中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

中学受験塾で得られた友達、「塾友」について考えたこと

「塾友」という言葉があります。

もちろん、塾で知り合った友達です。

中学生でも高校生でもある話ですが、今回は「中学受験塾」で出会った「塾友」について書いてみたいと思います。

今回はそんなに「重い」話ではありません。気軽にお読みください。

 

30年以上続く交友

A子さんには、塾友が2人います。

B美さんとC奈さんです。

3人で、自宅近くの中学受験塾に通っていました。性格も成績も異なる3人でしたが、なぜか仲が良かったそうです。

3人はそれぞれ別の言立中学に進学しました。進学校・伝統校・大学付属校とそれぞれバラバラの学校です。

その後も、お互いの学校の学園祭に行き合ったり、ランチをしたり、遊びに行ったり。3人の交友は、つかず離れずといったペースで続きます。

親同士も仲が良くなり、3人の親だけで海外旅行に行くこともあったそうです。その間置いていかれた子どもたちは、子どもたち同士で楽しく過ごすのです。

そんな3人には、すでに子どもがいます。それぞれ結婚時期は別々でした。もちろんお互いの結婚式には参列してます。子どもができた時期も子どもの人数も異なるため、小学生から高校生までの子どもたちがいます。

別に選んだわけではないのですが、3人の夫はみな中学受験経験者です。そして自分たちの子に受験をさせることも既定路線でした。

今後も末永い付き合いとなりそうですね。

その理由については、A子さん曰く、「価値観が似ている」ことがあげられるそうです。育った家庭環境も似ています。同じような地域に住んで、同じ塾に通わせて中学受験をさせた家庭です。しかも、3人の兄弟もそれぞれ私立中学に進学しています。それは環境もそんなに違いはないでしょう。

だから、「地雷を踏む」ことを警戒せずに何でも話せるし相談できる、さらに相手のアドバイスも素直に受けとめられるのだと言っていました。

 

小学校から仲良しの4人組

全員が同じ小学校で、4人とも私の生徒でした。

男子2名、女子2名の仲良しです。

4人は進学した中高は別々でしたが、大学は同じ大学になります。

駒場のキャンパスで出会って、私に会いにきた(食事をご馳走になりにきた)ときに、いろいろ話を聞きました。

その時思ったのですが、この4人からは、男女の「緊張感」といったものが全く感じられないのです。

4人とも別学に進学しています。周囲には同性しかいない環境で6年間を過ごしているのです。そうした場合、「異性」への接し方を学べない、そんなことが一般に言われていますね。

しかし、この4人にはそれはありません。どうやら、中高生のときから、男女分け隔てなく「塾友」どうしの交流が続いていたようなのです。「塾友」とよべるような大げさなものというよりは、SNSで緩くつながっていて、たまに遊ぶこともある、そんな関係です。私と食事しながらも、「あっ、〇〇から連絡があった。先生、呼び出してみようか?」といった調子です。

今度は大学の「同窓生」としての関係が、さらに社会人になっても関係が続くのでしょう。

 

結婚した二人

町でばったり出会った女性は、私の教え子でした。娘は小学生だそうです。そして聞いて驚いたのが、夫も私の教え子だったことです。

二人は、それぞれ別の中学校に進学します。いったいいつ頃から付き合い始めたのかは聞きそびれましたが、どうやら大学生くらいから仲良くなったと思われます。そしてもう小学生の子どもがいるのですね。

歳はとりたくないものです。

話好きの女性に1時間近くも立ち話につかまりました。

そこで、懐かしい名前がたくさん出てくるのですね。今でも夫婦ともにその当時の仲間たちとは交流が続いているそうでした。

 

SNSがつなぐ縁

 

もともと、塾友というのは「戦友」のようなものです。

一緒に机を並べ、一緒に頑張った仲間なのです。しかも家庭環境も似ています。繋がりやすい要素というのはあったのです。こういっては何ですが、小学校よりも仲間をつくりやすい環境であったといえるでしょう。

 

最近感じるのは、「塾友」のつながりと広がりの変化です。

従来の「塾友」は、とくに仲が良かった数名が、その後も交流し続けるというスタイルでした。受験が終わるときに、お互いの「住所・電話番号」をすでに知っているくらいの間柄でないと、それっきりになってしまうからですね。

これを、「初期型塾友」と名付けましょう。(なんだそれ?)

 

 

ところが、2004年にmixiが登場します。

同時期にアメリカではFacebookがスタートしていますが、日本ではmixiのほうが流行った印象です。招待制という閉鎖環境が日本人には居心地が良かったのでしょうね。

たちまちmixi上に、「〇〇年△△塾卒業生の部屋」といったものが乱立します。いったん離れて連絡がつかなかった塾友と再びつながることができたのですね。もちろん塾友だけでなく、小中高の卒業生が集う場としても機能しますが。

こうして再び交流するようになった塾友をmixi型塾友」と名付けましょう。

やがて、ご存じ「LINE」が2011年にサービスを開始します。

SNSのハードルを下げたLINEのおかげで、小学生同士から中高生まで、学校の枠を簡単に飛び越えた「サークル的つながり」が簡単に構築できるようになりました。

こうしてできた塾友を「LINE型塾友」と名付けます。

 

この「LINE型塾友」は、「初期型塾友」ともmixi型塾友」とも異なります。

繋がり方が、「薄く」「広い」のです。

 

男子校(女子校)にするか、共学にするかで迷う方もいるかもしれません。

しかし、今や小学生の同級生から塾友までが、ゆるくつながっている時代です。彼らの交友関係は学校の枠におさまっていません。

もう共学か別学かを問う時代ではなくなりつつあるのかもしれません。