中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

海外赴任で慌てぬために復学制度のある学校を選ぼう

帰国生入試については、以前こんな記事を書いています。

peter-lws.hateblo.jp

 

今回は、角度を変えて復学制度のある学校について書いてみたいと思います。

 

最近、私の周りで急に海外赴任が決まる家庭が多いような気がします。お子さんが小学生から中学生くらいといえば、40代の働き盛り、一番油の乗っている時期とでもいえましょうか、企業としても海外赴任をさせたい年代なのかもしれません。

 

急な打診→内示→赴任

この期間が3か月あればいいほうだといいます。

その場合、家族帯同か、単身赴任か、相当迷われている様子です。

子供の教育をどうするかについてはとても悩ましい問題です。

特に、せっかく中学入試で憧れの学校に進学したばかりでの海外赴任の場合、まさか子供だけ残すわけにもいかず、泣く泣く退学したという話も聞きおよびます。

 

学校によっては、復学を制度化しているところも多くあります。

いずれ海外赴任となりそうな場合、受験校を選ぶ際に復学制度の有無も検討したほうがよいかもしれません。

 

 

復学時の試験について

 

 ほとんどの学校が、学科試験として英語・数学・国語の3科目を課しています。

 合わせて、面接も行われます。

 面接は、保護者同伴面接がほとんどですが、一部、受験生と保護者の面接を別に行う学校(桜蔭中学校品川女子学院中学校など)や、受験生のみの面接(大妻多摩中学校・女子学院中学校など)があります。

 また、書類審査も課す吉祥女子のようなケースもあります。

いくつかの学校について、復学の条件を簡単にまとめてみました。

 

復学の条件

 都内女子校

跡見学園中学校
 特になし
 学校判断
 中学の間は無条件で復学可能
 高校では、高2の3月までに戻ること
〇大妻中学校
 中1の7月まで在学し、1年以内に戻ること
 中3の1学期末までに戻ること
学習院女子
 再入学の希望を書類で提出
 4年以内に戻ること
 高3の9月までに戻ること
 中1の4月まで在学すること
 高1の2学期末までに戻ること
〇共立女子中学校
 中1の7月まで在学すること
 2年以内に戻ること
 高1の8月までに戻ること
恵泉女学園中学校
 中1の1学期終了までは在学すること
 高の7月までに戻ること
 高2の4月までに戻ること
実践女子学園中学校
 高2の3月までに戻ること
昭和女子大学附属昭和中学校
 高2の3月までに戻ること
 中1の6月まで在学すること
 高2の3月までに戻ること
東京女学館中学校
 入学から3か月以上在学すること
 高2の3月までに戻ること
 退学時に再入学希望登録を行うこと
 3年以内に戻ること
 高2の1学期中に戻ること
 応相談
〇普連土学園中学校
 1年以内なら無条件で復学可能
 1年以上の場合は転入試験が必要
 高2の3月までに戻ること
立教女学院中学校
 中1の7月まで在学すること
 2年以内に戻ること
 

 都内男子校

 中1の1学期間は在籍すること
 試験なしで無条件に戻れる
〇海城中学
 中1の1か月は在学すること
 中3の1学期初めまでに戻ること
 それ以上の場合は、一時帰国して実力考査を受けること
攻玉社中学校
 高2の1学期までに戻ること
 2年以内に戻ること
 高1の2学期までに戻ること
 

復学条件のまとめ

復学条件を概観すると、女子校は細かく規定されている学校が多いですが、男子校はケースバイケースでの判断が多く、条件もゆるい学校が多いようです。
 また、多くの学校で高2の間に戻ることとしていますが、同時に2年以内といった条件がある学校も多くあります。
 海外赴任が予想される場合には、受験前に学校に確認しておくとよいでしょう。
学校がHPで情報を公開している場合も多いです。
例えば駒場東邦については、学校HPによると
Q:保護者の転勤等にともない転出した場合、戻ってきたときの復学の制度はありますか。
A:将来の復学を前提として退学することになります。復学転編入できるまでの不在籍期間は、中学1~2年生は2年間以内、中学3年生は中学3年生の残りの期間と高校1年間以内、高校1年生は1年間以内とし、復学転編入の時期は高校1年生の2学期初日までです。復学時には復学編入試験と面接を実施し、その結果によってはひとつ下の学年に復学することもあります。
となっていますね。
ところで、やたらに条件が厳しいのが慶應義塾中等部です。
 2年間以内に戻ること
 同学年に戻るためには、以下の4条件を満たすこと
  ・1年の1学期および3年の2・3学期は中等部で学ぶこと
  ・1年以内に戻ること
  ・復学試験に合格すること
  ・海外でも中学校と同等の学校に就学すること
この条件では、復学するのは事実上無理としか思えません。
また、グローバルなイメージのある渋谷教育学園渋谷中学校は、制度化されてはいないようですが、学校HPによると、
Q:保護者の海外転出などで学校に復学することはできますか?
A:原則として復学できますのでご相談ください。

というQ&Aがありましたので、応相談ということですね。

 
ここにあげた学校の条件ですが、変更される場合も多いので、必ず学校に直接問い合わせてください
また、直接相談すると、校長判断で条件を多少融通してくれる学校もあるようですね。
 
知人のケース(復学ではなく転入のケース)では、姉:高3、妹:中3 の姉妹で、妹が転入した学校で
「ところでお姉さまはどうなさるのですか?」
と尋ねられたそう。
高3の秋では転入できる学校があるはずもありません。
そのことを答えると、
「それはさぞお困りでしょう。どうぞ、うちの学校にいらしてください。」
と、わずか数か月の在学を認めてくれたとのことでした。
親切な学校もあるものです。教育者とはこうあってほしいものです。