中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】習い事を止める必要性とタイミング

定期的に受ける相談です。

「習い事、いつまで続けてもいいですか?」

今回はここをじっくりと考えてみましょう。

小学生の習い事の種類

とある調査によると、小学生の習い事のランキングはこうなっていました。

1.水泳

2.英会話

3.小学校の補習塾

4.ピアノ

5.習字

6.サッカー

7.計算・漢字

8.受験塾

9.ダンス

10.体操

なるほど。

だいたい予想通りですね。

7の計算・漢字というのは、たぶん公文のことだと思います。

9のダンスはいわゆるヒップホップダンスでしょうか。小学生に人気ですからね。

その他のランキングも調べてみると、

〇そろばん

〇武道・・・柔道・空手・剣道等

〇バスケットボール

〇プログラミング

こんなものが挙げられていました。

プログラミングはもっと人気があると思っていましたが。増加中ではあるそうです。

ここにピアノ以外の楽器、たとえばヴァイオリンやトランペット等が入ってこないのは、指導者が少ないことに加えて、居住環境の問題も大きいと思います。ピアノなら電子ピアノがありますが、バイオリンやトランペットなど、完全な防音室が無いと難しいでしょう。

 

これらの習い事を、いくつかに分類してみます。

 

今は大変でも将来に役に立つ

 ほとんどの習い事はここに入りますね。

計算や漢字など、楽しくやる子はいません。

しかし、ここで頑張らないと、将来困ること請け合いです。

英会話や受験塾も当然ここに含まれます。

◆受験に役に立つ

◆学生生活に役に立つ

◆社会に出てからも役に立つ

このように「実利」が見込めるものですね。

したがって、ここにはスポーツ系は入りません。

プロのスポーツ選手を目指す場合は除きます。

 

個人的には、ここには音楽系をぜひ入れたいと思います。

ピアノを弾かれる方はわかると思いますが、練習は「つらくて」「大変で」「できればやりたくない」ものです。

ハノンやツェルニーが好きですか?

私は大嫌いです。

しかし、曲が弾けたときの喜びは何物にも代えがたい。

私自身は大人になってからピアノを習い始めたので、幼少時から習っている人が羨ましい(妬ましい)のです。

大人になってから、ピアノが弾ける人生と、ピアノが弾けない人生と、どちらが豊かな人生か考えてみればわかります。

私の知人の男性で、幼少期からバイオリンを習っていた方がいます。大学生時代には、結婚式の伴奏のアルバイトをよくやっていたとか。今でも時々弾いているそうです。かっこいいですね。羨ましい限りです。

 

スポーツ系はここの分類には入れないと書きましたが、「大人になってからサッカーができる人生」が豊かだという考えもあるかもしれません。

見解の相違というやつです。

 

今は楽しくて将来にも役に立つ

 

そんなものはありません。

それは虫が良過ぎます。

「楽しい」レベルの習い事では、「将来に役立つ」レベルに到達しないからです。

なかには、ピアノさえ弾いていれば時を忘れる、そんなタイプの子がそのままプロになるというケースもあるのかもしれませんが、一般的ではないですね。

 

もしかして「英会話」だけがここに分類されるのかもしれません。

英語でコミュニケーションをとることが楽しくて夢中で通っているうちに英語をマスターできる、そんな風なら理想的ですね。

もっとも、「英語が使える」レベルまで到達するには、相当の時間を費やす必要があると思います。

 

今は楽しいが将来には役立たない

これも多いですね。

ヒップホップダンス、プログラミング教室、サッカー、野球などが相当すると思います。

プログラミング教室は意外かもしれませんが、小学生がお遊びで習うレベルのプログラミングは将来に役立つものではありません。

今は、教育系プログラミング支援アプリがたくさんあるので、小学生でも、ちょっとしたアプリが開発できる(ような気がする)環境が充実しています。しかし大学で必要となるプログラミングとは別物です。

また、AIの発達で、もしかして近い将来「プログラミング」スキルは不要となる可能性も多いにありますね。今だと、AIに指令を出す「プロンプト」の技術が重要かな? これもすぐに不要となりそうですが。

 

今は楽しくなく、将来にも役立たない

これは最低です。

何のためにやるのか意味不明です。

あ、でも、将来は役立たなくても、今役立つようなもの、例えば水泳とか武道が当てはまるかもしれません。

厳しい指導の水泳教室。通いたくなくなりそうですね。でも、とかく運動不足の小学生にとって、怪我のリスクが少ない運動としては悪くはありません。ただしここでバタフライを泳げるようになってもさほど役には立たないでしょう。たまにホテルのプールで披露しているお馬鹿さんを見かけますが。

武道も、今の小学生にみられなくなった「礼儀」を学ぶには良いですね。また、体も鍛えられますし、柔道の受け身は役立つスキルかもしれません。

ただし、武道を将来使う場面はありません。あったらまずいです。

 

いつまで続けていい?

この質問に対する答えは簡単です。

今すぐ辞めるべきでしょう。

「いつまで続けようかな?」

この疑問が生じてしまったということは、おそらく勉強に支障が出始めているか、出る可能性が出てきたのか、どちらかだと思うからです。

時間に追われて、親子でゆとりがなくなってきているのかもしれません。

小学生が学校以外で使える時間は意外と僅かなのです。

そのわずかな時間を何に費やすのか、ちょっと考えれば結論など出ているのです。

中学受験に臨むのなら、持てる時間をすべて勉強に向けるのは当たり前です。

 

「でも、習い事を続けてても合格した人がいるって聞いたし」

そこで合格したのはお子さんではなく、他人です。そのケースが適用できる根拠はありません。

 

「でも、子どもは楽しいから辞めたくないっていうから」

それは、「楽しい習い事」「大変な受験勉強」では前者を選ぶのは当たり前です。

子どもの希望を優先することは子どもの将来に本当にプラスでしょうか?

 

「本人が、息抜きになるからっていうし」

なるほど。子どもがよく口にする(親も口にする)「息抜き」ですね。

そんなもの不要です。

子どもは勉強をさぼる口実にしているだけです。

本当に役立つ息抜きというのは、

◆ときどき立ち上がってストレッチをする

◆甘い物を食べる

◆ピアノを弾く

こうした時間です。

「息抜き」だけのために数時間費やす余裕はないはずです。

 

したがって、ピアノ等楽器系の習い事をしていたのなら、いったん辞めて、受験期間中は時々弾くくらいが良いのだと思います。

教室まで通わなければできないような習い事はいったん中止しましょう。

 

「お世話になっている習い事の先生に言い出せなくて」

バレエやピアノのような芸術系の習い事でたまに聞く話です。先生が絶対王政を敷いていて、なかなか言い出せない。あるいはスポーツ系のクラブチームなどでもあるかもしれません。

ここが親の腕の見せ所です。

円満に辞められるように知恵をしぼってください。

 

本来、「子どもの生活を充実させ」「将来を豊かにする」目的の習い事が、「子どもの未来を切り開く」受験勉強とぶつかるはずもないのです。

優先順位が大事です。