中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

面接試験の重要性とその対策

年々減ってきているとはいえ、面接試験を課す学校がいくつかあります。

〇面接試験がある学校は?

〇何を聞かれる?

〇対策は?

このあたりについて書いてみたいと思います。

 

1.面接で落とされることはあるのか?

一番気になるのはここだと思います。学校に問い合わせてみても無駄です。

「面接は参考程度です。」

その「参考程度」って何だ? それでは、塾に聞いてみましょう。

「あまり気にし過ぎないほうがよいですね。まずは学力勝負です。」

それはわかっているのです。でも面接試験がある以上、気にするなといわれても。

さて、おそらくは最も面接試験での不合格者が多いと思われる学校を紹介します。慶應中等部慶應湘南藤沢です。まずは下のグラフをご覧ください。

慶應中等部試験結果

慶應中等部の2023年入試では、4科目の筆記試験である1次試験合格率は、男子で41%、女子で31%となっていますしかし1次合格で浮かれているわけにはいきません。発表翌日に行われる面接試験での合格率は、男子が54%、女子が56%となっていました。

つまり、2次試験辞退者を除く、「本当に慶應中等部に入りたい(と思われる)」生徒の合格率は、男子で21%、女子では13%ということになりますね。ざっくりいうと、男子で5人に1人、女子では8人に1人しか合格できないのです。やはり慶應中等部は人気校です。

この学校を志望する場合は、2次の面接まで含めて考える必要があります。4科目入試の学校ではなく、算国理社+面接+体育実技、つまり6科目入試校だと思ったほうが正解です。

2/3 1次試験

2/4 1次試験合格発表

2/5 2次試験・・・体育実技&面接

2/6 2次試験合格発表(15:00)

このような日程ですので、2/3からはじまった試験の合格発表が2/6である、と認識しなくてはなりません。

 

慶應中等部や慶應湘南藤沢ほど面接試験で不合格者を出さない学校でも、面接を実施する以上、合否にそれが反映すると考えるべきです。たとえ1名しか不合格者がいなかったとしても、その1名になるわけにはいきません。

2.面接では何を聞かれるのか?

ほとんどの学校で、面接で聞かれる項目は、ごく一般的といってよい、予想できる質問ばかりです。

〇志望動機

〇得意・不得意な教科

〇ふだんの生活

〇課外活動

〇中学受験を志した理由

〇中学校に期待するもの

〇将来の夢

このような項目について、角度を変えて質問をされるのです。

基本的な質問については、当然ご家庭で質疑応答の練習をしておくべきですね。とはいえ、全ての質問の答を暗記するようなことは時間の無駄です。

そこで、学校が面接を通じて何を知りたいのか、ここを考えてみるとよいでしょう。

◆入学の意志・・・学校への熱望具合

 私立中学にとって、合格者のうちどれくらいが進学してくれるのか、ここはとても大切です。学校としても、なるべく追加合格・補欠合格は出したくありません。かといって、多く合格者を出し過ぎると、学校の施設が足りなくなりますし、定員オーバーはまずいです。極端な収容人数超過は文科省からにらまれ、補助金の減額にもつながりかねませんので。

つまり、言葉は不適切ですが、「歩留まり」がどれくらいなのか、各学校は頭を悩ませるわけですね。そこで、面接で生徒・保護者の話から、学校に対する熱望具合をさぐる、そういうことになります。場合によっては、あからさまに「本校以外に受験は?」と、併願校を聞かれることすらあるのです。

 ・学校説明会・オープンキャンパス・学園祭等に参加したかどうか

 ・自宅からの距離・・・あまりに遠いと通学の意志を疑われる

 ・中学校の教育理念への理解・・・事前研究をきちんとしているか

 ・中学生になったら入りたいクラブ活動・・・事前研究をきちんとしているか

 ・志望動機・・・入学意思が感じられるものであるか

これらの質問は全て、入学意思の確認のためのものと思ってください。

◆親子関係・・・良好か

 中高6年間の間には、様々なことがあります。親に内緒で勝手に遅刻・早退をすることもあるかもしれません。校則を破ることもあるでしょう。SNS関連のトラブルに巻き込まれるかもしれません。学校の成績が低迷することもあるでしょう。起こりうる様々なトラブル等について、学校側は家庭と連絡をとりながら解決していこうと考えます。そうした際、親が子供の状況に興味関心がなかったり、全く知らなかったりするのは困るのです。親子で日々コミュニケーションがきちんとなされ、良好な親子関係が構築されている、そういう家庭の子供に入学してほしいと考えるのは当然ですね。

 また、反対のケースも考えられます。つまり、親が子供の学校生活に干渉しすぎるのも問題です。中高は生徒の成長を見守る場でもあります。生徒本人に解決させるべきであるようなささいな生徒間のトラブル程度まで、親が学校に乗り込んでくるようでは困ります。

 このように、家庭での親子の人間関係を見る、それも面接の目的の一つと考えられるでしょう。

◆学校への理解

 宗教色の強い学校もあります。創立理念に強いこだわりをもつ学校もあります。そうした学校の場合、入学前にきちんとそのことを理解しておいてほしいのです。学校のことを十分に理解し、その上で納得して入学してほしい、これは当然のことですね。

毎朝の礼拝の時間と聖書の勉強が苦痛で仕方がなかった、これではお互いに不幸だと思います。また、親にも学校に沿うことが求められる場合もあります。例えばあるカトリックの女子校の実話です。保護者会に出席したお母さまの一人が、肩を露出した服装で出席したところ、マ・スール(シスター)の先生から注意を受けたというのですね。親が服装で注意されるというのは相当恥ずかしいと思います。いったいどんな服装だったのでしょうかね。


3.対策

 対策をし過ぎない。これが一番です。

小手先の面接対策は一番嫌われるところです。誠意と熱意をもって臨めば、受け答えで多少うまくいかなかったとしても、その気持ちは学校の先生に伝わります。

とはいえ、最低限の準備をすることもまた学校に対する礼儀だと思います。

①親子で一緒に学校について調べる

②親子で学校について様々な話をする

③勉強について、将来の夢について、親の希望について、子供の希望について、常日頃親子で気軽に話し合う。また、話し合える親子関係をつくる

④大人に対する最低限の礼儀は幼少時からしつける・・・子供の年齢にふさわしい敬語の使用・大人に対する挨拶・質問されたら必ず返答する、など。

考えてみれば当たり前のことばかりですね。でも、子供たちを見る限り、この当然のことができていない子がとても多いのです。とくに④がひどいですね。面接のときだけ化けることはできません。日頃から、自分から挨拶をする習慣をつけておきましょう。