みなさんは、志望校を考える際に、共学校にするか、別学(男子校・女子校)にするか、考えたことはありますか?
今回は別学と共学について、その特徴やメリット・デメリットについてあれこれ考えてみたいと思います。
※特定の学校を持ち上げる意図も貶める意図もありません。あくまでも私の主観にすぎませんのでご容赦ください。
学校の数
全国全ての学校をあげても意味がないので、首都圏にしぼって考えます。
サピックスの偏差値表の50以上のところに載っていた学校を列挙します。
(午後入試・2回目入試・特別入試など無視して単純に数えました。そのため、1日には45だけど4日には52の学校や、午後入試だけ50越えの学校が含まれています。)
※学校の並び順は適当です。
筑駒
開成
麻布
聖光
栄光
武蔵
駒東
海城
早稲田
本郷
慶應普通部
早稲田高等学院
都市大付属
高輪
浅野
暁星
城北
芝
成城
渋谷渋谷
筑附
慶應中等部
慶應湘南藤沢
県立千葉
市川
栄東
都立小石川
農大第一
広尾小石川
都立桜修館
都立両国
開智日本橋
國學院久我山 ★男子部・女子部に分かれる
青山学院
神奈川大附属
芝浦工大附属
三田国際
区立九段
横浜市立南
県立東葛飾
お茶大附属 ★高校から女子のみ
桜蔭
女子学院
雙葉
豊島岡女子
鷗友学園
吉祥女子
湘南白百合
学習院女子
横浜共立
頌栄女子
東洋英和
このようにして眺めていると、公立と大学附属を除いた私立進学校は、男子校・女子校のほうが選択肢が広いことがわかります。
東京で共学の進学校は以下の学校です。
渋谷渋谷
広尾学園小石川
三田国際
開智日本橋
農大第一(農大への内部進学率は3.2%)
農大附属・国学院久我山については、系列大学への合格(含推薦)人数よりも他大学合格者数が多いので、進学校とみなしました。
また、これらの学校は女子校から共学化(&校名変更)した学校ばかりですね。
◆広尾学園小石川・・・2021年に村田女子から共学化
◆渋谷渋谷・・・1996年に渋谷女子高から共学化
◆広尾学園・・・1989年に順心女子学園から共学化
◆三田国際・・・2015年に戸板女子から共学化
東京・神奈川の上位校に関しては、選択肢の多さで
別学(男子校・女子校)>共学校
となりました。
大学実績
大学実績を学校間で比較することは非常に困難(無理)です。
そのあたりについては、以下の記事で検証しました。
そこで、ここでは単純に東大合格者数ベスト20の高校を見てみます。
149 開成
100 聖光
94 灘
90 筑駒
71 西大和
64 渋幕
63 桜蔭
60 日比谷
55 麻布
49 海城
47 栄光
45 浅野
44 浦和
44 駒東
43 早稲田
43 渋渋
37 ラサール
36 筑附
35 東大寺
32 久留米大附
都立日比谷・浦和、国立筑附を除けば、首都圏では渋谷渋谷・渋谷幕張以外は、桜蔭を除き全て別学(男子校)です。
こうしてみると桜蔭は凄すぎます。
東大実績ではこうなりました。
別学(男子校)>共学校
主観による評価
大学実績や偏差値等、客観的な評価が可能な数字では、別学(男子校)のほうが共学よりも上ということに一応なりました。
正確にいえば、別学優位というより、男子校優位ということですね。
その他に客観的なデータとしては、
◆東大以外の大学実績
◆生徒数
◆校地面積
これくらいしかありません。
東大以外の大学実績については、統一基準を設けられないのでここでは取り上げません。
生徒数や校地面積を比較しても意味がないのでこれも取り上げません。
そうすると、あとは主観的なお話になってしまいます。
◆今や時代の流れは別学より共学だ
そんな声も聞きますが、曖昧すぎて評価できません。たしかに最近新規開校する学校は共学校ばかりですが。
もう一つの考え方として、ジェンダーの問題を指摘する人もいます。
時代の流れに逆行しているというのですね。
しかし、私立ですから、受験生が選択することができます。
男子校(女子校)が許せないのなら受験しなければよい話です。
◆欧米ではすでに別学は時代遅れだ
海外の教育事情と日本の教育事情を比較することは無意味です。
また、欧米>日本 という価値観にも賛同できません。
例えば、少子化対策が悉く空振りの日本ですが、フランスが出生率の低下を食い止め、上昇に転じたことは有名ですね。(最近はまた下がってきています)
その大きな理由としては、結婚と出産を切り離せたことが上げらます。婚外子の割合が6割ほどとなっているのです。
それをそのまま日本に導入できるかどうか、また導入すべきかどうか、少し考えればわかります。
◆新しい教育は共学にある
これは多少当てはまります。
共学の進学校は歴史の浅い学校が大半なのです。
したがって、旧態依然とした古めかしい教育とは無縁です。100年以上守り通した教育理念といったものもありません。
世界に目を向けた新しい教育を実践できる土壌があるのは確かでしょう。
◆男女がともに学ぶのが自然な姿
これは説得力があります。
小学校は男女が一緒に学びます。大学もほとんどは男女が一緒です。それなのに中高だけ男女を分けるのは不自然だという考えですね。
また、全国的には公立中学→公立高校 の流れが主流ですので、首都圏に多い別学教育というのは異端(それは言い過ぎですが)という見方もあるかもしれません。
◆男女の正しい関係を身に着けられるのは共学
これも説得力があります。女子校育ちで男性との関係の築き方が苦手な女性、そうした観点ですね。逆の場合もあるでしょう。
ただし、この考え方のほうが、実は旧弊な観点だと私は思います。
小学校時代の「塾友」と、中高生になっても交流があるのが普通です。
また、中高一貫校生が通う塾でも男女が普通に交流します。
これらを支えるのがSNSなのです。
生徒達を見ていると、男子校だから、女子校だから、そんな意識はとくに無さそうですね。みな当たり前のように異性の友人と楽しく交流しています。
そういう時代になっているのです。
◆学校で異性の目がないほうが自由
これは好き好きですね。男子校・女子校に進学した生徒はみなこれを口にしますが、共学に進学した生徒たちは逆のことを言っています。
人生をやり直せない以上、進学した学校が「ベスト」の学校になるというだけですので。
結論
共学校と別学(男子校・女子校)を対立の構図で語ることには何の意味もありません。
極端な例をあげれば、偏差値30の共学と偏差値65の男子校(女子校)の両方に合格したら、どちらを選ぶでしょうか?
偏差値が同等の学校で、自宅から徒歩5分の共学と片道2時間かかる男子校女子校)ではどちらに進学したいですか?
指導した生徒にも、「絶対共学!」という縛りが足枷となって、本人の実力・学力・性格にふさわしい学校を選べなかった子がいました。もちろんその逆のケースも。
進学したい学校を選んでいたら、そこに別学と共学が含まれていた、そんなことで良いと思います。