中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

書き方教えます!中学受験、高校受験で必須の記述力向上法 論理記述入門01

中学受験、高校受験で必須となる記述力の高め方

1.記述力とは?

 今まで生徒の書く文章を多く見てきましたが、何だ、文にもなってないぞ!と思うことばかりで、何て素晴らしい文章なんだ!と思ったことは皆無です。

今思い返してみても、20年以上前に一人いただけでした。

 生徒に書かせた文章をその場で読み上げて採点するというスタイルですすめることが多いのですが、0点をつけないためには理性の総動員が必要です。

「もしかして、この生徒はこういうことを言いたいのではなかろうか、たぶんだけれど。」

「いや、それでも文字を書いてくれたのだから、評価してあげよう。象形文字みたいだが。」

 これは、生徒本人の責任というより、きちんとした文章の書き方を指導してこなかった大人たちの責任だと思っています。

 

習ったのは作文用紙の使い方だけ。

文章構成の組み立て方は教えてもらえずに、個性や感性を要求されるばかり。

 

これではまともな文章1つ書けるようになるはずがありません。

文章を書く際には、いくつか気をつけねばならない重要なポイントがあるのですが、残念ながら、学校教育では、そのポイントの指導がほとんど行われていません。

これから何回かに分けて、そのポイントについて書いていきたいと思います。

 

2.形式を整えるだけではダメ

 

「私は〇〇だと思います。なぜならば・・・だからです。」

 

これは、定型の表現形式です。

しかし、使用するには注意が必要な形式だと私は思います。

なぜならば、日本語のスタイルというより英語のスタイルに近いこと、そしてあまりに定型すぎて読んでいる教師がうんざりしてくるからです。

 

→定型の表現形式だが、日本語のスタイルというより英語のスタイルに近く、またあまりに定型すぎて読んでいる教師がうんざりしてくるため、使用するには注意が必要な形式だと私は思います。

 

さて、上の二つの文章はどちらも同じことを述べていますが、どちらの方が日本語としてしっくりくるでしょうか。

英検のライティングの対策を学んだ方ならおわかりいただけると思います。こんな対策をトレーニングしませんでしたか?

1:与えられたTOPICに対して自分の意見を述べる。

2:自分の意見を支える理由を2つ述べる。

英検2級の問題を例とします。

TOPIC:Today, some customers ask delivery companies to put packages by their doors instead of receiving them directly.  Do you think this kind of service will become more dommon in the future?

I think this kind of serbice will become more common in the future.  First, customers can receive packages without being restricted by time and lacation.  Thew do not have to be at home or worry about what tine their packages arrive.  Second, this kind of service can reduce the amount of delivery companies'work.  Drivers do not need to vixit customers again if they are not at home at the time of delivery.  Therefore, I think delivery services that do not require customers and drivers to meet will become more common in the future.

 

さて、このまま日本語に直訳するとこんなかんじでしょうか。

現在、宅配業者に荷物を直接受け取らず、玄関に置いてもらう顧客もいる。 このようなサービスは今後もっと一般的になると思いますか?

私はこのようなサービスは今後一般的になっていくと思います。 まず、時間や場所に縛られずに荷物を受け取ることができます。 自宅にいる必要もないし、荷物が何時に届くかを気にする必要もない。 第二に、このようなサービスは配送業者の仕事量を減らすことができる。 ドライバーは、配達時に顧客が不在の場合、再度訪問する必要がない。 したがって、顧客とドライバーが顔を合わせる必要のない宅配サービスは、今後もっと一般的になると思う。

 

ご存じのように、英語という言語は、最初に重要なことから並べていくスタイルの言語です。しかし、そのスタイルをそのまま日本語に流用すると、いささか気持ち悪い文章になってしまいます。

 

 或る時、同じ学校に通う生徒たちが、次々とこのスタイルで記述をしてきたことがありました。

おそらく指導している国語の先生に叩き込まれたのでしょう。こうした定型をきちんと指導してくださる素晴らしい先生です。

しかし、残念なことに生徒たちは理解して習熟することはできておらず、とりあえず形式をなぞらえることしかできなかったようですね。そのために、何とも読みづらい文章ばかりとなってしまいました。

 

記述の形式というと、生徒のほとんどが指導されるのが、

「・・・から。」「・・・ため。」

という、理由説明の文末の形式です。

たしかに入試の記述問題では「〇〇の原因について説明せよ。」「なぜ〇〇だったのか、理由を説明せよ。」といった原因・理由についての出題が社会科を中心にとても多いのは事実です。

社会科という教科の目的は「世の中(社会)を理解する」ことにありますので、さまざまな事象の原因を考える姿勢はとても重要です。教師としても、そうした出題をしたくなりますよね。

 しかし、「文末はそう書かないと減点だ!」という指導を受け続けた結果、原因・理由を聞かれているのではない問題に対しても、条件反射的に「・・・から」「・・・ため」と書く生徒がとても多いのです。もちろん大きく減点されます。

私が採点する場合は、部分点もつけずに×としますね。

こうした文章の定型については、ただ覚えさせ繰り返すような指導は逆効果になってしまうのです。

 

2.句読点は大切だ

 

上の項で、文の定型を覚えるだけではダメだと書きました。

しかし、それ以前に、守らねばならない最低限のルールというものはあります。

その一つが句読点です。

小学生、まれに中学生の書く文章って、どうして句読点が無いんでしょう? 

おそらくは書くことに夢中になって、読みやすくすることに思いが至らないんですね。

 

でも考えてみてほしい100字以上にもわたって句読点が一切打たれていない文章を読まされるこちらの立場をもう何が書いてあるのかわかりづら過ぎて何て頭の悪そうな文章を書く生徒なんだきっとこれは頭が悪いからだななどと考えはじめてしまい丁寧に最後まで読んであげる気力など薄れ頭がぐるぐるとしてきて思わず最後まで読まずに大きく×印をつけたくなってしまうのもしかたがない(178文字)

 

論理記述の最重要ポイントは読みやすい文章を書くことにあります。句読点を適切に打てるようにしたいですね。

 ◆句点について

 これは簡単です。文の最後に「。」を打つだけ。厳密にいえば「 」や( )を使った場合にはルールもあるのだけれど、論理記述において引用以外で「 」も( )も使わないのが普通なので、あまり気にしなくてもよいでしょう。

 ◆読点について

 これは案外やっかいです。

並列関係の語句の後、誤読を防ぐために打つ、主語の後に打つ、接続後の後に打つ、感動詞の後に打つ、などルールは存在します。

 

こういう細かいルールが大好物の方は、文化庁のHPから、「くぎり符号の使ひ方」という項目をご覧ください。そこには、文部省が1946年(!)に定めたルールが書かれています。

実に面倒くさいです。

文化庁 | 国語施策・日本語教育 | 国語施策情報 | 参考資料

ただし、この文書には良いことも書かれています。

 

「くぎり符号の適用は、・・・・文の論理的なすぢみちを乱さない範囲内で自由に加減し・・・・読者の年齢や知識の程度の応じて、その適用について手心を加へるべきである。」

 

読みやすければそれでOK

 

これが結論です。

 

記述の力をつけるというのは、形式を学ぶことではありません。

 

それでは順番が逆になってしまいます。

 

読みやすい文章を書くために、さまざまなルールが存在するのです。

 

そこのところを間違えてはいけません。

 

読み手に対する思いやりが大事ということなんですね。