三島由紀夫について
1925年 四谷で生まれる
学習院初等科・中等科に進学し、渋谷・松濤で暮らす
ここだけ見ると、「お坊ちゃま?」と思いますね。
その通りです。
父親は高級官僚、母親は高名な学者の娘、山の手育ちの生粋のお坊ちゃまです。
その後三島由紀夫は東京帝大から大蔵省へと進みます。
秀才ですね。
ただし、どうやら貧弱な体格がコンプレックスだったようで、その後ボディビルにのめり込むことになるのです。
16歳で「花盛りの森」が絶賛されました。
ところで、三島由紀夫がノーベル文学賞の候補になっていたことも有名な話です。
1963年の候補者80人の中に、日本人からは、三島由紀夫・谷崎潤一郎・川端康成・西脇順三郎があげられていたことがノーベル賞の資料にあるのです。
さらに資料によると、三島は「日本人候補者の中で最も大きな受賞のチャンスがある」と高く評価されていたそうで、「今後の発展を継続して見守っていく必要がある」とされていました。
川端については「賞を与えるには時期尚早」となっていますね。1968年に受賞していますので、時期が満ちたということなのでしょう。谷崎潤一郎について「日本の意見では文学界の重鎮として確固たる地位にあるというが、委員会は残念ながら違う考えを持っている」と記されているようです。
さらに、ノーベル賞選考委員会から意見を求められたドナルドキーンが、「「谷崎や川端が先を越されたら日本人は奇妙に思うだろう。三島にはこの先にもチャンスがある」といったとか。
726作品を残した三島ですが、1970年、 『豊饒の海』の第四巻『天人五衰』
を最後として衝撃的な最期を遂げました。
読むべき作品は?
この作家ほど作品を選ぶ必要のある作家はいません。
それほど多作であり、多彩な作品群を残しているのです。
大人になればどれを読んでもよいですが、小中学生ですからね。
1949『仮面の告白』
1950『青の時代』
1951-53『禁色』
1954『潮騒』
1959『鏡子の家』
1961『憂国』
1965『サド侯爵夫人』
1965-70『豊饒の海』
「潮騒」も悪くはないですが、ここでは、「金閣寺」だけをあげておきましょう。
金閣寺
1950年の金閣の放火事件を題材とした作品です。
犯人は見習い僧侶の大学生が犯人で、動機が不明瞭であったことから、幾人かの作家が自説にもとづく小説を発表しています。
三島由紀夫は、「金閣の美への憧れと反感」を動機とする解釈で作品を書きました。
題材も衝撃的ですが、三島文学の神髄に触れるには最適な作品だと思います。
ちなみに、金閣は5年後に再建されました。
再建にあたっては、消失前の姿ではなく、創建当時の姿を再現しましたので、今私たちが見ることのできる金閣は、足利義満の栄華を思わせる迫力に満ちています。
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