中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】近所にちょうど良い塾がない場合はどうしたらいい?

中学受験を考え始めると、最初にぶつかるのが「どの塾にしよう?」という疑問です。

しかし、近所に複数の塾があればいいのですが、必ずしもそうはいきません。

「近所に塾が全くない!」

「近所にある塾は評判が!」

「補習塾しかない!」

こうした場合はどうしたらよいのでしょうか?

今回の記事はこれがテーマです。

塾までの距離

 

近所に適当な塾が無ければ、電車・バス・自家用車等を使って通塾するしかない。

その場合、どれくら遠くの塾まで通ってもいいのだろう(普通はどれくらい)?

 

こうした疑問を持つかもしれません。

 

お答えします。

 

歩いて行ける距離

 

これが唯一解です。

 

たしかに、かつては「人気塾」というものがあり、そこまで1時間もかけて通塾するような生徒もいたようです。また、「カリスマ教師」に習いたくて遠くまで通う場合もあるでしょう。

 

しかし考えてください。

 

たかが「塾」ですよ?

 

そこまでして通う必要性ってあるのでしょうか?

 

100歩譲って考えるとして、

 

電車で2~3駅程度の距離

バスで15分程度

 

その程度までではないでしょうか。

 

中学受験の勉強をスタートするとわかりますが、本当に時間が無いのです。

お子さんの持ち時間をどれだけ有効に活用するかが最重要といってもよいでしょう。

 

通塾に時間をかける。

実に愚かなことだと思います。

 

例外として、日曜だけの通塾なら、少しの距離は問題にならないかもしれません。

週1回日曜日だけ、少し離れた「評判の良い」塾に通う。

これなら、電車も空いていますし、体力も使わずに通塾ができると思います。

それでも、30分以上の距離なら考え直すべきですね。

 

遠くの評判の良い塾より、近所の評判の〇〇な塾

こういう考え方をするべきでしょう。

 

学年で切り替えるというのは「あり」か?

 

小1~5までは、歩いていける近所の塾にお世話になり6年生の1年間だけ離れた塾に頑張って通う。

 

そうした考え方もあるでしょう。

 

ただし、一番時間が不足する受験学年で通塾に無駄な時間をとられることが問題です。

 

近所の塾は本当に「ダメ」なのでしょうか?

そこに最後までお世話になるのではいけないのでしょうか?

 

再検討すべきだと思います。

 

そもそも塾に何を期待するのか?

 

中学受験塾に期待するものはこのような点だと思います。

 

◆教科指導・・・新しい知識・解法を教えてもらう

◆カリキュラム・・・受験に向けたカリキュラムが提供される

◆教材・・・カリキュラムに沿った適切な教材

◆競争・・・他の受験生と競い合うことの効果

◆情報・・・学校情報・受験情報の提供

◆相談・・・学習相談や志望校の相談

◆安心感・・・親子の不安の解消

 

ううむ。

こうして列挙すると、もう塾に通うことでしか中学受験は不可能なような気がしてきますね。

 

しかし、これらのほとんどは、別に通塾しなくても入手可能なものばかりです。

例えばカリキュラムと教材。

四谷大塚の「予習シリーズ」を購入するだけで、適切なカリキュラムと教材が手にはいります。

それを利用した「通信教育」もあります。

もちろん、四谷大塚以外の塾でも、同様の「通信教材」」「リモート講座」が提供されています。

 

学校情報や受験情報についても、学校が発信する情報は、直接学校公式HPで入手可能です。実は学校が開催する「塾関係者向け説明会」というものがあるのですが、そこで得られる情報も、HPで公表されている情報と同等です。

つまり、「塾ならでは」の学校情報など実は無いに等しいのです。

 

また、「競争」についても、定期的に塾主催の模擬試験を受けることで可能です。

目に見える存在としてのライバルは得られませんが、受験は自分との戦いですからね。昨日の自分よりも少しでも向上することこそた重要です。

 

色々考え合わせると、塾に通わないと手に入らないものとしては、

◆教科の指導・・・授業

◆不安の解消

この2点に集約できると思います。

 

近所の塾で基本的な指導を受けつつ、定期的に外部模試を受験して立ち位置や弱点を把握しながら、子どもの不安は親が解消し、親の不安は自己解決していけば、十分中学受験は可能だと思っています。

 

それでも、海外で受験勉強をしている子に比べればはるかに恵まれていますので。

 

※ただし、このようなやり方の問題もまたあります。

それは、「予想を超えたような伸び」は期待できないということです。

受験産業は様々な方法論を駆使します。

「芝・高輪に進学できれば十分」と思っていた生徒を開成中合格まで導いたり、「いちおう豊島岡を目指してみるが、学習院女子に合格できれば万々歳」という生徒を桜蔭に合格させたり、そうした「形にならない指導力のようなものは、なかなか近所の小さな塾には期待できないと思います。

志望校についても、模試のデータでは合格可能性が20%しか出ていないのに、「この生徒は合格すると思う」と判断する場合があるのです。過去にその学校を受験した多数の生徒を指導してきた経験からくる「勘」のようなものですね。もちろんその逆もあります。

こうした「目に見えない」スキルについては、「近所の小さな塾」で得るのは無理だと思われます。もっとも大手塾の講師だからといって必ず備わっているスキルでもありませんが。

 

 

塾に頼らない受験については、こちらの記事に詳しく書きました

peter-lws.hateblo.jp