中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【海外家族旅行】鉄道旅行が絶対お薦めだが、注意するべき点もある

前回の記事の続きです。

絶対お薦めなヨーロッパ鉄道旅行ですが、注意点もあります。

 

治安の問題

窃盗・スリに注意しよう

ヨーロッパに限らず、海外に旅行するときには常につきまとう問題です。最近は日本も治安が悪くなったとはいわれていますが、比べ物にはなりません。

駅には、不特定多数の人間が出入りし、しかも現地に不案内な人間が多くいます。移動手段も集まっています。まさに窃盗犯の天下です。

私自身は被害にあったことはありませんが、知人はフランクフルト駅で財布を盗られたそうです。まあこの場合は本人の責任です。長財布一つに全財産を入れてポケットからはみ出させていたそうですので。

日本では通用するスタイルかもしれませんが(日本でもダメでしょう)、海外では完全にアウトです。しかも全財産を一つに集約するなんて信じられません。

私は、ドイツ・フランス・ベルギー・イギリスなどヨーロッパでも北部を旅するときには、ジッパーで開閉するコンパクトな安物の財布に、カード1枚と紙幣・小銭を入れて、ズボンの横ポケット深くに入れています。人込みを通過する際には右手をポケットに入れて財布を握っています。これで今までノートラブルでした。

ギリシア・イタリアを旅したときには、財布すら持ち歩きませんでした。カーゴパンツの下のほう、脚の腿あたりのジッパー付きポケットに、右には紙幣数枚、左にはカードを1枚、小銭は右ポケット、そんなスタイルです。さらに荷物として、網でできた袋にタオルとミネラルウォーターを入れて持ち歩きました。何が入っているのか一目でバレバレな袋です。これに加えて、全身からにじみ出る「いかにも金が無さそうなオーラ」。残念ながら演技ではありませんが、これで完璧ですね。

とくに子連れ家族旅行の場合は、どうしてもお子さんのほうに集中力を削がれますので、より一層の注意が必要です。

 

 

 

テロが心配

以前こんなニュースを目にしました。10年近く前の事件です。アムステルダムからパリへ向かうベルギー国鉄「タリス」車内で、発砲事件があったのです。犯人のテロリストがトイレ内で銃を装填している音を聞きつけた乗客が、テロリストを制圧しようとして発泡があったのですね。たまたま休暇中のアメリカ兵数名も協力して取り押さえたということでした。

この事件以降、タリスのホームではセキュリティチェックが行われるようになりました。今はどうなのかな?

そこまで極端なケースを心配していたら海外旅行など一切できなくなりますので、私は気にしないことにはしています。

ところで、物乞いの青年なんていうのもホームで見かけます。ホームレス感のない普通の青年が、なにやら近寄って話かけてきたら疑いましょう。

治安を考えると、一等車両がお勧めです。

なんとなくのイメージ(偏見?)ですが、テロリストは2等車両に乗っていそうじゃないですか。

 

カードの不正には注意

 これは鉄道旅行に限った話ではありませんが、クレジットカードの不正利用には気を付けましょう。

私は過去に2回、カード情報を悪用されたことがあります。一度はおそらくアメリカのホテルでやられました。大手ホテルチェーンのフロントでたぶんカード情報を抜き取られたのです。そのカードはそのホテルでしか使わなかったので間違いないでしょう。数週間後に、カード会社から問い合わせがあって判明しました。誰かが私のカード番号でアメリカで買い物しようとしていたのです。もう1回は、ヨーロッパのどこかだと思うのですが、不明です。ネットショッピングの時かもしれません。私のカードのクローンカードが中東のどこかの国で使われようとしたとのことでした。どちらもカード会社のセキュリティのおかげで被害はなかったのですが、その後カードを切り替える、つまり元のカードの無効措置をとったため、そのカードに紐づいていた全ての支払い先で手続きが必要になりものすごく面倒くさいことになりました。

以来、旅行用には普段全く使っていないカードを1枚だけ買い物用として使うことにしています。

 

駅周辺の様子

正直言って、主要駅周辺の治安は良いとはいえません。パリ北駅に行くと、駅前に昼間からお金のなさそうな移民の方々がたむろしています。もしかして良い人たちなのかもしれませんが、なかなかそうは見えません。どこに行っても、駅周辺はそんなかんじですね。町に出ても、駅近くの裏道など、ビルにペンキの落書きだらけです。

ビルにペンキの落書きがあるエリアは治安が悪い。

これは鉄則です。昼間はまだしも、夜は近寄らないほうがよいですね。

 

食事はどうする?

ベルギー国鉄のタリスに乗ると、軽食がサーブされるはずです。

タリスといえば、ルビーレッドの「赤い貴婦人」とよばれる素敵な高速列車です。私も何度も利用しています。

タリス軽食

ほんのちょっとした軽食でも嬉しいものです。

味については当たりと外れが混在しています。キッシュは美味しかったですが、ローストビーフは・・・。このパスタは当たりのほうです。

タリス軽食

ちなみに軽食が出るのは一等車両だけです。

駅の中には、軽食が買える場所がたくさんありますので、そこでサンドイッチなど買うのはいいですね。パリの駅だと、リクエストに応じて作ってくれるバゲットサンドが美味しいです。

そうしてみると、日本の駅弁ってすばらしいですね。

けっこう美味しいものがコンパクトにぎゅっと詰まっています。

ご当地のものも食べられます。

私は仙台の牛タン弁当が大好きです。

 

また、目的地の駅に着くのが遅い時間になったときも、駅の売店は使えます。

ドイツは20時になるとほとんどの店は閉まります。気を付けないと、夕食にあぶれます。ホテルに行く前に、駅構内の売店で何か買っておいたほうがよさそうです。

ホテルで軽食

これはたぶんアムステルダムのホテルの部屋で食べた寂しい夕食です。もう疲れてしまい、街に食事に繰り出す元気が無かったので、駅構内で買った軽食&ビールで簡単に済ませたのでした。海苔巻きとビールがあれば少し元気が取り戻せそうです。

そうです、もう海苔巻き程度ならどこでも普通に売られているのです。(味はこの際無視)

 

その他のアドバイス

1等車両にしよう

 どうせ乗るなら1等車両にしましょう。もともとの料金もそう高くはないですし、1等の贅沢を味わうべきです。

しかも、治安面を考えても、家族旅行なら1等車両のほうがおすすめです。

 

駅のホームがわかりにくい

日本の鉄道は、どの列車がどのホームか確定していますよね。その日本の常識がヨーロッパでは通用しません。列車が到着する直前にならないとホームがわからないのです。

大きな電光掲示板に表示されるのですが、1時間前になってもまだホーム番号は表示されません。10分前なんて時もありました。しかも、パリ北駅やフランクフルト中央駅など、始発駅の構内は広い。ホーム番号が表示されてから一斉に客が小走りで荷物を引きずって移動する光景をよく見ます。

また、同じホームから逆方向への2種類の車両が出るのも普通です。ホーム番号だけを確認して逆方向の列車に乗り込むと悲劇です。

 

よく遅れるし変更が多い。

やっとホームを確認して列車の到着を待っていると、何かドイツ語のアナウンスが。するとホームの乗客が一斉に移動を始めたのです。

これは、列車遅延によりホーム変更です。

よくある話です。

ドイツと聞くといかにも緻密な計画を実行する国民性を期待しますが、ドイツ国鉄にはそれは期待できません。

鉄道旅行には、余裕をもったスケジューリングが必須です。日本の鉄道の正確さは世界でも異色だと思いましょう。くれぐれもタイトな乗換え設定をしないことが肝心ですね。

 

チケットは事前に日本で買うのが吉

ドイツ国鉄・ベルギー国鉄・フランス国鉄、各鉄道会社のHPからネットで買えます。駅の券売所で現地語で交渉できる語学力があればよいのですが、そうであっても事前に買うほうが安心です。自宅のプリンターでチケットをプリントアウトして持参すればOKです。

その他にも、予約代行サイトもいくつもありますね。私はいつも直接鉄道会社のオフィシャルHPから購入するので利用したことはありませんが、便利そうではあります。

もっとも、いくつものチケットを一度にネットで買っていたら、クレジットカード会社から電話がかかってきました。不正利用を疑われたようですね。

 

Quiet Zoneがある

車両によっては、Quiet Zoneが設けられています。静かにしないと怒られそうです。

 

子ども料金に注意

細かく子供料金が設定されている場合があります。割安で助かるのですが、購入ミスに注意してください。私は1歳間違えて買ってしまい、車内で3倍の料金を徴収された苦い失敗があります。

 

進行方向に注意

誰だって、後ろ向きには座りたくないですよね。景色が楽しみづらいです。しかし、ヨーロッパの鉄道は、切符を予約するときに座席も選ぶのですが、どちらが進行方向かよくわからないのです。車両の真ん中に対面グループ席があって、車両の前後の座席は真ん中を向いて固定されている場合がほとんどです。ホームに入ってきた車両が、出発するときは入ってきた方向に出ていく、そんなこともよくあります。鉄道に詳しい方ならわかるのかもしれませんが、私には無理です。

 

駅構内にベンチはない

無いわけではないですが、長距離列車の発着ホームには無いのが普通です。ホームで暮らす人を防止するのが目的なのかもしれません。余裕を持った時間に駅には行きたいですよね。そうすると、座れる場所はありませんので、構内のカフェの椅子を確保するしか手はありません。早朝だと空いているカフェが少ないので要注意です。

 

トイレは有料

これは有名な話ですね。

 

荷物はいっそのことリュックにする

海外旅行というと、みんな考えるのが、車輪が4つついたスーツケースですね。最近は軽量なものも多いですし、様々なサイズがそろっています。

ちょっとスーツケースレンタル会社のHPをのぞいてみると、10泊以上のヨーロッパ旅行のおすすめサイズは、90L以上とありました。3辺の合計が160㎝以上で重量が5.7㎏とありました。他を調べてみてもだいたい同じようなサイズのものが推奨されています。

長距離列車だと、出入口付近にスーツケース等を置く棚があります。機内持ち込みサイズ程度なら座席上の棚におけますが、大きなスーツケースはここに置きましょう。こんなところに置き去りにして盗まれないのか? と不安になりますが、意外と盗まれないそうです。荷物の中に金目のものを入れないのが常識なので、窃盗犯も狙わないということのようですね。

「旅の達人が教える失敗しないスーツケースの選び方」といったものにも、海外旅行では4輪キャスターのハードケースが推奨されています。

しかし、ヨーロッパ旅行では、このタイプは不適です。

ヨーロッパの道は、路面が荒れているからです。

古い石畳の道ばかりです。しかも何百年も前に作られたような道は、でこぼこを通り越してがたがたです。つまずかないように歩くのすら苦労する道で、スーツケースの4輪キャスターは無力です。結局持ち上げて歩くことになります。

「お勧め」のLLサイズのスーツケース、飛行機に預ける重量制限の20㎏~30㎏(超過料金がかかる)を持ち上げて運べますか?

空港とホテルの間をタクシーで移動するだけ。そういう旅でなければ4輪キャスター大型ハードケースは不便意外の何者でもありませんね。実は、最初のヨーロッパ旅行で、中型のハードケースを使っていて、右手首を痛めて以来、絶対にヨーロッパ旅行では使わないことに決めました。

 

私が愛用しているのは、アメリカの登山リュックブランド「オスプレー」の「オゾン」というシリーズです。このシリーズだけで大きさ違いで4個も持っているほど気に入っています。このシリーズの特徴は、2輪だということです。しかもとても大きくて丈夫な車輪がついています。10センチ程度の段差なら何の苦もなく乗り越えられます。ヨーロッパの石畳で立ち往生したくなければ最適解だと思います。

一番出番が多いのが、46リットルの容量の機内持ち込みサイズのものです。これは重量が2キログラムを切るのです。これに着替えをつめて、総重量が7キログラム程度の荷物となります。これでヨーロッパを2週間くらいは平気です。たぶん2か月でもいけるでしょう。

それが可能なのは、旅行中に洗濯するという決断をしたからです。

毎日ホテルで洗濯をする。

そう決めてしまえば、荷物の量は極端に減らせます。今着ているもの以外に、もう一組の服があればいいからです。実際には予備をもう少し入れておきますが、予備が登場する機会は意外とありません。

さらに奥の手もあります。下着や靴下類は着古した物を持っていくという作戦です。脱いだらゴミ箱行きにするのです。こうすると、日々荷物が減っていきます。そのかわりお土産が取って代わるのです。

旅行は新しい下着じゃないと嫌だ!という方もいるでしょうから、万人にお勧めできる作戦ではありません。

 

実は、一度このオスプレーすら使わずに、リュック一つでヨーロッパを回ったことがあります。もともと荷物の量は最小ですので、リュックでも間に合うのです。

これは快適でした。荷物を預け入れしないと、いち早く空港を脱出できますので、時間が有効に使えるのです。もちろん鉄道旅行でも快適です。

お薦めの作戦です。