中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

入試本番まで残り1週間で6点UPさせる学習法

いよいよ入試本番まで1週間となりました。

もうここまできたら、なるようになれ! と俎板の鯉状態の方も多いでしょう。

でも、ちょっと待ってください。まだできることはあります。

今回は、4教科それぞれの1週間の学習法をアドバイスします。算国2点ずつ、理社1点ずつ、計6点UPを目標とします。

 

1.1点の大切さを意識させる

 信じられないかもしれませんが、入試まで1週間となっても、まだ自分が本当に受験することを理解していない子どもが大勢います。

 もちろん頭ではわかっています。受験スケジュールも知っています。それなのに、まだ自分が受験生だという自覚、あと1週間で勝負が決着する、そのことを理解できていないのです。

お子さんの行動を見てください。朝、起こされずに自分から起きていますか? 着替えを手早くすませ、勉強を始めていますか? 食事時間はコンパクトになっていますか? すべての無駄な時間をそぎ落として勉強に取り組んでいますか?

 もしそうでないなら、まだ本人が自覚できていないということなのです。

もうカウントダウンはとっくに始まっています。無駄にできる時間など、1分1秒たりともないはずなのです。それがわかっていない=受験するという自覚がない、と考えていいですね。

 では、どうしたらよいのか?

 私が生徒たちにする話を紹介します。とある中学の補欠合格にまつわる話です。(実話です)

 A男とB太は、同じC中学校を志望していました。首都圏有数の人気男子校で、難易度も首都圏有数です。同じクラスの2人は、切磋琢磨しながらC中学をめざし、受験しました。

この当時、このC中学校では補欠合格者を出していました。正規合格者の発表以外にも、補欠番号が掲示されていたのです。受験が終わってから数日後、不合格者のもとへ電話が入ります。繰り上げ合格の通知ですね。この電話が、補欠番号の1番の生徒から順にかかってきます。何人繰り上がるかは決まっていませんが、例年10名前後が繰り上がり合格となりました。7名のときもあれば、14名のときもある、だいたい10名前後の繰り上がりです。

その年の入試では、A男とB太、2人とも補欠となりました。補欠番号は、A男が12番でB太が8番です。実に微妙なところです。二人とも繰り上がってもおかしくはないし、二人とも繰り上がらなくても不思議でない。

数日後、B太のところには電話がかかってきました。合格です。しかし、A男のところにはついに電話はかかってきませんでした。お母さまの話を今でも覚えています。

「うちのA男は、自分のところには絶対に電話がかかってくる、そういって電話機の前から動かないんです。」

それを聞いて思わず私も泣きそうになりました。

補欠番号の8番と12番、その間にいったい何点の差があったのでしょうか。おそらくは1点か2点。それで運命が変わってしまうのです。私にももう少し何かできたのではないだろうか。あと1点、点数を上乗せさせてあげることは本当に不可能だったのだろうか。

A男は、休み時間に机の上に乗って人気美少女系アニメの真似をするような、陽気なキャラの子でした。C中学校はそんな彼にまさにぴったりの中学校だったのです。しかし、わずか1点で、進学はかないませんでした。その後のA男は公立中学へ進学して高校入試を目指すというところまでしか私もしりません。

こうしたことがあるからこそ、1点の大切さを理解していない生徒が許せないのです。安易に1点を落とす生徒が情けないのです。

もしお子さんがまだ受験生としての自覚がなければ、ぜひこの話をしてあげてください。1点を落とさない=1点をもぎとっていく、そうした気持ちで過ごす1週間は大きいと思うのです。

 

2.朝型に切り替える

 夜型の勉強スタイルが身に沁みついてしまっていませんか? すでに朝方に切り替えは完了していますか? もし、まだなら、すぐにでも切り替えに着手してください。

朝方と夜型による得点力の差は、意外と大きいものです。例えるなら、時差ボケのようなものでしょうか。

例えば夜8時成田発の便で行くとホノルルには朝の8時につきます。所要時間は7時間程度です。しかし実際には時差はー19時間ですから、体内時計は朝(夜中)の3時です。実に眠いです。そのまま空港からレンタカーでワイケレのアウトレットに昔はよく行ったものですが、危険です。意識が飛びそうになるくらい眠いですので。そうした時差ぼけ状態で入試問題に向かうことを想像してみてください。

 1週間あれば切り替えはなんとか間に合います。最適な状態で試験に臨みましょう。

 

3.特別な勉強はしない

 今から、新しい参考書や問題集に手をつける人はいないと思いますが、それだけは止めてください。今までやってきた教材を、あと1週間淡々と進めるだけです。

 

4.過去問演習を中心に

 受験予定校の最新の過去問(実物問題)は手つかずでとってありますか?(私は生徒にはいつもそう指示します) いよいよ解くときがきました。時間をはかり、科目の順も本番と同じにして、親の監視のもとで解かせてください。

 ここでやる意味は、2つです。

 (1)ミスをつぶす

  知識の漏れや解き方の勘違いなど、まだまだ課題は山積しています。それを一つでもつぶすのが過去問演習の目的です。その目的だけならどの学校のものをやっても同じなのですが、受験校の過去問のほうがテンションがあがりますよね。

 (2)受験校の出題形式や解答用紙に慣れる

  問題の量、難易度、それに対応したペース配分、解答用紙の形式、こうした細かいことの最終確認です。

 

5.教科ごとのポイント

 (1)算数のポイント

 よく、自信をつけさせる目的で入試直前には易しめの問題をやらせる、という教師もいますが、意味はありません。ここでは、2点だけアドバイスします。

 〇途中式を確認する

 学校によっては途中式も書かせて評価の対象とするところもあります。また、答のみを書かせる場合でも、見直しのためには途中式は必要です。これができていない生徒がたくさん(というよりほとんどといっていい)います。答さえ合っていればそれでいい、という短絡思考が身に染みついているのですね。焦らずに手を抜かずに途中式も書いていく、それだけでどれだけのケアレスミスが減るかわかりません。

 〇数字を丁寧に書く練習

 これで減点されている生徒が多数います。お子さんの書いた答案・計算式を綿密にチェックして、もしまぎらわしい数字を書く癖があれば、即座に矯正指導してください。

 〇時間感覚を身に着ける

 自分はどれくらいの時間でどれくらいの量を処理できるのか、それがわかっていれば無駄に焦らずに問題に取り組めます。時計やストップウォッチを活用して、問題ごとにどれくらいの時間が必要だったのか、チェックしていくことは有効です。

 

 (2)国語のポイント

 国語は、やってもやらなくても即座に得点力に反映しづらい教科です。だから、残り1週間ともなると、何となく後回しにしたくなる(つまりやらない)教科ですね。でも、やらなければ1週間で確実に得点力は落ちます。だから、過去問をしっかりと解き続けてください。そして、以下の3ポイントの学習を強化しましょう。

 〇漢字・熟語

 漢字の出題のない学校はありません。そしてここは唯一確実な得点が見込める部分です。お手持ちの漢字ドリル等を使って、間違えやすそうな漢字を重点的に鍛えてください。

 また、熟語の成り立ちもよく出題されますので要注意です。

 〇ことわざ・慣用表現

 受験校に必ず出題されていませんか? これも漢字同様、手持ちのドリルのようなものを使って、覚えなおしましょう。

 例えば、体の1部を使った表現など、入試頻出ですね。

 〇文法

 文法用語はめったに出題されませんが、「次の中から傍線部と異なる使い方をされているものはどれか?」といった出題は普通に見られます。助詞の見分け方など一度整理しておくとよいでしょう。

 

 (3)理科のポイント

 理科資料集を見てください。とくに実験とそのデータ関連は大事です。隅から隅まで、読んでいきます。映像記憶になるくらい、何度も繰り返すとよいでしょう。

 それ以外は、他教科同様過去問演習が中心です。

 

 (4)社会のポイント

 〇歴史資料集

 最近の入試では、資料問題が実に多く出されます。理由は、印刷技術の進歩です。きれいなカラーで出題が可能になったからでしょう。毎日読むだけで効果があがります。

 〇地図帳

 基本的な地名を今一度確認しておきましょう。あまりに昔にやったものなので、けっこう忘れていたりしますので。

 〇歴史年代の暗記

 基本的な歴史年代はどれくらい覚えていますか? 最低でも100個は丸暗記が必要です。この知識があるだけで歴史の並べ替え問題(頻出)が楽勝です。

 〇憲法9条と25条は丸暗記、前文は声を出して何度も読んでおく。

 入試頻出です。絶対やっておくべきでしょう。

そのほか、過去問演習は基本です。

 

まだまだ書き足りないですが、これくらいを意識して学習に取り組むことで、各教科1~2点くらいのUPは十分可能だと思います。