢います。
「もうみんなに会えなくなるのか」と受験が終わるころ寂しそうな顔をしている生徒もいます。
こればかりは、「集団指導」ならではのメリットです。
集団指導塾を選ぶべき理由その4 無難
これは「大手」集団指導塾に限ったメリットです。
結局のところ、「無難」な選択なのです。
テスト・カリキュラム・費用・指導内容等の全てが「無難」にまとまっています。
とりあえず大手の集団指導塾に通わせれば、そんなに「大外れ」しなくてすむと思います。
個性的な個人塾、個別指導塾も魅力的ではありますが、適切な指導者を探すのは困難です。
それでも集団指導塾を選ばない理由
◆自宅近くに集団指導塾が無い
これは物理的な理由ですから仕方がありません。
ただ、中学受験で通学が可能なエリアに住んでいると、ちょっと考えにくい理由ではあります。
おそらくは、地方から中学生になるタイミングで都心に引っ越す予定であるか、あるいは海外在住といったケースでしょう。
◆とにかく集団指導に向かない子
これも仕方がない理由です。
◆スケジュールを合わせられない場合
習い事等で、集団指導塾の設定した曜日・時間帯に通塾することが出来ない場合です。これも物理的に無理なので仕方がないですね。
◆特殊な試験の学校を受験する
英語面接だけ、プレゼンだけ、自己アピールの作文だけ、こうした特殊な試験を課す学校というのもありますね。
その場合は、4科目の集団指導塾を選ぶ必要はないでしょう。
※ただし、4科目の学習は、中学進学後に重要となる学習です。
◆自宅近くに優秀な教師が指導する個別指導塾を知っている
たとえば上のお子さんがお世話になったといったケースでしょうか。
経験値・指導力等に秀でた教師が個別指導塾を開いているのなら、そしてそれを知っているのなら、あえて集団指導塾に通う必要もないかもしれません。
◆集団指導に魅力を感じない
集団指導には2つのデメリットがあります。
× 生徒一人一人を見ることが難しい
× 無駄な時間が生じる
もうこれは仕方がないですね。集団指導ですから。
それがどうしても受け入れられないのなら、個別指導・家庭教師を検討すべきだと思います。
個別指導塾の費用に関しては以下の記事でも詳しく書きました。
またこの記事もぜひお読みください。