中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

小学校低学年の夏休み:中学受験に向けた基礎力アップの過ごし方

今回は、小学校1年生~3年生、いわゆる低学年の夏休みの過ごし方について考えてみます。

最重要なのは学習習慣を維持すること

ふだん小学校に通っていると、自然と1週間の時間の過ごし方というものができてきます。

08:00 登校

14:30 下校(週3回は15:30下校)

この小学校のタイムスケジュールを基準に、その他のスケジュールが自然と決まってきます。

この時期は、習い事で忙しい生徒も多いですね。

人気の習い事ランキングなどというものを見ても、週1~2回は習い事をしている生徒が多数のようです。

◆運動系・・・水泳・サッカー・野球・新体操

◆芸術系・・・ピアノ・バイオリン・バレエ

◆学習系・・・英語・くもん・習字・そろばん・学習塾

◆その他・・・ヒップホップダンス・武道

おそらく、こうした習い事に行く日には、たいして勉強はできないと思います。せいぜい学校の宿題程度でしょうか。

そこで、習い事の無い日や土日を利用して、中学入試に備えた何らかの学習をすることになりますね。

 

しかし、夏休みは、小学校に行かない時間を、丸々家庭学習にあてることが可能です。

最重要なのは、これです。

★小学校に通学しているときと同じ起床時間・就寝時間を維持

そのうえで、8:00~14:30(15:30)のおよそ7時間をどのように活用するかの計画を立てましょう。

 

時間割をつくる

 

いくつかの小学校の時間割を調べてみました。

08:00 登校&朝の会など
08:45~09:30 1時間目
09:35~10:20 2時間目
10:20~10:40 中休み
10:40~11:25 3時間目
11:30~12:15 4時間目
12:15~12:55 給食
12:55~13:10 掃除
13:10~13:30 昼休み
13:30~14:15 5時間目
14:20~15:05 6時間目
15:05~15:15 帰りの会
15:15 下校

こうしてみてみると、小学生って忙しいのですね。5分単位で、緻密にスケジュールが組まれています。5時間目までしか授業が無い日に、クラブ活動が行われるのが普通のようです。

せっかくこうした細かいスケジュールに馴染んでいるのですから、これを利用しない手はありません。

そこで、そのまま全く同じタイムスケジュールで夏休みを過ごすことを提案します。

※勉強時間は1コマ45分×5or6コマ

※5分休憩・20分中休み・20分昼休みを設定

※掃除タイムも重要

とくにこの掃除タイムは素敵です。

毎日15分掃除を手伝ってもらいましょう。

朝の会では、その日にやる学習スケジュールの確認と、教材を用意する時間を設けるとよいと思います。

帰りの会では、その日にこなした学習内容の確認と達成度等をチェックするとよいでしょう。

 

低学年なのにこんなに勉強するの?

そうです。

「低学年だからそんなに勉強しなくていい」理由はありません。

◆長時間勉強させて可哀そう

 勉強しない・できないほうがよほど可哀そうです。

正直いって、低学年で学んだことが、そのまま中学受験に役立つわけではありません。

低学年の学習は、高学年になって本格的な中学受験勉強を始める前の土台作り・足慣らしです。

これをやるのとやらないのでは大きな違いがあります。

そもそも、毎日小学校で勉強しているのと同じ時間勉強するだけです。何の問題もありいません。

◆あんまり早くから勉強させると息切れすると聞いた

嘘です。

早くから取り組もうが遅くから取り組もうが、息切れする子もしない子もいます。みなさん、英語やピアノ・バレエなどには幼稚園前から取り組ませることに違和感を持たないのに、なぜ勉強だけ違和感を持つのか私には不思議です。しかも、どちらのほうが将来に向けて役立つのかは明らかなのに。

◆夏休みくらい思いっきり遊ばせたい

どこで、何をして遊ぶのですか?

猛暑の夏休みです。外遊びは非現実的です。

まさか毎日プールに連れていくわけにはいかないでしょう。

毎日友達の家に集まりますか?

今時の小学生が集まってする遊びは、ほとんど「ゲーム」です。

涼しい高原の別荘でもない限り、「思いっきり遊ぶ夏休み」は昭和の映画の中にしかありません。

 

学習環境を作る

小学校や塾であれば、「教室」という、勉強に特化した環境があります。勉強専用の机と椅子があり、そこに座れば正面には黒板があります。否が応でも勉強気分が盛り上がる?こと間違いなしですね。

しかし、家庭ではそうはいきません。

低学年ですと、専用の子ども部屋がないご家庭も多いでしょう。兄弟と共有であったり、リビング学習であったり。

リビング学習はなかなか効果的な学習法なのですが、家族全員の協力が不可欠です。

テレビも会話も相当な制約が伴います。

 

そこでお勧めなのは、専用の学習スペースを作ることです。

父親の書斎でもあれば、そこに子供用の学習机を設置します。

そうした部屋がなくともかまいません。

廊下の突き当り、階段の踊り場、リビングの片隅、両親の寝室の片隅、どんなところでもかまいません。

「勉強はここでする」と決めた場所を作ってほしいのです。

親の視界の隅に子どもをとらえておけるような場所、気配が伝わる場所がいいですね。

※できれば、子ども部屋(ベッドが置かれている部屋)は避けましょう。

低学年の子が、誰の目も届かないところで45分間集中して学習できるはずがないからです。

どうせすぐに出てくるにきまっています。意味もなく冷蔵庫の扉を開けてのぞきこんだりしていませんか?

 

学習用の机は、必ず専用のものを準備してください。

ただし、よく家具店で見かけるような「学習デスク」はいりません。

引き出しやライトや本棚やコンセント等が完備されていていかにも使い勝手がよさそうにみえますが、そんな立派なデスクは不要です。

便利そうに見える机の引き出しも、ゴミ溜めになるだけです。

小学校の机のサイズは、JIS規格で、450㎜×650㎜と決まっています。

このサイズがあれば、勉強は支障なくできるのです。

もちろん、わざわざ学校用の机・椅子を買い求めなくてもかまいません。ご家庭にあるものを流用してください。

ただし、机と椅子の高さのバランス にはこだわってください。

学習姿勢は、視力にも影響する重要な要素です。

 

学習机についてはこの記事で詳細に考察しています。

peter-lws.hateblo.jp

 

何をやらせるか?

 

ここが一番悩ましいところですね。

低学年用の学習教材を探すのが大変なのです。

書店に行けば、眩暈がするほどたくさんの問題集等が並んでいます。それらは大別するとこのようになっています。

①受験のための先取り学習教材

②小学校の復習内容の教材

③知育系の教材

④反復練習ドリル

 

まず、①はやめましょう。

受験に向けてのカリキュラムは、4年生春からスタートします。それを1年・2年先どってもさほどの効果は見込めません。

また、この時期にあまりに難しい内容を教えると消化不要になるばかりか、勉強嫌いを育てるだけとなります。

②もやめましょう。

そもそも簡単すぎてやる意味はありません。小学校の勉強についていけない生徒を対象としているからです。やたらにカラフルであったり、イラストや漫画が豊富なのが特徴です。

③は、玉石混交ですね。実際に手にとってみて、内容に感心したのなら良いと思います。ただし、これをやったからといって「思考力が育つ」ものでもありません。ただ、子どもが興味を持ちそうなものも多いので、お子さんがはまれば悪くないでしょう。

例として、「サピックス きらめき算数脳」シリーズをあげておきます。パズルのような算数の問題が集められていますが、良問揃いです。

結局のところ、④の反復練習ドリルが中心となるのですね。これはやむを得ないと思います。ただし、こればっかりというのはつまらない。そこでお勧めなのは、学年を1つあげた小学校のまとめ問題集的なものです。

お子さんが3年生なら、4年生用のものがいいでしょう。

たぶんそれでも簡単だと思います。しかし、多少は歯ごたえのある問題もあると思います。

 

通信教育について

 定期的に教材が届くのは魅力的です。あれこれ教材選びで書店を物色しなくても済みますので。ただし、意外に選択肢は限られます。

 ためしに通信教育の老舗、Z会のHPをのぞいてみました。

小学1・2年生用の講座もありますね。

国語・算数・経験学習というのが主要教科のようです。「経験学習」というのは若干謎ですが、理科・社会の導入のようなものですね。正直言って、「おまけ」レベルだと思いますが、邪魔にはならないでしょう。また、オプション教材の「みらい思考力ワーク」というのがさらに謎です。思考力養成を目指しているようですが、低学年対象のこうした教材は、ただの「パズル」になりがちなので、不要だと思います。

英語・プログラミング学習だけがデジタル教材です。

お得意の「Z会専用タブレット」を買わされるのかと思ったら、すでに所有しているスマホタブレットでもよいそうです。

英語はまだしも、「プログラミング学習」は不要です。これを断ってその分安くしてほしいのですが、セットになっているようです。

 

プログラミング学習についてはここで考察しています。

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その他の通信教材については、この記事で詳しく書きました。

 

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