今回も前回の男子校に続き少々乱暴なテーマです。
もし偏差値表だけで受験校を選んだらどうなるのだろう?
手元にあったSAPIX偏差値表をながめてみます。
※どの学校を持ち上げる意図も貶める意図もありません。あくまでも偏差値表を使った私の偏見に基づくシミュレーションに過ぎませんのでご容赦ください。
偏差値50の女子
まずは、偏差値表を見て、偏差値49~51の学校をピックします。
2/1
51 学習院女子
49 頌栄女子
PM 51 開智日本橋 / 神奈川大附属
PM 49 ドルトン東京 / 山脇算数
さすがに女子でサピックス偏差値50あると、なかなか魅力的な学校があがりますね。
2/2
49 神奈川大附属
50 三田国際
49 青学横浜英和 / 山脇
昔からそうなのですが、女子は意外と2日校に悩むのです。とくに50前後の選択肢が少ないのですね。
2/3
/ 東洋英和 / 横浜市立南
49 学芸大世田谷 / 都立白鴎
PM 51 三田国際
50 開智日本橋
49 青学横浜英和
2/4
51 東京農大
50 神奈川大附属 / 三田国際
さて、女子の場合は男子以上に早期決戦が大切です。
コロナ以前は、受験生のために試験日当日の早朝、校門付近で生徒を待ち受け、最後の激励をするという習慣?がありました。
おそらく最初は、教え子に最後に一声かけたい、という教師の個人的な思いで始まったと思うのですが、いつのまにか慣例化・大規模化し、早朝の校門前に各塾の腕章をした教師たちが100名ほども並ぶという異様な光景となっていたものです。
それでも3日を過ぎると激励教師の数はぱたっと減ります。主要な入試はだいたい終わったということもありますが、塾としてもわずか1名の受験生のために教師を派遣できないということなのでしょう。
私はそうした考え方は好きではないので、むしろ激励は4日以降の受験生にこそ必要と考え、積極的に足を運ぶことにしていました。だって、その段階で受験を戦っているということは、どこにも合格が出ていない、本当に背水の陣の受験なのです。私ごときの一声で何かが変わるとは思いませんが、もしかしてちょっとでも緊張感がほぐれてくれれば、との思いでした。
2月5日の頌栄の受験がそんな入試でした。一つも合格がもらえていない状態で、ここでダメだったら公立中学決定、そんな状況での受験なのです。
ある年、そうした生徒の一人が母親と一緒に入試にやってきました。母親に手をひきずられるようにして、子どもが坂道を登ってきます。「〇〇さん!」大きな声で呼びかけましたが、母子とも全く気付いてはくれません。二人とも表情がこわばっていて、周囲の様子など全く目に入らないのです。ああ、この精神状態では。 そう懸念したとおりの結果でした。
正直言ってしまうと、男子は高校受験でもチャンスはたくさんあります。高校募集している私立がまだたくさんあるからです。例えば開成・筑駒も高校から入れます。でも女子はほぼ門戸が閉ざされているのです。一度高校入試の女子偏差値表を見てください。上位校ではほぼ慶應女子一択です。中受の偏差値表を見慣れた目からすると、びっくりするくらいスカスカです。また、中受では考えられないような学校が上位に並んでいることにも驚かされます。
私立に進学したいのなら、女子は何としても中学受験で入らなければなりません。
そこで受験パターンの組み立ては、早い段階で合格を1つは取りにいく、そうした作戦をたてることにします。体調不良のリスクを避けるためには、安全圏の学校は受験日を離して2つは想定しておくのが鉄則です。
チャレンジ校
女子こそ校風を重視した学校選びをするべきです。
実は、私立中高一貫校の途中退学率は、全国平均で1割前後ともいわれています。しかし、生徒たちから聞く話からするとちょっと信じられません。生徒達も人数までは把握していませんが、だいたい数名程度、おそらくは一桁の人数といったところが実情ではないでしょうか。その数名にしても、海外留学のための子も多いのが難関校の特徴でしょう。
全国的に見ると、公立優位の地域が多いですね。私立は、公立高校に進学できなかった生徒の受け皿となっているケースが多いのです。この場合は退学率が高くなりそうな気がします。おそらく、首都圏の私立に限ればもっと低い数値になると思います。
しかし校風が合わなかったり、自分の志向にあっていないと感じた場合、中高一貫校では、中学から高校に進学する際に一度退学のチャンス?が訪れます。
いずれにしても、学校とは、生徒一人ひとりの要望に応じてくれるサービス業ではありません。学校の方針に生徒が合わせることで成り立っているのです。
だからこそ、校風を無視した学校選びは悲劇しか生みません。
(この記事のような偏差値だけの学校選びはダメということです)
さて、ここではチャレンジ校としてフェリスを選択します。
今でこそ偏差値がだいぶ下がっていていますが、そのことによってフェリスと言う学校の価値が下がっているということはありません。しかし、世間は偏差値に流されがちです。だからこそ、1日のフェリスは十分合格が見込めるチャレンジ校だと判断します。
その他の受験校
1日午後は山脇の算数単科を受けましょう。
どの地域からも受験しやすい場所ですし、算数1科目入試ならそんなに体力に悪影響がないとの判断です。ただし、フェリスからの移動時間をきちんと計算する必要があります。山脇の入試は15:00スタートです。国語の単科入試もあるのですが、難易度が上がるので回避します。
山脇の結果が1日の23時!にあります。学校も大変ですが、親も大変です。
この結果が〇なら、ここで受験を終了してもよいでしょう。
もし山脇よりも進学したい学校があるのなら、あとは自由に受ければ良いと思います。
例えば2日の白百合(53)、3日の青山学院(54)、学習院女子(53)といったあたりでしょうか。東洋英和(50)もいいですね。
このように、早い段階で合格が出ると、後が本当に楽になります。
したがって、こういうパターンもあると思います。
1日に香蘭(48)、東洋英和(47)、大妻(44)で合格を取りに行きます。もちろん進学しても素敵な学校ばかりです。
そうして白百合・青学等にチャレンジする、という作戦です。3日の鷗友(58)も記述力次第では十分狙っていいと思います。
山脇が×だった場合は、㏡の午前は大妻(45)や共立女子(41)、恵泉(42)がありますね。
ポイント
早めに合格をとる
安全校を2つ以上、異なる日程で想定しておく
校風が最重要、次に通学環境
午後入試は体力を削ぐので要注意