中学受験は情報戦だなんて言われています。
では、必要な情報はどうやって手に入れればよいのでしょう?
今回はこのあたりを深堀してみます。
情報の種類
ここを整理してみましょう
- 受験までの段階で必要となる情報
- 受験に必要な情報
- 中学生で必要な情報
まずは時系列で必要な情報を整理します。
1.受験までに必要となる情報
ここには、以下のものがあります。
①塾についての情報
②勉強内容に関する情報
③子どもの学力に関する情報
中学受験を考えた段階で塾を選ぶ方が大半だと思います。
実績・教材・指導力等さまざまな情報を集めます。
そして、いざ受験勉強をはじめたとして、勉強のやらせ方や解き方等、勉強内容に関する情報も必要です。
さらに、子ども本人の学力、偏差値、順位、合格可能性、弱点、さまざまな情報も重要ですね。
2.受験に必要な情報
これは、試験日・入試の難易度・出題傾向など、学校を受験するために必要な情報です。
3.中学生で必要な情報
例えば吹奏楽や新体操など特定のクラブ活動を希望するなら、学校にそのクラブがあるかどうかが知りたいですね。また、宿題の多さや塾通いする生徒の割合、指導内容やレベル、さらには大学実績など、学校に関連する情報を集めないことには学校選びが進みません。
情報の入手先
次に、こうした情報の入手先について考えます。
- 塾から
- 雑誌から
- ママ友から
- 学校のHPから
- ネットニュースから
- ネット掲示板から
- ブログから
- 受験アドバイザーから
だいたいこのようになるでしょうか。
1.塾からの情報
まずはこれが情報集めの基本です。
お通いの塾が、日能研・四谷大塚・サピックス・早稲田アカデミーといった四大塾や、例えば都内に数十教室は展開しているような規模の大きな塾であれば、そこの情報は信頼してよいと思います。
情報は蓄積されていくものです。
1学年5000人を超える生徒がいて、30年以上も続いている塾であれば、多様な学校への合格者(不合格者も)の成績データや受験パターンの情報を持っています。学校との付き合いもあり、様々な学校情報も入手可能です。なにより塾を卒業して中高に進学した生徒からの情報フィードバックにより「生の生徒の声」も持っています。
模試の偏差値情報も精度が高くなります。
こうした大手塾の発信する情報は、おおむね信頼して良いと考えられます。
※小規模塾には要注意
残念ながら、小規模塾には大手塾のような情報の集積は期待できません。また、中には完全に間違った情報を平然と外部に発信している恐るべき塾まで存在します。
どこの塾か忘れましたが、「開成の最寄り駅は秋葉原」などと発信しているところを見かけました。びっくりですね。
2.雑誌から
書店等で一般に販売されている雑誌なら、信頼性が高いと普通は思いますね。ところが必ずしもそうとはいえないからやっかいです。
普通、出版社には中学受験の専門家などいません。したがって記事をつくるにあたっては、「中学受験の専門家」なる人物の協力を仰ぐのです。
この「中学受験の専門家」が曲者です。まさに玉石混交だからです。
「大手塾の情報セクション責任者」といった人物なら大丈夫でしょう。会社の評判に関わりますので、そう変な情報を垂れ流すとは思われません。
「教育評論家」については何ともいえません。例えば公立中高の教諭歴40年などと言う人物が出てきても、中学受験については無知だからです。
「教育系ライター」も、様々な人がいますね。綿密な取材力を誇る方ならよいと思いますが、「自分の子どもを2人東大に進学させた」程度の母親が専門家を名乗っていたりもしますので。
「聞いたことのない塾の塾長」も怪しいものです。生徒指導歴がたいしたことのない人物もいるからです。
「カリスマ家庭教師の〇〇先生」もあまり参考にならないですね。だいたいにおいて、「誰もが知っている当たり前のことをもっともらしく述べている」だけだからです。
書店で雑誌を手に取った際に、その記事のニュースソースを確認することをお勧めします。
こうした雑誌の中には、ビジネス系雑誌のファミリー版のような位置づけで、定期的に中学受験特集を打ち出しているものも多くみかけます。
記者が綿密に各中学校や塾に取材をして記事を構成しているものもありますね。
どうしても読者層の「子どもを持つビジネスマン」対象の記事であるため、バイアスがかかっていることを割り引けば、参考になるものも多いと思います。
私がこうした雑誌を読むときには、各学校に取材した客観データや情報は参考にしています。ただし、「来年度入試はこうなる」といった予想や「〇〇中学の難易度が上がりつつある」といった主観に基づく記事については、「〇〇塾の△△氏によると」「〇〇教育研究所所長の△△氏談」などとなっている場合がほとんどなので、そこの部分は信頼しません。
塾が作る進学情報誌というものがあります。そこに通う生徒への情報提供が主目的のものですね。以下の種類があります。
◆『Dream Navi (ドリームナビ)』(四谷大塚ーナガセ)
◆『さぴあ』(サピックス)
◆『私立中高 進学通信<関東版>』(栄光)
◆『サクセス12』(早稲田アカデミーーグローバル教育出版)
他にもいろいろありそうですが、私が思いつくのはこんなところです。
SAPIXのものが大いに気になるところですが、完全に内部の生徒向けで市販されていません。
その他の4誌の中では、進学レーダーは一般書店でもよく見かけますのでお勧めです。
これらの進学情報誌は、さすがに「塾屋」が作っているだけあって、受験生に参考になりそうな記事が多いと思います。
3.ママ友から
信頼性が低いのに、なぜか信じてしまうのがママ友情報です。
「〇〇中学は宿題が多すぎて生徒が皆病んでいるんですって」
「〇〇塾は先生の教え方が下手なんだって」
「〇〇中学は校長が変わってから良くなくなったって聞いた」
直接知人の口から聞くため、つい信じてしまいますね。
しかし、仮にその中学校に子どもが在籍している母親からの情報であったとしても、「たった一つ」のケースに基づく主観でしかありません。
参考情報の一つくらいに考えるべきでしょう。
4.学校のHPから
この情報は信頼できます。
学校の公式HPを見れば、その学校が何を大切にしているのかまで見えてきます。
例えば2026年の2月1日は日曜日です。
そうすると、ミッション系の学校の入試日が2月2日の月曜日に移行する場合があります。
いわゆる「サンデーショック」です。
従来の受験パターンが大きく変わるので、とても気になりますね。
当然、早い段階から、どの学校の受験日が移行するのか、おもに塾関係から様々な憶測が出てきます。
そうです、あくまでも憶測です。
「前回も前々回もサンデーショックのときは受験日が移行したから今度もそうなるはずです」といった。
しかし、これを鵜呑みにはできませんね。
唯一信憑性があるのは、学校の正式発表のみです。
例えば、今回はフェリスの動きが早かったです。
なんと2024年の3月の段階で、再来年、つまり現5年生の受験する2026年の入試日について公表しました。
2024.03.01
2025・2026年度入学試験日程について
2025年度・2026年度の中学校入学試験は以下の日程で実施いたします。
2025年度 2025年2月1日(土)
2026年度 2026年2月1日(日)本校はこれまで2月1日が日曜日となった年には、別日に入学試験を行ってまいりましたが、2026年度の入学試験は2月1日(日)に行います。
これなら信じられます。
それにしても今回のフェリスの動きの速さは素晴らしいですね。
受験生にとってどれだけ助かる情報か。
フェリスに対する評価がまた一つ私の中で上がりました。(もともと高評価ですが)
5.ネットニュースから
信頼性は限りなく低いですね。
「〇〇中学は来年度入試から英語入試を開設」といった情報ならある程度信じてもよいでしょう。しかし私は必ず学校の正式発表を確認します。
「リセマム」のようなまとめサイトもありますね。
各塾・学校が公表している情報をただ集めているだけです。
情報収集の入口としては役立ちますが、どちらかといえば私のような商売の人間がざっと見るのには適していても、ピンポイントで欲しい情報が得られるというものでもありません。
ちなみに、よくネットを見ていると出てくる「高評価の塾ランキング」「顧客満足度ランキング」といったものを私は全く信頼しません。
私の考えるランキングとはかけはなれた順になっているからです。
6.ネット掲示板から
教育系のネット掲示板もたくさんあります。
それらに出ている情報は、全て「嘘」です。
ひどいものです。
最初から見ないことを強く推奨します。
なかには参考になる情報もあるというご意見もあるでしょうが、どの情報が正しくどの情報が間違っているのかを判別できない以上、全て嘘と考えるのが前提ですから。
そもそも、
どういう立場の人間が
何の意図を持って
時間や手間をかけて書き込んでいるのか
を考えれば、信頼に値する情報が無いことなど容易に想像がつくというものです。
ネットリテラシーの基本ですね。
7.ブログから
ここは難しいところです。
ブログには5種類ありますね。
①中小規模の塾の情報発信
②個人塾の情報発信
③謎の教育関係者?の情報発信
④現在進行形の受験生の情報発信
⑤受験経験者の情報発信
さすがに大手塾はブログによる情報発信はしませんので、見かけるのは①の中小規模の塾の発信情報です。
その目的は生徒獲得です。
おおむね参考になりますが、中には相当杜撰な情報も混ざっています。
②の個人塾の情報発信も同様です。
まさに玉石混交です。
実は私のこのブログはここに相当します。
「玉」となるよう努力しています。
③もよく見かけます。
「学生時代に大手塾の講師を経験。現在IT系企業勤務。受験情報を発信中」といったものです。
情報発信する意図というものがよくわかりません。
胡散臭い情報です。
たぶん、アクセス数を稼ぐことだけが目的なのだと思います。
たまに、引退された学校の先生が、蘊蓄のある記事をのんびりとUPされていたりするものも見かけます。
こうしたものはいいですね。
④が最も多いでしょう。
「現在子ども2人がSAPIXで悪戦苦闘中。ひよこママの子育て日記」といったかんじかな?
不安な気持ちをブログで発散することで、少しでも精神の平衡を保とうとしているのだと理解しています。
同じ状況の方のブログを見つけると、つい読みたくなるかもしれません。
毒にも薬にもならない情報ですので、暇潰し程度にどうぞ。
なかには、文章がとてもお上手で、思わず読みふけってしまうものもありますね。
ただし、参考になる情報は得られません。
⑤これは要注意ですね。
そもそも受験が終われば、あらためてブログで情報発信する必要性もないように思うのです。
いつまでも情報発信する意図って何でしょう?
◆先輩ぶって情報発信することで承認欲求を満たしたい
◆アクセス数を稼いで収入を得たい
このどちらかでしょう。
いずれにしても無視するに限ります。
8.受験アドバイザーから
これは避けましょう。
世の中には、様々なことの専門家がいますが、「中学受験アドバイザー」など名乗って商売している人にプロはいません。
「自分の子どもを開成と桜蔭に進学させた」だけの経験で、プロを名乗って商売している人までいる世界です。
私の知人のお母さまが引っ掛かってしまいました。
50分で2万円を支払って、どこかのカフェで相談をしたそうです。
そのアドバイス内容を後日詳細に聞いたのですが、ひどいものでしたね。
情報密度が低いだけならまだしも、誤った情報まで含まれていました。
藁にも縋る気持ちの親心を相手にした阿漕な商売だと思います。
結論
お通いの塾の先生に相談しながら、学校を直接訪問して情報を集める。
これが王道で、正解です。