中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

それでもまだ、小学生の子どもにゲームを与えますか?

今回は、私が勝手に持論を展開するだけの回となります。

まあ今までもそうだったのですが。

小学生にゲームは不要である

この考えについて書いていきます。

ゲーム機の歴史

 

実は私自身はゲームをやらないため、この項目は受け売りです。

1983 ファミリーコンピューター任天堂)登場

1989 ゲームボーイ

1990 スーパーファミコン

1994 プレイステーションソニー

2002 Xboxマイクロソフト

2006 Wii任天堂

 

現在10歳の子どもをお持ちの親の年齢が40歳とすると、生まれたのが1984年です。クリスマスプレゼントとしてゲームボーイプレイステーション等を買ってもらった世代でしょう。

親がゲームに囲まれて育ったのなら、子どもにも与えるのは普通の感覚なのかもしれませんね。

私自身が買ったことがあるのはWiiだけです。大人達で遊ぶために買いました。うちに遊びに来た大人達で、テニス大会などして盛り上がったものです。

 

なぜ小学生に与えることに反対か

 

視力が落ちる

科学的エビデンスを私は知りません。ただ、ゲーム機やスマホの小さな画面を長時間見ていることは視力に悪影響があるに違いない、そう思っているだけです。テレビに繋いで遊ぶゲームは若干マシのような気もしますが、それでも長時間モニターを見続けることは良いとはとても思えません。

実際、大人として仕事でPCを使っていても、長時間モニターを見る仕事は目が疲れますよね。まして成長途中の子どもの目に良いはずがない、と私は信じています。

視力に関しては、遺伝的要素や個人差もあるという反論も可能でしょうが、子どもにリスクとなる要因を1つでも取り除くのが親の当然の義務だと私は思うのです。

 

時間が無駄

これは厳然たる事実です。

ゲームをやっている時間は、まったく無駄な時間です。

小学生がどれだけゲームに時間を費やしているのかについては様々な調査があり、これといった数値があげづらのですが、平均して1~2時間という結果のようですね。

小学生が小学校に行っている時間は、通学時間を合わせて考えると、8時~16時までの8時間くらいです。1日24時間から、この8時間を引き、睡眠時間の9時間を引き、さらに食事・入浴等の時間を引くと、いったいどれくらいの時間が残るでしょうか。

おそらくは、頑張っても5時間程度しか残らないと思います。

その5時間のうちの1~2時間をゲームに費やすということは、成長期の人生の時間の2割~4割をゲームに捧げることになりますね。

そう書くと、「そうはいっても、テレビを見ていても漫画を読んでいても同じように無駄な時間じゃないか」という反論が聞こえてきそうです。

そうです。それもまた無駄な時間です。

ただし、少なくともテレビや漫画には、次に述べる中毒性が無い(低い)という特徴があります。

 

強烈な中毒性

 電車に乗っていると、乗客の多くがスマホを片手にしています。何を見ているのかまでは知りません。私と同様kindleで読書をしているのかもしれません。

とある調査によると、12%の人がゲームをやっているとありました。

電車の中で何をしていようと大きなお世話ではあるのですが、いい年した大人達が、夢中になって小刻みにスマホの上で指を動かしている姿は、「みっともない」と私は思っています。なかには、そのまま電車を降りてホームを歩きながらゲームを続けている大人も見かけます。

周囲の目など気にならぬほど大人でものめりこむ中毒性があるのでしょう。

まして子どもです。

ゲームの強烈な中毒性にはまるなというほうが無理ですね。

一度ゲームを与えてしまえば、そうした運命が待っているのだと思います。

 

攻撃性について

これについては様々な研究がなされてはいるようですが、いまだ結論には至っていないようです。

「暴力的なテレビゲームが表情認知に与える影響は長期的である一方で、攻撃性に与える影響は短期的であることが示唆された」とは東大の研究者の論文にあった言葉です。その他、子どもの暴力傾向や犯罪への影響についてはわかっていません。

わかっていない以上、問題はないと考えるのか、問題があるかもしれないと考えるのかは、ご家庭の方針ということでしょう。

私は後者の立場です。

その昔、ゲームセンターに、向かってくるゾンビを銃で打ち倒すゲームがありました。100円硬貨を山積みにしてやったことがあります。クリアするまで面白く遊びました。しかし、このゲームを自分の子どもにやらせたいかといえば、全力でNOですね。情操教育上プラスとはとても思えませんので。

同様の理由で、戦闘系のアニメを子どもに見せることにも反対です。「アンパンマン」もあまり好きではありません。最後に「アンパンチ!」で暴力的に解決するだけだからです。(そこには作者の思いが込められているそうですが、ここではそれは論じません)

ゲームから得るもの

ゲーム好きな知人に言わせると、今のゲームは昔とは全然違う。物語性や世界観がとても深くて感動するというのです。私にもしきりにすすめてくれるのですが、ゲームに偏見を持っている私としては、その程度の物語性や世界観に興味はありません。

子どもたちにも、R・R・トールキンや、C・S・ルイスを読んでほしいと思います。はるかに豊穣な世界が広がっています。

 

リアルな世界の大切さ

 ゲームから得られるもの(そんなものが存在すると仮定して)と、ゲームをやることで失われるものを考えればわかります。

小学校も中学校も、社会生活を学ぶ場です。友人たちとの交流で、友情をはぐくんだり傷ついたり、そうした経験を経て育っていく貴重な体験があると思います。

夕暮れの公園で集まってゲームをしている子どもたちを見ると、可哀そうになってきます。それも楽しい遊びなのかもしれませんが、そこに会話がほとんどないからです。

 

 

ゲームを与えない方法

 

簡単です。

買い与えなければいいだけです。

 

問題その1 祖父母の甘やかし

しかしながら、鬼門があります。祖父母の甘やかしです。

 

小学生ですから、まわりがゲームを持っていれば欲しくなるのは無理ありません。

祖父母に「誕生日プレゼントは何が欲しい?」などと聞かれれば、「ゲーム!」と答える子も多そうです。孫にそう言われればプレゼントする祖父母も多そうですね。

いったん祖父母が「プレゼント」として与えたものを取り上げたり突き返したりするわけにはいきません。それは失礼な行為だからです。

 

したがって、あらかじめ祖父母には宣言しておかなくてはなりません。

「本人がどれだけ欲しがろうと、絶対にゲームだけはプレゼントしないでください!」

実の親にならはっきりと言うことができても、義理の親にはなかなかここまで言いづらいかもしれませんね。夫婦で意思統一して祖父母にきちんとあらかじめ話を通しておきましょう。

 

問題その2 友達に誘われる

 

互いの家に行き来したり公園でよく遊ぶ仲なら、友達が持っているゲームを借りてプレイする機会もあるでしょう。

さすがにこれを防ぐことはできませんし、防ぐ必要もないでしょう。

ただし、特定の友達の家へ入り浸ったり、小学校からの帰りが根拠なく遅かったりしたら要注意ですね。

単にゲームをやらせてくれるだけの理由で通っているようでは困ります。

親に隠れてゲームをやる子になってはいけません。

 

屁理屈 みんな持っている(やっている)

子ども特有の屁理屈がこれです。

「みんな持ってるから」

「ゲームを持ってないと仲間外れになるから」

「話題についていけなくなるから」

子どもがこう言うのを聞いて、

「そうか。それは可哀そうだな。よし、買ってあげよう」と思うなら、もうこの記事を読む必要はありません。そういう方針のご家庭というだけですので。

 

親が確固たる信念と考えのもと、子どもにゲームを与えない決断をしたのなら、「まわりのみんなが〇〇だから」という言説に惑わされることはないはずです。

 

もちろん、子どもに「なぜ我が家ではあなたにゲームを買い与えないのか」について、きちんと説明しなくてはなりません。たぶんそれで納得する子は、ゲームを持たせても大丈夫な子だと思います。大半の子は納得も理解もしないでしょう。でも、だからといって説明を省くわけにはいきませんね。

 

◆大人になってから子どものときの共通体験で盛り上がれない

先日、とある知人に指摘されました。

「大人になってから子どもの頃に見たテレビ番組や漫画の話題で盛り上がることってあるでしょ? 今の子供たちは大人になってから昔のゲームの話で盛り上がるんだよ。それが出来ないのは可哀そうだ」

なるほど。

実にどうでもいいですね。

今の大人たちだって、「子どものころにもっとアニメをたくさん見ておけばよかった。そうしたら話題に入れるのに」なんて後悔していないですから。

 

スマホゲームは要注意

 

ゲーム専用機を買い与えないだけでは不十分です。

スマホタブレットPCで遊べるゲームがたくさんあるからです。

 

「勉強に使うから」という理由で、自由に使えるタブレットPCを与えてはいませんか?

「もう使わないから」という理由で、古いスマホWifi接続できる状態)を与えてはいませんか?

 

小学生の学習にタブレットPCは不要です。

国の方針で学校から渡されているものがあるかもしれませんが、それはゲームができない設定になっているはず。

 

子どものスマホゲームの課金についての問題はよくニュースにもなりますね。

国民生活センターによると、子どものオンラインゲームに関する相談件数は年間4000件以上で、課金額の平均は33万円だそうです。100万円以上の課金に関する相談が6%以上だとありました。

相談の半数は小学生のものだそうです。

親のクレジットカードが登録された状態のスマホを子どもに自由に使わせていた、そんなケースがほとんどです。

さてここで気になるのは、子ども本人が自覚していたかどうかですね。

私はオンラインゲームを触ったこともないのでわからないのですが、課金って、ゲームをやっている本人が知らない間にされてしまうものなのですか?

さすがにそれでは詐欺ですね。

ということは、ゲームをやっている本人が、はっきり自覚したうえで、親のクレジットカードで課金している、そういうことでしょうか。

 

そうなると、もはやオンラインゲームが問題なのではない気がしてきました。

 

親のカードから勝手に金を盗むことが平気な子ども。

 

これは、親の財布から現金を盗むことが常習化していることとイコールです。

財布から年間100万円以上子どもが盗んでいるのを笑って見過ごせますか?

 

根本的な子育てに問題があるのでは?

 

そうでないなら、オンラインゲームの魔力は、正常な親子関係や子どものしつけをも簡単に壊してしまう「麻薬」ということですね。

 

高額課金以外にも、子どもが悪意ある大人とオンラインゲームを通してつながってしまい、性犯罪の被害者となる、そんな事件も後を絶ちません。

 

そうした哀しいニュースを目にするたびに思うのです。

 

どうしてスマホを与えた?