中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】6年生にとって、夏の成果はいつ出るのか?

長い夏休みの勉強、お疲れさまでした。

頑張りましたね。

私も生徒達によく言ったものです。

「今まで、夏休みってもっとキラキラしてたよな。でも今年の夏休みは朝から晩まで毎日勉強だった。偉いぞ、よく頑張った! 来年の今頃は、もっとキラキラした夏休みが待ってるからな」

さて、今回は、夏の頑張りとその成果について考察します。

そもそも夏にどんな勉強をしただろうか?

(1)塾の夏期講習

ほとんどの方は、いずれかの塾の夏期講習に参加したことでしょう。

塾によって異なりますが、15日間~25日間くらいは、ほぼ毎日のように塾に通っていたのではないでしょうか。

お通いの塾以外の塾でどんな様子だったのか気になるかもしれませんが、そんなに大きな差はありません。

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学年にもよりますが、基本的に塾の夏期講習では先取り学習はしません。

今までの総復習の位置づけとしてカリキュラムを組むのが普通です。

そうしないと、夏期講習から通塾してくれる生徒を取り逃がすという事情があるからです。

状況は6年生でも変わりません。

すでに夏前に全教科のカリキュラム学習は終了しています。

もう新たな知識・新たな解法は出尽くしているのです。

したがって、今すぐ中学受験を迎えても合格できるだけのインプットは済んでいます。

かといって、今受験しても点はまったくとれません。

そのあたりをどうするのか、そこが塾の腕の見せ所なのですね。

しかし、塾におまかせで何も考えずに通わせていただけでは、成果などあがりません。

お子さんは、どういう意識で夏期講習に通ったのでしょうか?

 

(2)穴埋め

4年生からの通塾で、段階を踏むようにして、教科学習を行ってきました。

たとえば算数はどうだったでしょうか。

和差算・分配算、消去算、つるかめ算、平均とのべ、過不足算・差集め算、集まり、年齢算 割合と比、正比例と反比例、還元算・相当算、比の性質、倍数算、売買損益、濃度、仕事算、ニュートン算 速さ、旅人算、通過算、流水算、時計算、速さと比 角度・面積・長さ、辺の比と面積の比・相似、体積・表面積、水の深さと体積、展開図、構成・分類、図形・点の移動 表とグラフ 約数と倍数、N進法、約束記号・文字式、整数・小数・分数の性質 植木算、周期算、数列、方陣算、図形と規則 場合の数 

まだまだ細かく分類できますが、ざっと書き出すとこんなかんじでしょうか。

今更ながら凄いですね。よく頑張ってきました。

しかし、1回の学習で全てを完璧にマスターできるはずなどありません。

もし四谷大塚系の塾なら、毎週の日曜テストに追われて、できなかった問題・理解できなかった単元が置き去りになっているかもしれません。SAPIXのような進度の早い塾なら、あっという間に過ぎ去る単元学習を振り返る余裕などなかったかもしれません。

いわば、穴だらけの状態で夏休みを迎えたはずです。

この夏で、それらの穴をどれだけ埋められたでしょうか?

 

そうですね。今だに穴だらけのはずです。

40日間もあったはずなのに、意外と勉強はたくさんできませんでしたね。

 

(3)入試問題演習

夏から、本格的な入試問題の演習をしてきたはずです。

5年生までのような、易しく改題された問題ではなく、素のままの入試問題を扱うのがこの夏のテーマでした。

1つの学校の1教科の入試問題を1本と数えると、全部で何本くらいできたでしょうか?

塾の教材に含まれていた入試問題も、「基本問題」などと表記されていたものは除外して、入試問題の本数に換算してみてください。

算国なら、解くだけで50分以上かかった問題が1本に相当します。

 

20本程度・・・論外の少なさです。4教科×5本では全く足りません。

60本程度・・・まだまだ足りません。4教科×15本、この程度は塾に通った受験生は皆やっています。

80本程度・・・このあたりが平均値でしょうか。塾の夏期講習で4教科×15本。家庭学習で解いた過去問が4教科×5本。合わせて80本です。

 

こうして考えると、少なくとも100本以上は解いていないと、夏に頑張ったとはとてもいえないことがわかると思います。

もちろん、ただ解いただけ、〇つけを下だけでは力になりません。解けなかった問題、間違えた問題をきちんと消化してはじめて力になるのですから。

 

夏の成果はいつ出るのか?

これについては、「成果」をどうとらえるのかが問題です。

もし「成果」=「順位・偏差値」であるのなら、答えは簡単です。

成果は出ません。

だって、受験生は皆必死になって頑張ったのですから。

周囲の受験生を思い浮かべてみてください。

皆お子さんよりも勉強量は少なかったでしょうか?

そんなことはありませんでしたね。

順位・偏差値は、相対評価です。

全員が同様に頑張ったとしたら、その集団内でのポジションは変わらないのが道理です。

ただし例外があります。

お子さんが6年生の夏前まで、本当に頑張ってはこなかった場合です。

ただ何となく塾に通い、何となく勉強をし、何となく試験を受けてきただけ。

そうして出ていた「順位・偏差値」と比べると、夏にきちんと頑張った成果は試験の成績に反映します。

その場合は、偏差値でいえば5くらいの上昇は十分に見込める可能性がありますね。

9月の模試で成果は確認できるはずです。

 

この段階で本当に検討すべきなのは、「得点率」です。

何点とったのか(何点落としたのか)。

とくに問題演習を順調にこなした生徒は、着実に得点力を伸ばします。

今まで解けなかった単元が解けるようになる

ケアレスミスが減る

計算間違えが減る

知識が増える

漢字・語句が得点源となる

こうしたことの積み重ねで、確実に得点率は上がります。

 

7割が目標です。

ここでいう7割というのは、平均得点率のことです。

多種多様な入試問題で、コンスタントに7割以上は得点できるようになれば、ほとんどの学校に合格できます。

もし8割あれば、何もいうことはありません。

もし6割程度なら、苦戦します。

そこで、コンスタントに7割を超えることを目標として、地道に過去問演習に取り組んでいきましょう。

これこそが、今後5か月間の課題なのです。