中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

共立女子中の帰国生入試と海外生活での学び

 

 

 1.共立女子中の帰国生入試の英語の問題は個性的だった

共立女子英語

 共立女子中の帰国生入試、英語では、毎年日本の入試問題とは思えぬ楽しい見た目の入試問題が出されています。

 写真は昨年のものですが、今年も同様のスタイルで、まるで英語圏現地校の教科書のようなスタイル・レベルでした。

 私たちが問題を作成すると、どうしても似たようなスタイルになりがちで、それが日本人の限界なのかなという気がします。

 想像だけど、この入試問題はnativeの先生が作られているのではないでしょうか?

学校のHPに入試問題がUPされているので、実際に楽しい雰囲気を見てください。

www.kyoritsu-wu.ac.jp

 また、普段見慣れている入試問題とは随分スタイルが違いますので、受験を考えている場合には実際の過去問で慣れておく必要がありますね。

 

ここでは、最後の作文だけ紹介しましょう。

 2023年 帰国生入試 英語

You are going to a deserted island, where no one lives, for one month.  

What two or three things would you bring?  

Give at least one reason for each item. 

 Your essay needs to be a minimum of 50 words.

 

無人島に行くなら何を持っていくのか?

大人もよく話題にします。

これは書きやすそうですね。

奇をてらった答えは要求されていないと思います。

自分の書きやすい英文で、素直に書くのがよいでしょう。

◆エッセイライティングのこつ

この場合には、

「最初に持っていきたいものを考えてから、その理由を書く」よりも、

「理由を考えてから、それにあった物をあげる」ほうが書きやすくなります。

例えば、以下のようなかんじでしょうか。

 

◆きっと退屈だ・・・本がほしい

◆おなかがすくだろう・・・缶詰

◆ピンチをチャンスに変えてみたい・・・原稿用紙

◆教養をふかめてみたい・・・天体望遠鏡、知らない外国語のテキスト

◆やってみたい・・・新しい楽器

2022年 帰国生入試 英語

Write about your strong points. 

Your essay must include at least one example with each point.  

Your essay needs to be a minimum of 50 words.

 

日本人的な感性だと、自分の長所をアピールしづらいかもしれなませんが、英語圏に住んでいれば求められることの多い内容だと思います。

また、帰国生入試の英語面接でも定番の質問なので、一度きちんと練習しておくとよいでしょう。

その際には、海外体験をふまえた例を挙げられるとなおよいと思います。

 

 2021年 帰国生入試 英語

 

Based on your experience, write about what you learned while living abroad.

Your essay has to be more than 50 words. 

 

こちらもあらゆる学校で見かける定番のエッセイです。

経験をもとに、海外生活で学んだことについて書かなくてはなりません。

 

2.海外体験のまとめ方

こうしたエッセイやスピーチでは、海外体験について聞かれることがとても多いです。

 

しかし、海外に行った当初は何もかもが目新しく感じられ、さまざまな学びがあったはずですが、時間の経過とともに感動が薄れ、帰国するころには特筆すべき体験が思いつかなくなってしまうかもしれません。

 

ぜひ、日ごろの海外生活で体験したことや見聞したことについて、ちょっとしたメモ程度でかまいませんので記録しておくことをおすすめします。

 

 (1)学校に好まれる内容

 あくまでも入試ですので、得点に結びつくような内容を心掛ける必要があります。といっても、なにも自分のキャラクターを殺して「良い子ちゃん」を演ずるとかそういうことではありません。海外の体験によって、何を学び、どう成長したのか、この2点をきちんと書くということなのです。その学びを学校にフィードバックして、さらに成長してほしい、これが学校のもとめていることです。

 逆を考えてみればわかるでしょう。

◆日本と変わらないことばかりで特別な体験はない

◆日本と比べて気に入らないことばかりだった

◆早く日本に帰りたいとそれだけ考えていた

こんな文章を書く人はいないと思いますが、こんな生徒は中学校も受け入れたくはないですね。

また、こうした内容も要注意です。

◆海外生活は全てが素晴らしかった

◆日本になど帰りたくなかった

◆海外とくらべて日本はとても遅れていることばかりだった

たまにいるのです。海外生活にすっかり馴染んでしまい、日本のことを悪くしか言わない生徒が。海外体験を肯定的にとらえているとプラスに評価してあげたいところですが、みなさんが受験するのは日本の学校です。「そんなに海外が良いのなら、日本に帰ってこなくて結構です。」と思われてしまうような内容はやめましょう。

 (2)身近なところで小さな気づきを探す

 日本と海外では、歴史・文化・環境・人種・社会制度等全てが大きく異なります。しかし、そんな大きなことを論じる必要はないのです。むしろ、日本にいると気が付かなかったような小さな気づきが重要です。

3.共立女子という学校

1886年創立という歴史のある学校です。1886年と聞いて、受験生ならすぐにある事件が思い浮かびますね。ノルマントン号事件です。イギリスの貨物船ノルマントン号が嵐で沈んだ際、ドレイク船長以下乗組員26名は全員助かりましたが、日本人乗客25名が全員溺死したという事件です。その頃日本は治外法権領事裁判権)をイギリスに認めていたため、神戸での領事裁判で船長は無罪となりました。世論の高まりを受けて横浜で行われた領事裁判では禁固三か月、賠償金は無しとなったのです。不平等条約の酷さを知らしめた有名な事件ですね。

校訓は「誠実・勤勉・友愛」となっていて、女性の自立と社会に役立つ女性の育成が目標です。

www.kyoritsu-wu.ac.jp

神保町から3分、竹橋から5分という恵まれた立地です。本好きな人にとっては、神保町からお茶の水界隈は聖地?ですよね。お世辞にも自然が豊かな環境とはいえませんが、学問の匂いのする町だと思います。大学実績についても悪くはないと思います。

学校を訪れた様子、先生方のお話、生徒たちの印象を私なりにまとめると、「地味だけど堅実な学校」という印象です。生徒もいかにも中高生らしい活発な子が多いと思います。