中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】塾に通っているのに成績が上がらない!

おそらく最も多い悩みがこれだと思います。

塾に通わせているのにいっこうに成績が上がらないのです。

どうしたらよいでしょう?

今回はこの悩みに正面から向き合おうと思います。

成績が上がるとは?

 

まずこの単純な用語を整理しましょう。

「成績が上がる」とはどんな状態を指すのでしょう?

 

A:大きな模擬試験での順位(偏差値)が上がる

B:塾内の定期試験での順位(偏差値)が上がる

C:塾内での小テストでの順位が上がる

A’:大きな模擬試験での得点が上がる

B’:塾内の定期試験での得点が上がる

C’:塾内での小テストでの得点が上がる

 

ほとんどの方が、ABCのいずれかを指して「成績が上がる」と考えているでしょう。

 

実はここで意味があるのは、AとB’とC’、の3つです。

 

Aのような公開模擬試験は試験範囲がありません。

毎回異なる試験問題のテストで、成績推移を見ようとすると、順位&偏差値しか目安にならないですね。厳密にいえば受験者層が全く同じではないので異なる試験の順位・偏差値を比較はできないのですが、目安にはなるでしょう。

 

BとCは気にする基準が異なります。

これらの試験は、試験範囲が定められ、あらかじめ伝えられている「復習の確認」「定着度」の測定を目的としたテストだからです。

子どもの日頃の学習のモチベーションをあげることを目的としているのですね。

だから、少し頑張れば上がりますし、少し手を抜けば下がります。

 

A’については、異なるテストの得点力を比較することは大した意味をもちません。

 

B’とC’については、日頃の頑張りがダイレクトに反映しますので、大いに気にすべきです。

 

つまり、「成績が上がる」というのは、試験範囲が定められた定期試験での得点力が上がることと、試験範囲がない大きな模試で偏差値・順位が上がることの2種類を意味するのです。

 

定期試験の成績が上がらない

 

これはまずいですね。

定着していないのです。

おそらくは、塾に行っているだけで、家庭学習量が不足していると思われます。

 

稀に、塾で全てを完結させ、家庭学習を全くしなくても高成績をとり続ける子もいますが、そんなのはほんの一握りの「天才級」だけです。

 

一度聞いただけ、一度解いただけでマスターできるなら苦労はありませんが、不可能です。

いくつも類題を解き、何度も覚えなおし、間違え、また復習し。この繰り返しのプロセスが無いと、成績は絶対に上がりません。

 

 

模擬試験の成績が上がらない

 

この成績の測定には時間がかかります。

今月頑張ったからすぐに成績が上がる、という性質のものではないからです。

 

感触としては、5年生までは半年単位、6年生では3か月単位くらいで成績の推移を見守る必要があります。

 

どうしたらよいのか?

 

塾内の授業時間ではできることに限りがあります。

 

◆新しい算数の問題の解法を教える

◆国語の読解を解説する

◆理科・社会の新しい知識を教える

 

これらは塾で行われます。

 

◆漢字の練習

◆計算練習

◆問題演習

◆知識の暗記

 

これらは塾でやりません。

もちろんやることは可能なのですが、時間が非常にかかります。

土日は一日中、平日は夜まで塾に拘束することになりますので。

非現実的ですね。

 

「塾に行かせているのに成績が上がらない」

こうおっしゃる方の大半が、この定着部分を家庭できちんとやっていないと思います。

 

「いえ、きちんとやらせています」

そうおっしゃる場合は、もしかしてお子さんの能力以上の学習を強いている可能性もあります。

定着が早い子もいれば遅い子も、さらには最後まで定着できない子もいるのです。

適切な塾で適切な指導を受け、家庭できちんと復習をさせている、それなのに全く定着せず、定期試験の成績も模試の成績も上がらないとすれば、そこを基準とした学校選びをするべきということになるでしょう。

 

塾を移ったほうがよいのか?

 

移らないほうがよいでしょうね。

原因をわが子ではなく塾に求める気持ちはわかりますが、今の環境で上手くいかない子が、別の環境になったから上手くいくはずもないからです。

 

ただし、以下の場合は転塾は検討に値します。

◆お子さんを「お客様」扱いにする塾

 成績が低迷している生徒を放置しないのが塾の当然の仕事です。それを放置しているとすれば、ろくな塾ではありません。

◆その塾の模擬試験で偏差値が30未満である場合

 あきらかに塾のレベルがお子さんのレベルに合っていません。どんなに頑張らせてもその成績ということは、転塾を検討すべきでしょう。

※もちろん「頑張っている」ことが前提です。

◆気休めしか口にしない塾

「だいじょうぶですよ」

「そのうち成績は上がりますから」

このような「なぐさめトーク」だけで、具体的な学習のアドバイスが得られないなら、その塾はお金を支払って通うべき塾ではありません。

◆それならオプション講座をとりましょうといわれた

金儲け主義の匂いしかしません。

 

 

転塾については、以下の記事に詳しく書いています。

peter-lws.hateblo.jp

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