中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

自習に役立つ 社会科板書大公開 フランス革命



今回は、フランス革命についての板書案を紹介します。

中学生の生徒が、世界史の中でもフランス革命がさっぱりわからない、というので指導したときのものです。

もちろん中学入試には出ませんので、中学生を対象とした授業の板書案です。

板書案



いつものように黒板1枚にまとめます。

フランス革命は数段階に分かれており、どうにも頭がごちゃごちゃになりがちです。まずは全体の目次としての板書を1枚かくことにします。そしてこれを見ながら授業をすすめることで、教師のほうも混乱しないで済むという作戦です。

 

1.ブルボン王政

(1)革命の背景・・・社会体制(アンシャンレジーム=旧体制)

   →旧体制に対する不満

 ・啓蒙思想→王・神に対する不満

 ・シェイエス「第三身分とは何か」:第三身分の権利を主張

 第一身分:聖職者・・・免税特権

 第二身分:貴族・・・・免税特権

 第三身分:平民・・・・重税

(2)革命の原因・・・国家財政の窮迫

   ・ルイ14世・・・対外戦争・宮廷の浪費

   ・ルイ15世・・・7年戦争へ介入    

   ルイ16世・・・アメリカ独立戦争へ介入

    →財政立て直し

     ・テュルゴー重農主義者)

     ・ネッケル(銀行家)  を登用

     →特権身分への課税を計画→特権身分の反発(議会での議論を要求)

(3)革命の勃発    ・三部会の招集(ルイ13世が停止以来170年ぶり)     →特権身分(308名・285名)VS平民(621名)・・・議決方法をめぐって     →平民が三部会から離脱→「国民議会」を設立、「テニスコートの誓い」        ・・・「自分たちの憲法をつくるまで解散しない!」 

 

2.国民議会

〇国民議会…ラ・ファイエットミラボーなどの立憲君主派が中心

 ・国王…軍を使って弾圧

 ・民衆…バスティーユ牢獄襲撃(1789.7/14)→全国に反乱拡大

 ・封建的特権(農奴制・不当な税・領主裁判権)の廃止宣言

 ・フランス人権宣言採択ラ・ファイエットが起草

     自由・平等・主権在民言論の自由私有財産権など

〇ルイ16世…温厚な人柄・優柔不断・趣味:錠前作り

       パリ郊外20㎞のヴェルサイユで静観

〇内戦状態のパリで物不足→パンの価格高騰

ヴェルサイユ行進…パリの女性達がヴェルサイユに 押しかけ、国王をパリへ連行

〇ヴァレンヌ逃亡事件…オーストリア領ベルギーへ夫婦で 逃亡を図る→失敗

          →国民の国王への失望

〇1791年憲法制定・・・王から法へ

 →国民議会解散→立法議会設立 

3.立法議会

〇立法議会内部の対立

  ・フイヤン派立憲君主派(王はいてもよい)

  ・ジロンド派…共和派(王は不要)→多数派

   →このままだと王・王妃が殺される危険性!

   →王妃の実家のオーストリアが革命に干渉 →軍を派遣

〇革命戦争の開始

  ・ジロンド派内閣がオーストリアに宣戦布告

    →オーストリアプロイセンが革命軍を攻撃

  ・革命軍(平民素人集団)は苦戦

    →全国から義勇軍が集結!

      南仏マルセイユ義勇兵が歌った

     ラ・マルセイエーズ(国歌)誕生 

〇王権の停止…外国軍を導入した国王に対する怒り

   8/10日事件…王権を停止し、共和政治開始

   →立法議会から「国民公会」へ 

4.第一共和政

国民公会

第一共和政・・・国民公会によるフランス初の共和政

 ・革命戦争・・・プロイセンオーストリア軍が国王・王妃救出を目的に増強

 ・ヴァルミーの戦いでプロイセンに勝利→小さな戦いだが転機となる

  →革命戦争の勝利

 ・ルイ16世の処刑

〇第一回対仏大同盟・・・イギリス首相の提案

 周囲の国王が警戒を強め、フランス革命に干渉

 →ジャコバン派へ権力集中 

5.ジャコバン派独裁

ジャコバン派・・・下層市民や農民の支持

  ・王

  ・平民(金持ち) に反感

   マラー・ダントン・ロベスピエールが主導権

            実権を握る

ロベスピエールによる独裁・・・恐怖政治

 ・公安委員会と革命裁判所に権力を集中→急進的改革

     ・農奴制の廃止

     ・革命歴の採用…暦の神や王の名前を消す

     ・徴兵制の実施

     ・最高価格令→市民層の反感  →ギロチンで反対派を処刑

 →独裁への不満

テルミドール(熱月)のクーデター  →ロベスピエール処刑 

 6.総裁政府

〇総裁政府・・・ジャコバン派独裁への反省から5人の総裁による話し合いで政治    →ピンチに即時対応ができない

・バブーフの反乱・・・私有財産の廃止・政府転覆を狙う

・ナポレオンの台頭に対し第二回対仏同盟の結成

   →総裁政府は対応できない

   →民衆の期待はナポレオンに集中

〇ナポレオンの台頭

 ・コルシカ島出身

 ・イタリア遠征…第一回対仏同盟を破る

 ・エジプト遠征…イギリス最重要海外拠点のインドとの連携を絶つ

     ※このときロゼッタストーンを発見→シャンポリオンヒエログリフを解読

ブリュメール(霧月)18日のクーデター

    →ナポレオンが総裁政府を倒し統領政治を樹立 

7.統領政府

〇統領政府・・・ナポレオンが第一統領に

〇外交・・・アミアンの和約・・・イギリスとの講和→第二回対仏大同盟崩壊

ナポレオン法典の制定・・・私有財産権・法の下の平等

※そのまま国民投票で皇帝に就任 

8.第一帝政

◆ナポレオン全盛期

第一帝政・・・国民に選ばれた皇帝(ナポレオン)による政治

〇諸国の反応・・・第三回対仏大同盟

〇外征 ・トラファルガーの海戦…ネルソン提督(イギリス)に大敗

    ・アウステルリッツの戦い三帝会戦

     →ロシア・オーストリアを破る

〇大陸支配

 ・ライン同盟の結成…西南ドイツ諸国をナポレオンの同盟国へ

    →神聖ローマ帝国の消滅

 ・ティルジット条約…プロイセンに結ばせた屈辱的条約

   →プロイセンの領土半減、ワルシャワ大公国建設

         ※ ポーランド

〇イギリス対策  ・大陸封鎖令(ベルリン勅令)・・・イギリスとの通商禁止 

 

〇反ナポレオン運動の展開

・スペインの反乱・・・解放戦争の口火

プロイセンの改革・・・富国強兵

  農奴解放・教育・軍制改革

フィヒテドイツ国民に告ぐ」

・ロシア・・・密にイギリスに穀物を輸出・・・利益

〇モスクワ遠征・・・ロシアの大陸封鎖令破りに対し出兵

 →ナポレオンの大敗北・・・61万→5000人に!

ライプチヒの戦い・・・ナポレオンの決定的敗北  

 →退位し、エルバ島に流される

〇ナポレオンの復活と二度目の退位

 エルバ島を脱出し、皇帝に復位(百日天下

 →ワーテルローの戦いウェリントン率いるイギリス軍に敗北

 →セントヘレナ島に流され、死去 

 

板書は1枚だけとし、そのあとの詳細はパワポを使いました。

黒板好きの私としても、さすがにこれだけの量を板書する気力はないので、パワポのスライドを投影して授業をすすめます。ここには載せていませんが、スライドは写真や地図を入れたものを9枚作りました。

 

それにしても、やっぱりフランス革命は複雑ですね。でも、おもしろい。

ここを勉強してからパリを訪れると、歴史の1コマの中を歩いている気分がしてワクワクするものです。逆に、学ばないでパリを訪れると、ごみごみとしたただの汚い街です。私には文化を感じ取る感性がないからでしょうか、何度訪れてもパリの街は好きになれません。石畳はがたがたに傷んでいますし、道は狭いですし、路上喫煙者も多いですし。とくにここ数年は、公園がゴミに埋もれたホームレスタウンと化しているのを見かけます。北駅周辺など、治安の悪さが目に見えるようですね。

ただし、美術館は充実していますし、美味しいものも充実しています。