2024年の学習院女子中、帰国生入試の入試日がせまってきましたね。1/20です。この学校の帰国生入試は、作文(英or日)50分、算数40分、国語40分です。配点はそれぞれ80点・100点・100点となっています。詳細は学校HPをご覧ください。
さて、作文の出題についてみてみましょう。
2023年 学習院女子 帰国生入試 作文
「新型コロナウィルスの感染拡大は、私たちの生活に多くの変化をもたらしました。さまざまな変化の中で、あなたはどのような経験をし、どのようなことに気づくことができましたか。具体的な内容を一つあげ、くわしく説明しなさい。」
いかにも学習院女子の帰国生入試の作文らしい、定番の出題です。
たしか昨年は「おもてなし」をテーマに、どのように来客をもてなすかを書かせました。
この学校に限りませんが、帰国生入試の作文では、自身の体験を書かせる出題がとても多く出されています。一般には、「海外生活の体験」を書かせる場合がほとんどですが、この学校では少しだけ角度を変えての出題が多くみられます。
さて、今回のコロナに関する作文では何をどう書くべきでしょうか。
コロナの感染拡大による生活の変化を列挙してみましょう。
〇予防接種を受ける
〇マスクが外せない
〇遠足が中止となる
〇文化祭が中止となる
〇合宿や修学旅行が中止となる
〇クラブ活動が制限される
〇授業がリモートとなる
〇ランチタイムが黙食となる
挙げだすときりがないほど多くの変化がありました。
特に、学生への影響が大きかったと思います。
1年間同じクラスだった同級生なのに、マスク姿しか知らず、マスクを外すと誰かわからなくなる。
これはとある中学生から聞いた話です。とくに制服のある学校だと、本人を特定できる情報が少なすぎて、難しいといいます。
この話を聞いたとき、私はショックを受けました。
中高一貫校に進学する目的の一つに、生涯の友を得ることがあります。目的のすべてといってもよいくらいに重要なことですね。6年間をともに過ごした友人は、何年経っても、会って顔をみれば懐かしい中高生時代が蘇るものです。その顔が認識できないとは・・・。
また、ある中学生は、憧れの学校に進学し、入りたかったテニス部に入部しました。ところが、2年間1度もラケットを振る機会がありませんでした。下級生が入部してきても、自分には何も指導できないどころか同じレベルであると嘆いていましたね。
このように、コロナによる生活の変化からは、ネガティブなものしか想起できません。どうしても作文にはそうした愚痴を書いてしまいたくなります。
しかし、この学校はそうした愚痴を求めているわけではないはずです。
作文の具体的な方向性
もう一度問題文を見てください。
「・・・どのような経験をし、どのようなことに気づくことができましたか・・・」となっています。
つらい経験からも、何か学べることがあるはずです。
学習院女子が求めているのは、そこなのです。
例をあげると、このようになるでしょうか。
〇リモート授業
教室にいた時は、なんとなく座っているだけで勉強した気になっていた。リモート授業では、集中して授業を聞かないと勉強にならない。学習に対する姿勢が積極的に変化した。
忙しい中、リモート授業の教材の準備や授業を行ってくださった先生に感謝したい。今まで教室では真面目な生徒ではなかったが、先生方の生徒に対する気持ちにはじめて気づいた。今後教室で授業を真面目にうけるようにしたい。
〇マスクが外せない
マスクをつけていると、表情で気持ちを伝えることができない。小さな声では聴いてもらえない。相手に自分の気持ちや考えを伝えるためには、言葉に出してはっきりとした声で相手に伝えることが大切だと知った。
若い自分たちには想像もできなかった、「死」や「感染症」について考えるきっかけとなった。
〇学校行事が中止となる
文化祭や体育祭、遠足や修学旅行は、勉強にとって時間の無駄だと思っていたが、いざなくなると、学校生活の中心を占める重要なものだと気づいた。仲間とともに何かを作り上げたり時間を共有することは大切な時間だった。そこでクラスの皆と話しあい、先生の許可を得て、教室の壁1つに、自由に情報を共有・交換できる場所を設け、誰もが自由になんでも書いて貼ってよいことにした。クラスメイトの素顔がわかり、親しみが増したと思う。
たしかにコロナは私たちの社会の在りようを根底から変えるできごとでした。大人にとっても多くの影響がありましたが、とくに中高生への影響は大きいものがありました。そんな中でも、その経験を前向きな気づきへと変える姿勢を求められているのです。コロナに関するこうした出題は来年以降も続くことが予想されます。ある程度準備をしておくとよいでしょう。